テラーノベル
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⚠️M!LK、3080のBLとなっております。
学パロ、モブ、いじめ表現あります。
🔞要素はまったく無いです。
地雷の方は今すぐブラウザバックすることを推奨します。
第0話から見て頂ければと思います!
🩷→攻、『』
🤍→受、「」
放課後のチャイムが、弔鐘のように鳴り響いた。
他の生徒たちが騒がしく校門へと向かう中、柔太朗は一人、震える手で鞄を整理していた。
昨夜、橋の上で勇斗からもらった温かいコーヒー。
飲み終わった後も何故か捨てられなくてそのまま鞄に入れていた。
その空き缶を鞄越しに上からそっとなぞる。
それだけが、今の彼を現世に繋ぎ止める唯一の温もりだった。
「……おーい、山中。逃げんじゃねえよ」
低く濁った声が背後から降ってくる。
柔太朗が振り返る間もなく、太い腕が彼の腕を掴み、強引に教室の外へと引きずり出した。
連れて行かれたのは、校舎の死角にある体育館裏。
日が落ちかけ、橙色から赤黒く染まり始めた空の下。
そこには湿った土の匂いと、古い鉄錆の臭いが充満していた。
「……っ、……ぁ、」
コンクリートの壁に激しく叩きつけられ、柔太朗の背中に鈍い衝撃が走る。
肺から空気が押し出され、視界がチカチカと点滅する。
「おめぇ昨日さ、橋のところで変な金髪といただろ。……俺らのことチクって、助けてもらうつもりってか?」
「いっ、ち…違、…違う……っ!」
必死の弁明は、硬い靴底による衝撃で掻き消された。
柔太朗の腹部に鋭い痛みが走る。
内臓がひっくり返るような不快感に、彼はその場に崩れ落ちた。
泥にまみれる制服。
「生意気なんだよ、お前。そのツラも、その眼鏡もきもちわりぃ!」
主犯格の男が柔太朗の髪を思い切り掴んで無理やり顔を上げさせると、もう一人が彼のメガネを奪い取った。
「…へ…ぁ、……やめて、…返して、っ」
「返してほしきゃ、もっと泣けよ」
パキリ、と乾いた音がした。
地面に落とされたメガネが、容赦なく踏みにじられる。
視界が極端に狭まり、世界がぼやけていく恐怖。
柔太朗は、何も見えない暗闇の中で、次々と飛んでくる罵声や暴力に晒された。
頬を張られ、口内が切れて鉄の味が広がる。
「…ん、っひ、ご、ごめんなさ、ぃ」
声にならない悲鳴が、誰もいない校舎の裏に吸い込まれていく。
彼らにとって、柔太朗は人間ではなくただの道具でしかなかった。
「……もう、いいだろ。行こうぜ」
飽きたように言い捨てて去っていく足音。
柔太朗は、冷たい土の上に横たわったまま、しばらく動けなかった。
ボロボロになったワイシャツ、泥だらけのブレザー、そして粉々になったメガネ。
(……死ぬ勇気、あったはずなのにな……)
皮肉にも、勇斗に止められたあの瞬間から、彼は生きてこの地獄を味わわされている。
ボロボロの身体を引きずり、ようやく辿り着いた教室。
だが、そこにあったのはさらなる拒絶だった。
柔太朗の机はひっくり返され、中身はすべてぶちまけられていた。
教科書は水に浸され、机には太いマジックで「死ね」「ゴミ」「汚い」という文字が隙間なく書き殴られている。
柔太朗は、震える膝をついて、一枚ずつ破れたページを拾い集めた。
奴らが自分を取り囲んで嘲笑っている。
視界がぼやけて、何が書いてあるかもわからない。
それでも、拾わなければ。
1
これを拾い終えなければ、自分という存在が本当に消えてしまう気がした。
夕闇が差し込む無人の教室で、柔太朗の啜り泣きだけが静かに漏れる。
その時だった。
____ドンッ!!
「な、なんだよ、誰だ!?」
教室の扉が、枠ごと吹き飛ぶほどの勢いで蹴り破られた。
『おい、此処に柔太朗って奴、いるか?』
そこに立っていたのは、昨日あの橋で出会った勇斗だった。
赤色のブレザーを揺らし、金髪を逆立たせた勇斗が、何かを探すような目で教室を見ている。
「…勇、斗さん、…?」
泥と血に汚れた柔太朗が、床に這いつくばったまま、掠れた声でその名を呼ぶ。
勇斗の視線が柔太朗を捉えた瞬間、彼の瞳に宿っていた温度が、一気に氷点下まで叩き落とされた。
勇斗は、一言も発さなかった。
ただ、地響きを立てるような足取りで歩み寄り、柔太朗を取り囲んでいた男の一人の胸ぐらを掴み上げた。
「……ひっ、……あ、あぁ……!」
男が恐怖で顔を引きつらせる。
勇斗はそのまま、男の顔を自分の至近距離まで引き寄せた。
『……おい。誰の許可取って、こいつに触ってんだ』
地を這うような、静かな殺気。
勇斗は殴らなかった。
だが、その拳には血管が浮き出し、今にも相手を握りつぶしそうな圧力がかかっている。
『こいつは、俺のダチだ。……俺が、一番最初に目つけたんだよ』
勇斗は柔太朗の前に立ちはだかり、背中で彼を庇うようにして、教室中の全員を冷たく見据えた。
『次、こいつの指先にでも触れてみろよ。その時は学校ごと更地にしてやるからな。……分かったか、カスども』
圧倒的な悪がいじめという姑息な暴力を飲み込んだ瞬間だった。
そのまま勇斗が柔太朗の手を取って教室から連れ出した。
柔太朗は、勇斗の背中越しに漂う、あの夜と同じコーヒーの匂いと、強烈な体温を感じる。
絶望で凍りついていた心に、勇斗の怒りという名の熱が、ゆっくりと、けれど確かに染み込んでいった。
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