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すれ違いの2人─再び隣に
季節が一つ過ぎ、病院を出る日がやってきた。
Broooockはまだ少し足取りがぎこちなかったが、それでも笑顔で外の空気を吸い込んだ。
「……やっと自由だ」
「調子に乗らないでよ。まだ無理しちゃだめなんだから」
きんときは横で荷物を抱えながら、つい小言をこぼす。
だがその声色には、隠しきれない安堵と嬉しさが混じっていた。
退院祝いもそこそこに、二人は再び活動を再開した。
久しぶりの配信部屋に座り、マイクを前にした瞬間、自然と笑い合う。
「Broooock、入院中ずっと寝てたんだから、トーク力鈍ってんじゃない?」
「はは、心配しないでよ! むしろネタが増えた気がする!」
画面の向こうでリスナーのコメントが
溢れていく。
「おかえり!」
「二人が揃ってて安心した!」
「やっぱこのコンビ最高だ!」
きんときはその言葉を見て、ふとBroooockの横顔を盗み見た。
あの日、病室で必死に願ったことが、こうして現実になっている。
「ねぇ、きんさん」
「ん?」
「また一緒にやれて……ほんとに嬉しいよ」
一瞬言葉に詰まるきんとき。だがすぐに笑って返す。
「当たり前だろ。Broooockが隣にいなきゃ始まらないんだよ」
Broooockも笑い、二人の声が重なって配信に広がる。
もう二度と離れない。
そんな思いを胸に、二人は再び並んで歩き出した。