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「いつか絶対結婚しようね!」
彼は小指をこちらに出した。
幸せそうに笑う君を見て私は心が暖かくなるのを感じていた。
「うん!絶対に世一くんと結婚する!」
彼の差し出す小指に自身の小指をぎゅ、と繋いだ。
「うわ、眩しい…」
カーテンから差し込む光を感じて目が覚める。
起き方も起き方で、最悪な朝だと感じた。
あれは幼稚園の時の記憶かな、なんてついさっきまで見ていた初恋の男の子が出ていた夢を思い返した。
もう下の名前しか記憶にないような男の子だけど、すごく好きだったのは覚えてる。
たまに見る彼の夢は、見る度に今も私は彼のことを好きなんじゃないかと思わせる。
彼とは小学校が離れて、その後私が引っ越したため再会することなく初恋なんて甘い響きのものから蹴りをつけた。
元気にしてるのかな、なんて適当に思いながら重い体を起こし顔を洗いに行った。
今日は高校の入学式。
また引っ越したと思えば私はまた見慣れた街に帰ってきていた。
帰った初日は懐かしいなんて思って不要に散歩をしてみたり窓から外を眺めてみたりもした。
けど数日で飽きて、次は見慣れない部屋の方が私の興味をそそった。
その後はあまり外に出ていなかったため近所の人は知らないし、会えば会釈しとけばいいと思っている。
まあ、高校初日の入学式なのだから気合い入れて準備をしようと決意し、洗面台に向かった。
「よーし、準備できた。」
バレない程度にメイクをして、リップは血色を意識した。
髪は後ろで一つに束ね、前髪も整えた。
人は第一印象で決まるからこそ、この日に手を抜く訳には行かない。
着慣れない制服に腕を通し、少し胸が高まる。
少し不安もあるけれどそれより期待が勝っていた。
新たな出会いがあると期待し、玄関で少し背伸びした気分で身だしなみチェック。
何度も鏡を振り返っては自分を見つめている。
よし、と心を奮わせ玄関の戸を開ける。
両親は共働きで家は誰もいないが「行ってきます。」と軽く言い、家を出た。
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