確かに…
先輩にフラれて寂しかったのは本当のことだよ。
あの時、私、本当に苦しくて悲しくてつらかった…
いっぱい泣いたし。
それくらい、大好きな人だったから。
でも、だからって2人の仲を壊すなんて…
そんなこと…
『私なんて、一弥先輩を誘惑出来る程魅力があるわけないじゃない。菜々子先輩はあんなに美人だし…絶対にかなうわけ…ないよ。それくらい、ちゃんと自分でわかってるつもりだよ』
私も、ちょっと…必死になってる。
『ですよね。菜々子先輩みたいな美人に絶対にかなうわけないのに、恭香先輩が一弥先輩にグイグイ行ってて。結局、一弥先輩は優しいから菜々子先輩をフッて…恭香先輩に…』
梨花ちゃん、どうしてそんなひどいこと言うの?
私のことそんなに嫌いなの?
私、梨花ちゃんに何か嫌われるようなことした?
『梨花ちゃん、本当にそれは違うんだ。それに言い方に気をつけないとダメだよ』
一弥先輩、今度は少し優しい言い方だ…
こういう人なんだよね。
やっぱり…誰にでも優しくて…
そういうところに私も惹かれたんだ…
『一弥先輩。どうして恭香先輩にそんなに優しいんですか?美人でも可愛いわけでもないのに。菜々子先輩の方が絶対素敵なのに、全然理解出来ないです』
必死に言う梨花ちゃん。
ここまでハッキリ言われたら、もう何も言い返す気になれないな…
それにしても梨花ちゃん、こんな激しい部分があったんだね。
『正直、今は自分の気持ちを無理に抑えようと頑張ってる。でも、それ以上言うと、僕も…声を荒らげてしまう。本当に止めよ。恭香ちゃんの容姿をそんな風に言うなんて、同じ女性として恥ずかしいことだよ』
一弥先輩…
『ひどい!一弥先輩も恭香先輩も。2人で私のこといじめて…』
え…この状況、私達が梨花ちゃんをいじめてることになるの?
『梨花ちゃん、あのね。私達、梨花ちゃんをいじめてなんていないよ。ただ、ありもしない噂を流さないで欲しいの。それだけだよ』
『私にコピーで負けたからって…後輩に意地悪して、一弥先輩も亮介くんも…それに本宮さんも、みんな恭香先輩に騙されてるんです。最低です!』
悲しい。
自分の中で落ち込んだとしても、コピーのことで梨花ちゃんを恨んだりするわけないのに。
可愛いと思って接してきた後輩だったのに…
もう、正直、キツイよ…
泣きたい。
『梨花ちゃん。僕は、恭香ちゃんに騙されてなんかいないよ。恭香ちゃんはそんな子じゃない。本当…すっごく優しい子なんだ。だから…』
『だから?だから何なんですか?』
梨花ちゃんも相当イライラしてるみたいだ。
『僕は…僕は、恭香ちゃんが好きだ!』
え?
一弥先輩?
そのあまりにも突然過ぎる言葉に、私と梨花ちゃんは動揺を隠せなかった。
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