私の名前は『リリス』。魔界の女王にして魔王の妻……になる予定の娘よ! 今日からよろしくね、お兄ちゃん♪ あ~ん? なんで俺がテメェの兄貴にならなきゃいけねぇんだよ? だってぇ~、『魔族最強決定戦』で優勝したんだよね? そしたら、もう次期魔王候補じゃない? だから私が妹になってあげるの。ほらぁ、早く荷物をまとめてこっちに来て頂戴? チッ、めんどくせえな……しゃーねえ、わかったよ。その代わり、俺は自分の部屋があるから勝手に入ってくるんじゃねぇぞ!? はいはい。じゃあさっそく案内して頂戴? へいへいっと。
――こうして、俺は妹のリリスと共に暮らすことになったのだが……これがなかなか大変だったりする。
***
「ちょっとぉ、この服ダサすぎぃ。もっとマシなものはないのかしら?」
「うっせぇ!おれさまに指図してんじゃねえ!」
「……そうね。貴方はそれでいいと思うわ」
「うるさい。もう消えなさい」
「わかったよ。じゃあまた明日」
「うるさいわね。早く消えなさい」
「はいはい。まったく素直じゃないんだから」
「ああ!? てめえ今なんつった?」
「別に何も言ってないけど? ただちょっと独り言が多いなって思っただけだよ」
「ぐぬぬぬぬ」
「はぁー全く君はいつになったら僕に認めてくれるのかな」
「ふん。誰が認めるか。お前みたいなクズは一生俺様の下僕なんだよ」
「あっそ。君が望むなら僕は下僕の座に甘んじようじゃないか」
「はんっ! わかればいいんだよ。おいっ! さっき言ったこと忘れんなよ」
「はいはい。ちゃんと覚えてるよ。でも約束はできないかもね」
「おいこら。どういう意味だそりゃあ?」
「言葉通りの意味だけど? まあ君の願いなんて聞くつもりはないんだけどね」
「てんめぇ……ぶっ殺すぞ!」「へっ!やってみろよ、このバカ野郎!!」「はぁ!?お前のほうがバカじゃん!」「んだとぉ!?」……喧嘩するほど仲が良いとは言うけれど、限度があると思うのです。
なんにせよ、二人の間に愛がない事だけは確かですね。
【備考】
『剣舞祭』で知り合った冒険者仲間。
最初はライバル意識むき出しだったが、今ではすっかり意気投合しているようだ。
実は密かに好意を抱いているらしいのだが、素直になれずにいつも口論になってしまう。
しかし、それはお互い信頼し合っている証でもあるのだ
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