「ショウー、ショウ? おーい」
顔の前に伸ばされた袖に意識を戻された。
「ブ、ブルーか。ビックリさせるなよ……」
「ショウがボーッとしてただけなの。むしろ感謝してほしいなのよ? だって、もうすぐHRなの」
ブルーと呼ばれた少年 ──その名を、カナデという。カナデ はぷくぅと頬を膨らませた。
ショウの席は教室の前から2番目だ。これでは居眠りもすぐにバレてしまう。しかも、ショウの前の席に座っているのは、クラスの男子の中で1番背の低いカナデだ。
保育園児の頃からショウと親友な彼は、中学3年生になった今も成長期が来ていないのか、未だに身長は150cm代を抜けない。座席もそこまで高くないから、教卓からは見事にショウの居眠りする姿が見える事だろう。
「また去年の春休みの夢でも見てたなの? 全く。ぼくちゃんが起こしてなかったら先生に怒られる所だったなの」
「悪かった。感謝する!」
「大いに感謝するといいなの!」
フフーンと少し偉そうに腕を組み、胸を反らす。
「……朝から何やってるんですか」
そんな2人を冷めた目で見るのはリコだ。彼女はカナデの隣の席だった。やれやれと言いたそうにカバンを置いて席へ腰かける。
「パープル! よく来たな。まあ座れ!」
「いや、座れも何もここあたしの席なんですけど。それと、あたしの名前はリコです! 中3にもなって…… 小学生じゃないんだからパープルなんていうあだ名で呼ばないで下さいよ」
「まあリコ、ショウに付き合ってあげてほしいなの」
カナデは可哀想な物を見る目でショウを見ていた。だがショウはその視線に気付かなかったのか、話を続ける。
「だって、我がヒーロー部に入部したのはお前だろ? オレは部長! そしてレッドだ! つまりシュドーケンはオレのものなのだ!」
「あくまで新聞部とのかけもちですよ? 勘違いしてるみたいですけど、あたしはあくまで特ダネとバズりを狙っているだけなんです。いわば副業ですよ」
ハー、とため息をつきながらボヤいた。
ヒーロー部とは、ショウが2年生の頃に作った部活動だ。ショウは2年生の時の春休みに世間を騒がせていた怪物に襲われた。助けてくれたのは、鋭い紫眼のヒーロー。
名前も性別も、何もかもが分からないような人に貰ったショールを宝物にしたショウは、あの人のようなカッコいいヒーローになりたい! と思い、部活動をつくったのだ。
部員は5名。部長のショウ、副部長(にさせられたの)はカナデ。バズりそう、と思って入部したリコ。あとの2人は小学生の頃からのショウの友人で、3年生になった現在はショウ達とは他クラスになった、ケントとアヤカだ。
ギリギリの所で人数を満たしたヒーロー部は、予算は少ないながらもそこそこ楽しく活動を行っていた。困った人を助ける、それがヒーロー部だ。まあ、他の生徒からは何でも部と呼ばれているのだが。
「あ、そうそう。そんなことより、今日クラスに転校生が来るんですって」
「それは本当か!?」
「今は5月なのに。ずいぶん中途半端な時期なの」
「なんか、お仕事の都合らしいですね」
リコは情報通である。そんな彼女の情報は間違っている事もなく。HRでその転校生は教室へやって来た。
「転校生を紹介する。入ってこい」
そんな先生の声に従って、教室のドアが開かれた。入ってきたのは、少し短めな碧いストレートロングの、紫の瞳の少女だ。緊張しているらしく、たどたどしい自己紹介だったが、その少女の名前はハルカだということが分かった。
「えっと、お仕事の都合でこの学校に転校してきました。仲良くしてくれると嬉しいです!」
カナデとリコは後ろの席のショウに声をかけた。
「紫の瞳なのー」
「そうだな」
「もしかして、あのときに助けてくれたヒーローなんじゃないですか?」
リコは面白そうに笑っている。バズりを求める彼女にとって、そういった推測は簡単な物だった。
