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【1】最悪の出会い
AM 9:00 警視庁・第一機動捜査隊 駐車場
朝日に照らされ、ピカピカに磨き上げられた最新型パトカー。その前に立つ男、勇気 走(ゆうき かける)は、落ち着きなく周囲の空気を鼻で吸い込んでいた。
「……クンクン。あー、ダメだ。今日の運勢はドブネズミ色だな。鼻がムズムズしやがる」
そこへ、背後から冷ややかな声が響く。
?「……公共の場で鼻を鳴らすのはやめてくれないか。集中力が削がれる」
現れたのは、静見 零(しずみ れい)。手元には常に最新のタブレット。彼の周囲だけ温度が3度ほど下がったような錯覚を覚えるほど、無機質な男だ。
勇気「お前が静見か!なんだそのツラ。俺の鼻が、お前とは一生親友になれねえって言ってるぞ!」
静見「……僕のデータでは、君は『思考回路がショートした暴走気味の野良犬』だ。ネットに真実はないが、君の欠陥については正確に書き込まれていたようだね」
二人が火花を散らした瞬間、無線が吠えた。
部長『警視庁から各局。SNS上で拡散中の爆破予告車両を発見。場所は新宿。至急、追跡を開始せよ!』
勇気「理屈は後だ!行くぞ、静見!」
勇気が助手席に飛び乗り、静見が静かに、しかし力強くアクセルを踏み込んだ。
【2】パトカー大破のフルスイング
AM 10:30 新宿・路地裏
目の前を猛スピードで逃走する黒いバン。SNS上では「爆弾車が新宿を火の海にする!」という偽の加工画像が拡散され、逃げ惑う人々で街はパニックに陥っていた。
勇気「零!あいつ、この先にある幼稚園の通りに突っ込む気だ!」
静見「……計算上、このパトカーの出力では追いつく前に突破される。」
勇気「計算なんて知るか!考える前に、足が動いちゃってんだよ!」
勇気が叫びながら、身を乗り出してサイドミラーを叩く。その野生の咆哮に当てられたのか、静見の瞳に冷たい光が宿った。
静見「……いいだろう。物理的な『答え』を見せてやる」
静見はハンドルを急旋回。パトカーはドリフトしながら逃走車の横に並ぶ。
静見「シートベルトを噛んでろ、野良犬」
勇気「……え?」
ドガシャァァァァン!!!
静見は躊躇なく、パトカーを逃走車の側面にフルスイングで叩きつけた。火花が飛び散り、パトカーのフロントが大破しながらも、逃走車をコンクリートの壁へと力技で押し潰していく。
【3】4機捜(ゴミ溜め)への左遷
PM 1:00 1機捜 隊長室
隊長の怒号がビルを揺らした。
「初日に!新車を!スクラップにする奴があるかぁぁ!!」
勇気は鼻をほじりながら「でも犯人捕まえたし……」、静見は無表情に「最小限の衝撃で最大限の制動をかけました」と答える。それがさらに隊長の火に油を注いだ。
「お前らみたいな『爆弾コンビ』、1機捜には置いておけん!今日から『第4機動捜査隊(4機捜)』へ行け!」
「4機捜……?なんだよそれ、かっこいいじゃん!」と喜ぶ勇気。
「……人手不足を理由に、問題児を隔離するゴミ溜めですよ」と絶望する静見。
【4】タピオカ号との対面
PM 3:00 4機捜 分駐所(古びたガレージ)
案内されたガレージに鎮座していたのは、パトカーではなかった。
全面パステルピンク。屋根には巨大なプラスチック製のタピオカのオブジェ。
車体には『ぷるぷる♡タピオカ・パラダイス』という文字。
勇気「……は?」
勇気の口から魂が抜ける。
静見「……4機捜は予算がないため、押収品や廃車寸前の車両を再利用している。……これは、脱税で押収されたキッチンカーだね」
静見が冷静に解説する。
そこへ、ガレージのモニターが突然砂嵐になり、不気味な声が響いた。
「ハロー、4機捜の諸君。パトカーを失った気分はどうだい?」
AIで作られた合成音声。“黒幕・エリオス”の挑戦状だ
「今から24時間以内に、この街のどこかにある『本当の爆弾』を見つけなよ。ヒントは、SNSの『いいね』の数に隠してある……」
勇気「……面白くなってきやがった。零!タピオカ売ってる暇はねえぞ!」
静見「……言われるまでもない。タピオカ号、発進だ。」
ピンクのキッチンカーが、タイヤを激しく鳴らして夜の街へと飛び出していく。
『0と野良犬』、ここからが本当の24時間の始まりだ。