立ちあがったのは、70代、いや、もしかしたらもっと上かもしれない老人だ。
右頬( みぎほほ)の辺りを布で押さえている。その布は赤黒い不穏な色をしていた。
「それ、金髪が?」
俺の声に、老人は頷いた。
「あの男は信用ならん。自分に少しでも不利になればすぐに手を出す。女性にも」
その声に 呼応(こおう)するかのように、もう一人、立ちあがる影があった。
俺の母親と同じくらいだろうか。 恰幅(かっぷく)の良い中年女性が眼鏡の奥から俺達を見ている。
「彼女は足を蹴られた。折れてはいないが、走るのはきついだろう」
許しを得て近寄れば、老人の上着は泥がついてから乾いたかのようにまだらに汚れており、女性の右ふくらはぎは赤く腫れあがっている。
本当に金髪がやったのだろうか。
それを否定も肯定もできず、俺は持ってきたペットボトルを彼らに手渡し*********
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