「……分からない」
「えー、つまんないですねぇ」
つれない態度のショウに、リコは興味を失ったようだ。仕方なさそうに身体を前に向ける。ショウは、自分を助けてくれたヒーローの事をあまり覚えていなかった。“そうだ”と言われれば、ハルカがあの時のヒーローだったかもと思うし、“違う”と言われれば、違うかもと思う。だって覚えているのは、長い髪に黒いショール、鋭い紫眼だけなのだ。ショールは置いておくとして、長髪や紫眼はそう珍しいものではない。だから、ハルカがあの時のヒーローと決めつける事は出来なかった。
「じゃあ、そうだな…… ハルカは、ショウの隣の席に座ってくれ」
「はーい」
そう返事をしたハルカは、ショウの右隣の席へ座った。
「よろしくね」
「お、おう、よろしく……?」
やや困惑しつつも、学校生活は始まった。
「へぇ、ショウ達って“ヒーロー部”ってのに入ってるんだ」
「そうだぞ! ハルカも入るか?」
最初はドギマギしていたショウだったが、彼は結構人に懐くのが早い質の人間だ。午前の授業を終えた辺りでハルカと仲良くなり、給食をお喋りしながら食べる程度の仲になった。勿論、カナデやリコも同様である。
「うん、少し興味はあるよ」
「本当なの? あ、ブルーの座はぼくちゃんの物なの! 譲らないなのよ?」
「あはは、いらないって」
「もしもハルカが入部したなら、ライトブルーとかですかね」
新たな部員もバズりになるかもしれません! と目を輝かせるリコに、ハルカは苦笑いする。
「まだ入るって決めたわけじゃないけど、今日は体験入部してもいいかな」
曲げた人差し指を頬に添えながら聞くハルカに、3人は親指を突き出した。
「ふっふっふっふ、ここが我らがヒーロー部の部室だ!」
「えっと、少し狭いけどゆっくりしててね」
アヤカは、少し困ったような笑みを浮かべながらハルカに言った。ハルカは頷く。ショウの狭いとはなんだ、という苦情は無視された。
「し、失礼します……?」
「そう固くならないで下さい。あたし達は同じクラスだし、ケントとアヤカだって同学年なんですから」
「そうですよ。……と言っても、初対面ですから緊張するのも当たり前ですよね」
「無理だけはしないでね」
「なの!」
「おう! 仲間の心も守る、それがヒーローだからな!」
5人はハルカに向かって言った。力強く。その姿はまるで本物のヒーローのようで。
「ありがと、みんな。あたしもちょっと色々あって……」
えへへ…… と笑いながらなんとなしに部室を見渡す。壁の一部分を見たとき、ハルカの動きは止まった。正確に言うならば、壁ではない。壁にかかっている物に、ハルカは反応したのだろう。
「…………あの壁にかかってる、ショールって?」
壁には黒いショールがかけられていた。ハルカの紫の瞳は、真剣さを示すようにキリッとしていた。
「あれはだな、オレが去年の春にヒーローに貰ったショールで~~」
ショウが青い目を輝かせながら説明をした。その顔はお前もヒーローに興味があるのか!? と聞いていた。体を傾けながら真面目に話すショウ。4人は少し呆れ半分で(カナデ、リコは特に)話を聞いていたが、ハルカは熱心に耳を傾けていた。
「去年の春休み、ヒーローに貰ったショールか………… ねえ、あたし決めた」
「な、なにを、だ……?」
「あたし、ヒーロー部に入部する!」
絶叫が響いた。隣の隣の隣くらいの距離にある音楽室まで聞こえていたかもしれない。音楽室で演奏中だった吹奏楽部にとってはいい迷惑だっただろう。後でショウにクレームが寄せられるかもしれない。
まあ、そんな事は置いておいて。ハルカの入部が決定したのだった。ちなみに、メンバーカラーはライトブルーである。
