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No.2〜幼なじみ〜
あ、俺死ぬんだ。
それが一番最初に思い浮かんだ言葉だった。
そんな俺の隣で、保健室の先生は声を震わせてこう言った。
「…でも体に以上はなかったんじゃないんですか…?」
と。
それもそうだ。
体に以上がないと言われた直後に長くないでしょうと言われても、納得できるか出来ないかで言われたら出来ないだろう。
そんな先生の言葉に対して医者はこう言った。
「確かにその通りです。なので、納得して頂けるような根拠は申し訳ながらありません。しかし、長年医者をやっていますと、こうも体に以上が無いのに立っていられないほどの胸の痛み、となりますと、他の医者も私と同じことを言うと思います。」
人の話を集中して聞くことが苦手な俺には難しい言葉だった。
だけど先生の真っ青な顔を見るとなんとなく医者の言ってることは理解出来た。
俺もそこまで馬鹿じゃないし。
「今すぐ入院が必要でしょう。」
…じゃあ、俺しばらく学校にも部活にも行けねーじゃん。
「病室を用意しておきますので、本日は帰って頂いても大丈夫です。ですが、もしも体になにか以上が生じた場合は迷わず救急車を呼んでください。」
帰ってから俺は入院の為の荷造りをした。
その間に玲と凛海から今から行くと言った内容の電話がかかってきて、1度断りを入れたものの聞いてくれそうになかったので渋々了承した。
「ちょっと瞬!?倒れたってどーゆーこと!?」
家に入るなりそんなことを叫ぶ凛海。
それに続いて
「病院でなんて言われた…!?」
普段からテンションが高い2人だけど、いつもよりも慌てているのは見てとれた。
「いや待って待って?ちょっとずつ説明するから待って?」
そう言って俺は2人を落ち着かせた。
「へ…?」
目を見開いて抜けた声を出す凛海。
ずっと一緒に過ごしてきた幼なじみが死ぬとなったら少し慌ててしまうものなのかもしれない。
実際、縁起は悪いけど俺も2人が死ぬとなったら凛海と同じ反応をすると思う。
玲に至っては声も出さず氷のように固まっている。
「てか今それどころじゃなくてさ、荷造り手伝ってくんね?」
「俺明日から入院するらしい」
「入院するの…?」
凛海の声が震えている。
どうやったら落ち着いてくれるだろうか。
何を言えば冷静になってくれるだろうか。
考えれば考えるほど無駄な気がして諦めた。
「…俺手伝うわ、何手伝えばいい?」
「お、さんきゅ」
「じゃあ…歯ブラシとかコップとか袋に入れてくんね?」
「了解」
玲はやっと状況を飲み込めたみたいで、荷造りの手伝いをしてくれる。
でも凛海は
俺の方を見ながら静かに涙を流していた。