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「治った!」


三日たつと俺のHPは完全に回復した。


で、元気になったので、ちょっと第一の拠点の拡張工事を行おうと思う。


総人口も200人を超えたので、最初に囲った100歩×100歩の石壁の囲いもせまくなってきたのである。


俺は工作BOXを開き、例のごとく石のブロック積みから始めた。


どすーん、どすーん……!



■■■■■■■■

■                  ■

■                  ■

■       第2     ■

■                  ■

■■■      ■■■

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∈                  ■

■       第1     ∋

■                  ■

■■■■■■■■



このように、最初に作った囲いの北側の壁と隣接するように、また100歩×100歩の囲いを作る。


便宜上、最初に作った囲いを第1区画と名付け、今日作った囲いを第2区画と名付けた。


そして第2区画の中に、家や貯水場、公衆浴場などを作っていくのである。


子供の遊び場が少なかったから公園も作っておくかな。


ブランコとかも作っておいてやろう。


「ひえー、あいかわらず領主様のお力はとんでもねえだな」


「オラ、初めて見ただよ。ぶったまげただあ」


そんな折、ふと、領民たちが遠まきにこちらを見ているのに気づく。


俺は彼らの話し声を背中で聞きながら作業を続けた。


「おおっ、今あっというまに道ができたぞ! すごいなあ!」


「なんであんなことできるんだろう?」


「聞いた話だがな、シェイド様はみやこで宮廷魔術士さまをしておられたらしいぞ」


「ほえー。そりゃあ、えれえエリートさまじゃのお」


「そのような高い地位を捨てて、あえて地方の開発に身を投じられているのか……」


「ううむ。不況にあえぐ地方民を救おうというおこころざしゆえであろうなあ。聖人のようなお方だ」


「ありがてえ、ありがてえ」


なんか……


真実からかけ離れたウワサが飛び交っているな。


こんなことをしいて言うのもなんだが、誤った情報で尊敬を集めているのも居心地が悪いので、俺は休憩をよそおい人々のところへ行き、『予算のムダとして削減された経緯』を少し説明する。


「……と言うわけで、ここには左遷されてきたんだよ。つまり俺もお前らと同じ。ハグレ者さ」


「アハハハ。またまた、ご冗談を」


「こんなすごい土魔法使い様を進んで手放すほど、帝都の人たちもバカじゃないでしょう?」


「なにしろ土魔法は国家の土台と言われますからなあ」


しかし、みんないくら説明してもいっこうに信じようとしないので、結局あきらめて作業に戻ったのだった。



「よし、こんなもんだな」


さて、そんなこともありながら、第2区画の拡張は終わった。


「「「おおー」」」


どよめく領民たち。


うん、我ながら良い出来だ。


公園が言い味出してるね。


でも、ちょっと緑が少ないかも。


木材も足りないし、木や植物のことも考えないとな。



ところで。


拡張と言えば、もうひとつ増設しておきたいのが『経験値回収タワー』である。


北の岩場や洞窟で掘削を行うには、今のままじゃキツい。


出現モンスターが強いからな。


そこで、これまで3つだったタワーを、30棟にまで増設したのである。


「また、ずいぶん作ったのね」


セーラはスタイリッシュに腰へ片手を当てながら、白パンツっぽいアーマーのお尻をぷりっとさせた。


「うん。俺はもともと俺自身の強さにはあんまり興味はなかったんだけどさ。この地を強く開発するには、俺個人の強さも必要そうだからな」


「そう……」


ふいに、セーラはメガネごしに青い瞳を伏せる。


「ん? どうした?」


「いいえ。その、やっぱり私も探索へ行きたいの……」


「それはダメだって言っただろ?」


「でも、また北の岩場へ行くのでしょう? 一人では危険だわ」


セーラは乳房の前で美しい指を軽く三角に重ね、不安げに言う。


「お前までここを離れちゃったら、俺の留守中、誰が領民たちを守るんだよ」


「それは……」


俺はため息をついて続けた。


「狩猟部隊もまだまだ成長途中だし、今、第一の拠点は無防備な状態なんだ。盗賊なんかに襲われたらひとたまりもない」


そう。


話題になった開発地には求職者も訪れるが、盗賊の標的にもなるものだ。


セーラがいなければ、200人の領地民たちは(防壁でここらの魔物からは守られてても)人間から無防備状態になってしまう。


「なっ? 頼むよ。今はみんなを守ってやってくれ。探索は俺がきっと成果を上げてくるから」


「……」


「一区切りついたらデートしてやるからさ」


「バカ……」


セーラはひたいを俺の胸へ軽くぶつけてそう言った。


「……じゃあ行ってくる」


こうして俺は女に背を向け、再び荒野の北へ歩み出していくのだった。



◇ ◆ ◇



「何? 支援はいらんだと?」


バイローム地方から西隣の地、ロード地方の領主は、使者からの報告を受けてすっとんきょうな声を上げた。


「はい。友好の書状を送る、と」


「むむむ、対等のつもりか? 新参者のくせになんという不遜なヤツじゃ!」


ロード地方の領主は激怒する。


使者へ行ってきた文官ダイスもうなずきながら答えた。


「まったく鼻持ちならない男です。……おおかたみやこでのキャリアを鼻にかけているのでしょう」


「むう……ダイス。どうにかバイロームを子分にすることはできんかのう」


「ええ。策がございます」


「おお! さすがダイスじゃ」


ダイスはロード地方では懐刀的なポジションであった。


領主からの信任も厚い。


「して、その策とは?」


「バイロームの領主は言いました。『今のところ援助はいらない』と。ならば必要になるよう困らせてやればいいのです」


「む? 困らせると言っても具体的にどうするのじゃ?」


「盗賊ですよ」


「盗賊?」


「はい。まず盗賊に扮した我々の仲間がバイロームのとりでを攻めます」


「な、なにも滅ぼそうというわけではないのじゃが……」


ロード地方の領主は眉をしかめた。


「いえいえ。ヤツらがじゅうぶんに困ったところで、我々の正規兵があらわれるのですよ。『助け』としてね。盗賊に扮した仲間はそこで降参するというわけです」


ダイスは口髭をニヤリとさせて答える。


「なるほど。『自演』というわけじゃな。それでヤツらは我々に大きな借りができる、か……よし。採用じゃ。ダイス、お主が指揮を執れ」


「はっ」


こうして、ロード地方は『自演作戦』の準備に取りかかるのだった。

予算のムダだと追放された土魔法使いだけど、辺境に《最強都市》築いたのでもう戻りません

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