私は、すぐに梨花ちゃんを探した。
まずは、梨花ちゃんが噂を流したのか確かめないと…
間違いだったら本当に申し訳ないけど…
おかしいな、どこにも…いないな。
あれ?
一弥先輩?
一弥先輩が、ある部屋に入って行くのが見えた。
続いて入って行くのは…
梨花ちゃんだ!
どうして2人が?
私、思わず声をかけてしまった。
『待って』
その声に振り向いた一弥先輩。
『恭香ちゃん…』
梨花ちゃんは黙ってる。
『あの…すみません。お二人でお話しだったんですよね。私、ちょっと梨花ちゃんに聞きたいことがあって…声をかけてしまって』
『もしかして、僕も絡んでる話し…かな?』
『あ…はい…そうなんですけど…』
やっぱり同じ噂のことで?
一弥先輩も知ってたんだ。
『恭香ちゃんも一緒に入って』
いいのかな…
私は戸惑いながらも部屋に入った。
『どうしたんですか?こんな部屋に連れてきて、2人して私に話しなんて…ちょっと怖いです』
梨花ちゃん、ツンツンしたトゲのある言い方だ。
『僕と菜々子、恭香ちゃんについて、いろいろ噂を流してるよね?悪いけど、梨花ちゃんから聞いたって言う人がいるんだ』
『…』
すました顔で黙ってる…
『答えて』
一弥先輩の少し強めな口調に驚いた。
いつも優しく話してくれるのに、ちょっと…怖い。
それくらい怒ってるんだね…
もちろん、私も…
梨花ちゃんに対して募っていた不信感が、さらに大きくなっていた。
少し間をあけて、梨花ちゃんが口を開いた。
『はあ…?だから何なんですか?』
悪びれもせずに話す梨花ちゃんにも驚いた。
『梨花ちゃん…どうして?私が一弥先輩を誘惑して、一弥先輩と菜々子先輩を別れさせたって…どういうことかな?』
『そのままですよ~』
『何をどう誤解してるの?僕と菜々子が別れたのは、恭香ちゃんがどうとかって言うんじゃないよ…』
一弥先輩、さすがに少しイライラしてる…
険悪なムードが流れる。
嫌だなぁ…こんな雰囲気。
なのに梨花ちゃんは、クルクルしたパーマを指で触りながら、
『一弥先輩が菜々子先輩と付き合ってるんだって、見ててすぐに気づいちゃいました。この2人なら美男美女で仕方ないなぁ~って思ってたのに…一弥先輩と恭香先輩、いっつも仲良くて~何か見てて恭香先輩痛いなぁって』
甘えたように…嫌味っぽく話す梨花ちゃん。
『私は、一弥先輩とは今まで通り普通に話してるだけだよ。特に仲良くなんてしてないから。私も2人が付き合ってるのわかってたし、お似合いだって思ってたし。邪魔しようなんて、そんなこと…思うはずないから』
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!