テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
野々さくら
990
#ラブコメ
猫塚ルイ

752
今度はさっきのような強引なものではなく
俺の唇を優しく愛おしむような、柔らかく受け入れてくれるキスだった。
「……わかったか?」
「ぅん……。俺、圭ちゃんが男に興味ないノンケだから、いくら好きだって言ってもらえても、こうしてキスしてもらえても、本当に全部受け入れてもらえるのかなって、ずっと不安で。無意識に一線を引いちゃってたのかも……」
「……だったらキスしたいとか、どこまでしたいとか、ちゃんと言えよ」
「えっ」
「言われたら、俺だって『ここまではイケる』とか答えられるし…どーせお前、『求めすぎて萎えられたら』とか『気持ち悪がられたら』とか、そういうしょーもないこと一人で悩んでんだろ?」
心の中を完璧に見透かされ、俺は目を見開いた。
「…っ、なんで、そこまで分かるの……?」
「何年一緒にいると思ってんだよ」
圭ちゃんは少し得意げに笑った。
「りゅうは分かりやすいし、強く言いすぎるとすぐ泣いちまうし…正直、俺への愛が強すぎるんだよ」
「えっと…それは、直した方がいいところを言われてる……?」
「さあな」
「えっ…」
「なんつーか、お前に遠慮されると、信用されてないみたいでムカつくって話」
「…っ、ごめん」
「……お前のこと好きだって言っただろ?お前も俺のこと好きなら、もっと欲ぶつけて来いよ」
まっすぐな言葉が、不安で張り詰めていた俺の心を綺麗に溶かしていく。
「……っ、そっか。ごめん、圭ちゃん。気付かせてくれて、ありがとう」
「……でも、俺まだ許してねぇからな」
「え?」
優しい顔に戻ったかと思いきや、圭ちゃんの目が再び悪戯っぽく細められた。
「そんなんで簡単に許したら、俺が可哀想すぎるわ」
「…ど、どうすればいいの……?」
「……んじゃ、今週末、俺ん家泊まりに来いよ」
「えっ?! と、泊まり?!」
大声を出しそうになり、慌てて口元を両手で押さえる。
「拒否権ねぇからな」
「拒否するつもりはないけど、急すぎない?! 親御さんとかは……」
「今週末は留守。お前、予定なかったよな?」
「まぁ…ないけど。でも、服とか、色々準備しないとだし……っ」
「俺の服貸すから何も要らねぇよ」
「そうじゃなくて!心の準備とか、色々あるでしょっ!」
「問答無用」
有無を言わさぬ口調で告げると
圭ちゃんは俺の頬に愛おしそうに手を添えて、唇を重ねてきた。
今度は何度も角度を変えながら、俺の口内を貪るように深く奪っていく。
息苦しさに喘ぎ、胸を小さく叩いて抗議するけれど
ようやく解放されたときには、俺の視界は完全に涙で滲んでいた。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!