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『健人君!健人君!』

もう…帰って来て…くれないんだね…健人君。


夢………また…この夢…。中学のときに立ち直れたはずなのに…どうして…!

「健人君…会いたいよ…」


高校生になってから、よく彼のことを思い出すようになった。中学の時にいた彼氏…健人君。もう、彼は、現実(ここ)にいない。車に轢かれてしまった…。

彼の最後の言葉…

『早苗…生きて。俺の分まで。泣かないで。俺は、早苗の…笑ってる顔が…好きだな…。』

この言葉があったから、今日も、笑って生きる。彼は、もう、現実にはいないのに、今でも彼から離れられずにいる。失ったものばかり数えて、手に入れたものは目に入らない。高校に入って、もう、4日がすぎるのに。友達すらいない。彼のことばかり考えている私が悪いのに。

「健人君…」


今日は部活見学会の日。できれば、いつも笑ってられる部活…明るい部活が良いなぁ。そう思いながら歩いていると、声が聞こえた。笑い声が。その方へ歩いて行くと……演劇部があった。

「見学!?どうぞ中へ!」

明るい人が出迎えてくれた。

中へ入ると、先着がいた。気に止めなかった。名前もクラスも、お互いに聞かなかった。どうせ、もう、会わないだろうと、思っていたから…。

部の雰囲気はとても良く、先輩方は皆、楽しそうだった。…ここなら…笑って過ごせる。今までの私を隠して、生きていられる。そう思った。

見学会が終わり、帰路に着く…前に、先輩が話しかけて来た。

「どうだった?興味を持ってくれたなら、ぜひ、演劇部に!」

「とても楽しそうでした!ありがとうございました!」

「ばいばーい!」

最後まで、ご丁寧に…。あの部活なら、入っても良さそうだ。入部は、演劇部にしよう。


『俺は、君の心の中で生きてるから。支えてあげるから。笑って。早苗。』

彼は、もう、現実にはいない。なのに、まだ私は、彼に、すがっている。心の中で生きている。それは、間違いじゃなかった。だけど、それが、ずっと、束縛している。私が、私を。どうして…だろう…。

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