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「おらぁ!」
男がエリー父を殴るのを止めた。
どうやってって?そんなの決まっているだろう?
バキッ
「ほげぇっ」
俺に殴られた男は床に倒れた。
そんなとこに寝ていたら風邪をひくぞ?
「だ、誰だ!?」
突如として現れた俺に、驚きの声が上がる。
「誰?お前達こそ誰だよ?人の店で暴れやがって。そこの少年に謝れっ!」
ごめん…名前わかんないや……
「貴様!我等がドリトニー家の者と知っての狼藉か!?」
「ドリトニー?知らんな。それに、狼藉を働いているのはお前らだ」
貴族めんどくせー。
「待て。貴様がこの店の主人か?」
「そうだと言っているだろう。アンタは?」
煌びやかな服を着ている男が割って入ってきた。こいつが大将か?
「無礼者!この方こそエンガード王国、国王陛下から子爵位を賜っておられるハーベリック・フォン・ドリトニー様にあらせられるぞ!」
ハーベリックと呼ばれた男は、何故か得意げな顔をしている。
何だか家名と名前が逆みたいな名だな。
「だから?営業の邪魔だから少年に謝ったらとっとと帰れ」
「な、なんだと!?貴様!不敬罪で殺してやる!」
取り巻きがうるせーな。不敬罪?
「不敬罪って王族に対する刑罰だろ?なんでたかが貴族に適用されるんだよ?」
「ほほほっ。どうやら少しは学があるようだな。
この店を手放すなら無かったことにしてやっても良いぞ?」
煌びやかなバカがまた話に入ってきた。
「無かったこと?するわけないだろ?さっさと謝って帰れ」
何回同じ事言わすねん!
「下手に出ておれば…貴様ぁ!おい!教育してやれ!」
バカが部下に指示を出した。
バカの取り巻きは8人。一人寝てるから後7人だ。
『身体強化』
念の為、4倍の強化魔法を掛け直した。
周りの動きが酷く緩慢に見える。
待っていると日が暮れそう…なので、こっちから攻める。
「ブハッ!?」
「がっ!?」
「うぇっ!?」
大の大人が出したら恥ずかしいような声を残し、みんな寝た。おやすみなさい。
「き、きさま、何をした!?」
「何って、襲われたから返り討ちにしたまでだ。後はお前だけだぞ?ドブトリー?だっけ?」
あれ?なんて言ってたっけ?
何か周りのギャラリー…もとい、お客様から笑いが漏れている…どうやら間違ったようだな。
翻訳さんがなにやら面白い翻訳をしてくれたみたいで何故かウケた。
お貴族様は顔を真っ赤にしている。
放っておいても高血圧で倒れそうだな。まだ若そうだから無理か?見たところ30歳くらいか?
「さあ。少年に謝るなら帰してやってもいい。どうする?」
「ふざけるなっ!」
汚ねぇな。唾飛ばすなよ。
ダッ!
「何だよ逃げるのか…面倒な」
俺はバカの前に回り込み、顎に掌底を入れて意識を刈り取った。
すると・・・
パチパチパチパチパチパチッ
「凄いな兄ちゃん!」
「強いな!」
「普段偉そうにしている貴族が痛い目をみてみんな喜んでるんだよ!」
俺がぼーっとしていたら態々説明をしてくれた。
「お騒がせしてすみません。お詫びに本日は試飲を二杯に増やします」
「きゃー!ありがとう!」
「太っ腹ね!気に入ったわ!」
あれ?さっきは黄色い悲鳴なんてなかったのに、サービスした途端……
みんなが試飲コーナーに群がる中、聖奈さんが来た。
「貴族らしいね。どうする?」
「どうするって言われてもな。身ぐるみはいで森にでも捨てるか?」
粗大ゴミより害悪かな?まぁ魔物の餌くらいにはなるんじゃね?
「普段ならそれでも良いけど、今回は目撃者が多過ぎてダメだよ。ここは任せてくれないかな?」
いつでもあなた任せですよ。
「皆さーん!今日はサービスにお土産のクッキーも付けます!ですが、一つお願いがあります!