時間の流れは速いもので、あっという間に下校時間になった。学校を出たヒーロー部のメンバー達は、一緒に通学路を歩いていた。なんという奇跡か、この6人の家の方向は一緒の辺りだったのだ。ハルカはヒーロー部の主な活動内容や、以前解決した問題について話してもらっていた。ハルカはなんて真面目なのだろうか。5人は感心しながら話していた。
「勉強の相談から失せ物探しまで、なんでも助けてくれるんだね。すごいじゃん」
「皆それぞれ得意分野が違いますからね。例えばあたしは色んな情報を使ってます」
「ぼくちゃんはお菓子担当なの! 美味しいスイーツショップに新たなお菓子、全部教えるなのー」
「僕は様々な豆知識とか雑学とか。あとは勉強を教えたりですかね?」
「私は探し物をしたりとか、ケガの応急処置とかだよ」
「オレはまあ、なんでもするぞ!」
「……バカだけど、なのー」
「運動神経もそこまでないですしね」
「で、でも人望はあついですよね!」
「そうだよ、みんなをまとめるのはショウくんだもん」
結構辛辣な意見を述べるカナデとリコ。フォローをするケントとアヤカ。まるで茶番劇のような、平和な時間だった。ハルカもアハハと笑っている。こんな時間が長く続いたら…… 誰かがそう思った、その瞬間の事だった。
大きな衝撃音。すぐに振動がやってきて、6人は思わずへたりこむ。立っていられない程に揺れは強かった。一体何が、と思い辺りを見渡す。そこにいたのは大きなピエロ。バランスボールに乗りながらジャグリングをしている。たまに玉やクラブが建物や地面に当たる。それが揺れの理由らしい。黄色や青色のカラフルで可愛らしさ さえ感じるような見た目なのに、威力は高いようだ。あちこちで損傷が酷い。
「みんな、逃げて!」
「ハ、ハルカも逃げないとだろ!」
「そうなの、危ないなの!!」
ショウとカナデが、ハルカに向かって声を荒げる。ハルカは真正面からピエロに立ち向かおうとしていた。止めなければハルカが危ない! という気持ちからである。美しい友情だ。けれど、ハルカは自分の方に来ようとするショウ達を片手で制した。
「あたしは大丈夫だから、はやく逃げて!」
「でも「いいから!」無理だ! オ、オレは部長なのだ。部員に守られるわけにはいかない……!」
「ショウくんの言う通りです。ハルカくんを置いて逃げるわけにはいきません」
「それに、私達って友達でしょ?」
「ショウが残るなら、ぼくちゃんも残るのら」
「こんなバズり、見逃せませんからね!」
ハルカは悩んだように5人を見た。何かを決心したように頷く。彼女はキッとピエロを睨み付ける。
「…………本当は良くないんだけど、分かったよ。皆はトクベツだからね」
ハルカは、カバンに付いていたキーホルダーを掴んだ。ハルカの手にそれが握られたとき、それはキーホルダーではなくステッキになった。水色を基調とした細長いステッキの先に碧い星が付いている。彼女がステッキを天に掲げた瞬間、碧い光が彼女を包んだ。
数秒経ったか経たなかったかくらいで碧い光が消えた。ハルカの服は制服ではなくなっていた。青いチュニックには金色の刺繍がされている。かなり豪華だ。白いフレアスカートと共に、長くなった髪がヒラヒラと揺れていた。頭にはチョコンと冠が乗っている。凛としたその姿はまるで王子様のようだ。
叫んだすぐあとに、何処からかレイピアが出てきた。ダッッと地面を蹴ったハルカは、あっという間にピエロの首元へ跳んだ。そのままレイピアを突く。そのまま横に動かし、首を飛ばした。ピエロはキラキラしたチリとなり宙へ溶け、消えていった。
「…………大丈夫? ケガとかない?」
「オレ達は大丈夫だが…… さっきのはなんだ?」
「アハハ…… まあ、まずそこだよね」
5人は困惑しっぱなしだった。突然大きなピエロが現れたと思えば、ハルカが変身し、一瞬でピエロを倒してしまったのだから。これで平常心でいろという方が無理な話だろう。
「えっと、とりあえず本部に行こっか……」
