第2章 色の着いた写真
彼女と別れて2週間経った。
やっと立ち上がれるくらいには回復した。
別れてから何も喉を通らず食べたり飲んだりしなかった。
今でも食べると吐き気が込み上げすぐトイレに行くことが多い。
そんな僕が部屋にいるとアルバムを見つけた。高校の思い出を詰め込んでるアルバムだ。そのアルバムを開いてみた。
アルバムだけに色があった。目の錯覚なのだろうか。そう思いアルバムを1度閉じ、そして開いた。だけどその写真にだけ色がついていた。
彼女との写真が沢山あった。
付き合った次の日に桜の下で撮った写真。
海で遊んでいる彼女の満面の笑みを映した写真。彼女が僕の家に泊まった時の写真。進級して桜の下で撮った写真。言い出したらキリがないほどたくさんの写真があった。
だけど1枚なぜか不思議な写真があった。
最近撮った海での写真。
そこで彼女は泣いていた。振られる2日前に撮った写真。なぜか僕は家からとびだした。
母から「どうしたの。」と聞かれたがその言葉も無視してただ雨の中1人で駆けていく。
彼に別れを告げて2週間という短そうで長い月日を経過した。
彼がいないと楽しくない。けど彼を悲しませないためなの。彼との思い出を遡るために2年間の写真を挟んだアルバムを手にとった。全て彼が笑ってる写真。思い出したら泣きそうになるほど楽しかった日々。
だけど彼が泣いてる姿を見たくなかった。
仕方なかったこれは偶然じゃない、決まってたことなのだから。
私の病気は今に始まったことじゃない。
彼と付き合って5ヶ月経ったある日息が出来なくなり倒れてしまった。
彼には心配をかけたくなかった。
だから両親には「彼にはなにも言わないで」と言った。数日間は学校にも行けなくてただ病室から外を眺めるだけだった。彼から心配のLINEは当たり前のようにきた。けど事実は言わない。心配かけたくないから。「ただの風邪だよ笑全然元気!」と私は送った。彼はお見舞い行くね。と言っていたが来なくていいよ!大丈夫だから!と言って誤魔化した。ほんとは迷惑いっぱいかけて何年も付き合って結婚までしたかった。けどこの日にはもう無理だと思った。死んだ時に悲しむのはわかってた。悲しんで欲しくない。けど別れたくない。そんな私のエゴが迷惑をかける。
月日が流れるのも早かった。そして医者から告げられる寿命。
別れよう。
そう決心した。
大好きな彼に泣かないでもらうために
愛してたよ
悠里。
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