もし事情聴取、何かの調査が入れば、ご協力ください!
正義のヒーローであるウチのオーナーが捕まらないよう、ご協力くださいね」
「「「おー!」」」
「「「勿論だとも!!!」」」
周りから歓声が上がった。
正義のヒーローは逃げる相手を殴って良いのか?
「じゃあコイツらを縛っておいてね!私は行くところが出来たから」
「悪いな。考えがあるんだろうけど、気をつけてな!」
聖奈さんは魔法の鞄を持って、店を出ていった。
縛った後、ここに置いたままでは商売の邪魔になるから三階まで運んだ。ありがとう身体強化魔法……
それから暫くすると、聖奈さんが戻ってきた。兵士を連れて。
まさか、俺売られたの!?
「セイくん。こちらは近衛騎士のシュバルツさん。覚えているよね?」
ん?その馬みたいな名前は……
「お久しぶりです!その節はどうも」
「久しぶりだな。貴族が騒動を起こしたと聞いたが?」
俺は事のあらましを話し、貴族達の元へシュバルツさんを案内した。
「確かにドリトニー子爵だ。しかし、相手は貴族だぞ?まぁ済んでしまったモノは仕方ないが……」
シュバルツさんは渋い顔をしている。
「とりあえず客から聞き取りをしてくる。逃げ…るわけないからいいが、この店にまた来るから必ずいるように。この男達は引き取る」
「よろしくお願いします」
シュバルツさんは一人を担いでそのまま降りて行った。流石騎士様。鎧も重たいだろうに……
「良かったね!後は報せを待つだけだね」
「なぁ。この後はどうなると思う?」
「多分だけど何もなくはないよ。こちらには非はないし、証言もこちらに有利だけど、向こうは貴族だからね。多分決闘とか言い出すんじゃないかな?」
「ふーん」
ん?決闘…?
「それって、あのバカが出るのか?」
「あのバカって。ふふ。出るわけないよ。多分代理制度か何かあるんじゃない?無ければ決闘にならないからゴネようがなくなって終わりだしね!」
代理かぁ。もし俺より強い奴が出てきたらダメじゃん…夜逃げの準備が…店を開いたばかりなのに……
「もしかして代理を気にしてるの?それなら大丈夫だよ」
何で?俺はよくてBランク冒険者程度だよ?
「決闘って、武器は何でもありなんだって」
「ふーん。じゃあ問題ないな」
良かった。対物ライフルを買ってて。
身体強化4倍でやっと普通の銃の弾が見える程度だが、対物ライフルの弾は見えん。なんだよ初速時速800キロ以上って。リニアよりはえーじゃん。
「それに魔法を使えばだいたいの人は倒せると思うよ?アイスバーンの後のアイスブロックとかで」
「周りに人がいないなら良いけど、いたら巻き込むぞ?」
まぁBランクは一人でオーガと渡り合えるレベルだとして、Aランクならそれ以上か…化け物やんけ……
何か対物ライフル持ってても勝てる気がしなくなったんだが?
「まぁ最悪逃げたらいいよ。兎に角決闘になる。対戦相手が決まる。までは、普段通りで行こ?」
「そうだな。そうなったらムカつくからあのバカの家に魔法をぶっ放そう」
よし。とりあえずなるようになる作戦だな!
晩御飯を食べて子供達が部屋に戻った後。
「やっぱり決闘になりましたね」
「ど、どうするですっ!?焼討ちしに行くですっ!?」
エリー。それは最後の手段だ。落ち着け。
「おかしーなー」
「どうしたんだ?」
聖奈さんが腑に落ちていない。
「今回の件を最初に王子に頼んだんだけどね。その時に決闘の有無を聞いたの…」
聖奈さんが言うには・・・
決闘はあくまで国内の貴族、準貴族たちの為のものであって、平民には基本的には適用されないらしい。
基本的には…つまり例外があるのか……
というか、決闘の可能性が基本的にはないって知ってたのなら、何で俺を脅したんだよ…まぁ現実には聖奈さんの予想外に決闘があるんだけど…からかいが過ぎるぞ・・・
「じゃあ何で?」
「明日聞きに行ってみよう?どうせ汚い手段を使ったんだと思うけど、あり過ぎてわからないから」
そりゃ聖奈さんにもわからんか。だけどそんな友達みたいに会えるのか?