いつの間にか元の姿に戻っていたハルカは、苦笑いのままそう告げた。
ハルカに連れられ、着いたのは白い建物だった。自動ドアをくぐり、入った先には数名の中学生くらいの男女がいた。
「おかえりハル…… ちょっと、アンタ一体なに連れてきてんのよ!」
「はーちゃん、もしかして見られちゃったの?」
「クスクス、魔法少女の存在は秘密なのにねー」
「そうだ! 記憶をイジるのも大変なんだぜ!」
「それとも、この子達も魔法少女候補?」
誰も彼も違う制服。ショウ達が暮らす市の中学校の制服が一挙に集中していた。ハルカを入れて5種類だ。
「……詳しくは先生が来てから話すよ。えっと、じゃあショウ達は空いてる席に座って」
部活の時と反対の立場で、ショウ達は席についた。
先生らしい人は、数分後に部屋に入ってきた。
「みんな、お待たせ…… あれ、ハルカ。その子達は?」
「あたしの学校の子」
「で? なんでここに連れてきてるワケ」
「…………この子達、去年の春に魔法少女から黒いショールを貰ったらしいの。きっと、……ううん、絶対に。あれはマリアの物だった」
ハルカがそう言った途端、部屋は静寂につつまれた。数秒の沈黙の後に驚いたような叫び声が響く。
「マ、マリアちゃんの!?」
「マリアは見つかったの?」
「どんな状況で?」
「ゴスロリちゃんについての情報は~?」
一斉に話す少年少女達。だが、先生と呼ばれた中性的な人物が口元に人差し指を当て、シーっと言うとすぐに黙った。
「もう少し詳しく教えてくれないかな」
先生らしき人物はショウの方を見て頼んだ。ショウは恐々頷く。
「……去年の春休みに、怪物に襲われた。その時に紫眼のヒーローに助けられたんだ。そしたらショールをくれて……」
「そのショールは今どこにあるの!?」
「えっと、部室の壁に飾ってて……」
「そう……」
あまり記憶に残っていないからそこまで詳しい話は出来なかったが、全員真剣に聞いてくれていた。
「それで? 結局この子達は魔法少女になるの?」
「ボクは戦力が増えるから賛成だけど…… その前に説明からだよね。ということで、せんせぇ」
「……はい」
先生は頷いた。
「えっと、まずは自己紹介からだね。俺の名前は佐藤アキ。ここで魔法少女をまとめてる。そっちの席に座ってるのが、右からリン、カイト、ユリ、ハルカ、ナノカだよ」
「オレはショウだ。オレの右隣からカナデ、リコ、ケント、アヤカ」
互いによろしく、と言う。
「……ここは、魔法少女の基地だよ。特に本部とも呼ばれてる。魔法少女っていうのは、ハルカ達みたいにサリアルキーと戦う子の事」
「そのサリアルキーって言うのはなんなんですか?」
「えぇっと、何て言えばいいのかな………… 俺が小学生の時から出現し始めた怪物の事。大きくて、倒すには魔法少女になるしかないんだ」
先程ショウ達が見たピエロのような怪物も、ショウが春休みに襲われた怪物も、サリアルキーという奴らしい。
「魔法少女って言っても、女の子しかなれないわけじゃない」
「ボクもカイトも、それからせんせぇも。みんな男子だけど魔法少女だからね。……せんせぇは元だけど」
え、という声がショウ達から漏れた。魔法少女は性別関係ないという話にではない。リンが男子だ、という事に驚いたのだ。
きめ細かい白い肌。背中まである長い白髪の三つ編み。長い睫毛からのぞく美しい琥珀のような黄金の瞳。まるで人形のような見た目なのに。漏れた声に気付いたらしいカイトは気の毒そうにみてきた。彼が抱えているぬいぐるみも、何故だか可哀想な物を見る目でこちらを見つめている気がする。
「魔法少女についても、サリアルキーについても、門外不出で頼むよ。メディアに目をつけられたら大変だからね。基本、それらに出会った人達の記憶は消してるんだ。結構昔から存在してるのに、君達が知らなかったのはそのせい」
