最近日ごとに寒くなってきた。
11月のカレンダーをそっと切り離して、冬の空気にめくり替える。
爆)もうすぐクリスマスか…。
俺はクリスマスが嫌いだ。
そう、あの日から__
あれは俺が7つの頃。
クリスマスイブだった。
母は俺へのプレゼントを買おうと、
家から遠く離れた場所へ出掛けていくことになっていた。
その日は雪が降っていて、空気そのものが凍りついているかのようだった。
母)じゃあ私は出掛けてくるね。勝己はお留守番、パパがいるからいい子にしてなさいよ。
爆)なんであんなジジイと…。
バシッ
母)あんたねぇ?!
他愛のない母との会話はかけがえのないものだった。
_そして事件は起こる。
生活は一気に急変することになった。
医)残念ですが…。
俺と父が到着する頃には母は息をしていなかった。
そう、母は交通事故で死んだ。
爆)は…、、??
窓の向こうで音を立てず舞い降りる雪は、母の死をそっと告げるかのようだった。
「プレゼント買ってくるね」とも母の口から言われぬままあっちへ逝ってしまった。
何気ないクリスマスイブの母の外出。
ガキの頃には理解できなかったが、外出の真相を知ったのはそれから数年後の話だ。
父から聞いた。
きっと父は7歳という子供にトラウマとやらを作らせたくなかったのだろう。
それ以来、クリスマスの気配が訪れると、封じ込めたはずの傷が再び痛み出し、どこかから来る恐怖が身体を震わせる。
親をそれほど好いていたわけではない。
けれど、実の母が突然自分の目の前から消えてしまったら、その母の乳を飲んで育った子は誰しも身を震わせるだろう。
爆)ちくしょ…あんなばばぁの為に俺は…、。
毎年母のせいにする。
「あいつが勝手に死んだ。」「俺はただ家で待っていただけだ。」と。
そう自分に言い聞かせていないと、心が保ちそうになかったから。
だけど、考えれば考えるほど自分には何かできることはなかったのかと、何度も思い、頭痛を加速させる。
有り余った現実逃避は、希望でも絶望でもない居場所を探しているのだろうか。
そんなことを毎年考えながら年を越す。
…もう慣れっ子だった。
いや、そうなりたかっただけかもしれない。
小学生時代の話なんて今更引きずっているのが馬鹿馬鹿しい。
…そう思いたかった。
街のイルミネーションが消える頃にはこの重苦しさもきっと和らぐのだろう。
だから先のことを考える。
あれから17年経った今。
今日は何をしようか。
11月のカレンダーを丸めながらふっと時計を見た。
am.04:08
今日は休みだというのに、こんな早く目が覚めてしまった。
秒針が刻む時間の音を片耳に、キッチンで朝食の準備をする。
あれこれ考えてもしょうがない。
手元を動かしてればいつか忘れる。
〜♩
音が聞こえる。
リビングのスマホからだ。
爆)出久から電話、?
大抵メッセージでやり取りをするが、どうやら今日は違うらしい。
コメント
8件
過去が深いの好きよ、、、👍🏻
出久呼びなのがねっ、、、、もう、、、
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