まぁ、聖奈さんだからか。
「シュバルツ様から聞いております。どうぞ」
翌日城にきた俺達は、シュバルツさんの元に案内された。
「忙しいところすみません。聞きたいことがあります」
開口一番核心に迫る。
「決闘のことだろう?私もおかしいと思う。それで調べた」
おお!流石出来る男シュバルツ。
「金だ」
ん?金?マネー?虎?
「金とは?」
「決闘は我が国の司法を取り扱う管理局の生業なのだが、その管理局の者を金で黙らせたようだ。
ドリトニー子爵家は金だけは上級貴族並みに持っていると有名だからな」
ああ。賄賂ね。
「セイ殿の店に行ったドリトニー子爵は、店を気に入り店ごと買おうとしたが、持ち主に拒まれて、ならば決闘で決めようとなった」
「えっ?何ですかその話?」
「勿論ドリトニー子爵の作り話だ」
「でも、調査は?」
「もちろんしたし裏付けも取っている。だが金の力でな…」
何だよそれ…水戸◯門の印籠より強いじゃん……
「納得いかないんですが…」
「すまん。それが我が国の悪いところだ…」
シュバルツさんが悪いわけではないんだけど……
「シュバルツさん。セイくんの相手は?」
「対戦相手か。まだわからんが多分騎士は使わんだろう。ドリトニー家には碌な騎士がいないともっぱらの噂だからな。
多分食客か冒険者かのどちらかだろう」
「王都の冒険者で受けそうな人はわかりますか?」
聖奈さんがなんとかしようとしてくれているが、どうにもならないのでは?
面倒くさいし、もうやっちゃおう?
「それはわからんな。だが、金にものを言わせて必ず高ランク冒険者を雇うだろう」
「それはAランクとかでしょうか?」
「それはない」
えっ?Aランク出てこないの?
「冒険者ならCかBランクの冒険者だろう」
「食客の強さも同じくらいでしょうか?」
「そうだな…どんな人を雇っているかわからないが、Aランク級とはいかないだろうな」
良かった。放火魔やテロリストにならなくて済むかもしれない。
「何故ですか?」
「Aランクはそもそも貴族の依頼を断れる。その理由はお金にも権力にも困っていないからだ。この王都のAランクは王族とも話が出来る。そのような人物が碌な噂を聞かないドリトニー子爵に雇われると思うか?
つまり、Aランク級の腕をもっているならその人物はお金で貴族の食客に収まっているわけがないということになる。
かなり薄い可能性で他国の犯罪者を囲っている場合のみ、ドリトニー子爵の代理がAランク級になる」
シュバルツ先生ありがとう。わかりやすかったよ。
「わかりました。ありがとうございます」
聖奈さんはお礼を言い立ち上がった。
「アンダーソン殿下に取り計らってもらおう」
「いえ。大丈夫です。お気遣いありがとうございました。こちらで何とかして見せます」
いや〜そこは王子に甘えちゃおうぜ?
だって闘うの俺だよ?
正義のヒーローアン◯ンマンじゃないよ?どちらかというとドラ◯もんだよ?
四次元ポケットもどきあるしね!
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異世界で店を開くと必ず輩が営業妨害に来るのです。世の中ではこれをテンプレと言い、決して作者が面倒だからワンパターンでいいじゃん?となったわけではないです!今回は貴族ですし?ちゃんと少し変えているのです!少し…
聖「やっぱり暴力で解決いくない!」
聖奈「正義のアイドルはやめたの?」
聖「黒歴史は永遠に封印されたんだ」
聖奈「聞いたよ?次はミランちゃんがヒロイン役でするって」
聖「そ、そこで封印されるんだよ」(何で知ってるんだ!?ミランか!?聖奈さんには言わないって約束だったろ…)
聖奈(情報源はエリーちゃんだけどね)