「記憶操作は僕とリクトがやってるよ」
「結構面倒なんだぜ! オレたちに感謝しろよ」
「そのぬいぐるm「リクトはぬいぐるみじゃない!!」そ、そうなの?」
どう考えても角のはえた猫のぬいぐるみにしか見えないが、どうやら違うらしい。
「ええっとね、リクトはカイトと契約してる精霊? みたいな存在なんだ」
「普通は精霊とは契約したらそれっきりなんだけど、カイトは特別なんだって」
「そういう特別な魔法少女には、記憶を操る力がある」
「別に操りたい人に直接会わなくたって問題ねぇ。半径約200km以内にいる存在の記憶を消せるからな」
「消せるのは魔法少女やサリアルキー関連だけなんだけど。そのうえ、魔法少女達には効かないし、ショウ達みたいな魔法少女のアイテムを持ってる人にも効果が薄い。あーぁ、もう少し使い勝手が良かったらな~」
「カイト、魔法少女の力の不正利用は禁止って言われてるよね」
「…………分かってるってば。ホント、リンはめんどくさいんだから」
なんだかファンタジーだ。あまりついていけない。
しかし、あの時の記憶をあいまいながらもショウが覚えていたのは、マリアという魔法少女からショールを貰ったから らしい。
「大体どの基地にも、特別な魔法少女が1人はいるの。条件は分かってないんだけど」
「あの、そもそも、精霊とか契約ってなんの事なの?」
あ、という顔。どうやら説明し忘れたらしい。
「ごめんごめん、言うのを忘れてたよ。まず、契約っていうのは、魔法少女になるためにする契約の事だよ。その契約は精霊と行うんだ」
「本人の素質や、契約する精霊によって魔法少女の力は決まる」
どんな姿に変身できるのか、どんな力を得れるのか、武器は何か、など様々な事がそれで決定するそうだ。
「……マリアは、去年の春にショウが会ったサリアルキーと戦って以来、行方不明なんだ」
「それは…… オレのせいか?」
「ううん、違うよ。魔法少女は、ショールなどの装飾品を誰かに渡しても影響はない。それに、倒した後に報告のために基地に来ていた。行方不明になったのはその後。だから、ショウのせいではない」
ショウは少し安心した。自分があの時にショールを貰ったからだろうか、と心配していたからだ。しかし、原因がショウでなかったとして、それなら何故マリアは行方不明になったのだろうか。
「マリアは、かなり強い魔法少女だったんだ。攻撃力はこの基地ナンバーワンだった。サリアルキーに倒されたわけでも無さそうだし……」
「……もし、マリアちゃんを見かけたら言いなさいよ」
「ユリはゴスロリちゃんのこと好きだもんね~」
「ハ、ハァ!?!? なんでナノカがそんなこと知って……」
「いやバレバレでしょ? あたしも知ってるし。皆もそうだよね?」
リンやカイト、リクトまでもが頷いた。ユリの顔は真っ赤になっている。
「まあ、それはさておいて、だね。…………ショウ達は、魔法少女になる気はある?」
アキは真面目な顔をして言った。
「あ、別に今返事をしてほしいわけじゃないんだ。魔法少女は危険がいっぱいだからね。でも、少しだけ考えてくれると嬉しいな」
ハルカやショウ達は、基地を出た。誰もが黙っている。魔法少女になるか、ならないか。危険があるなら、やらない方がいいのかもしれない。しかし、魔法少女になったらショウはヒーローになれる。あんなに焦がれたヒーローに、だ。カナデ達4人も色々思うことがあるらしい。だからか、誰も喋らない。
……その人は、突然現れた。まるで影から出たかのような、そんな風に。
「ごきげんよう」
「ア、アンタ、マリア!?」
噂をすればなんとやら。それは偶然か必然か。運命か故意か。目の前には、行方知れずになっていたマリアがいた。彼の紫眼は、不敵に笑っていた。
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