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3

揺らぐ思いはどこかへ

♥

210

2021年11月24日

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揺らぐ思いはどこかへ




橙紫


二次制作

nmmn


地雷な方 注意される方

理解のない方 報告する方

ブラウザバック願います








________________

橙side






























「また来るよ」















そんな言葉を、今まで何回聞いたんだろう。








彼は長いコートを羽織って、

俺から遠ざかっていく。



「いかないで」も言葉も話せぬまま、

ただ彼はそっぽ向いてどこかへ行った。



細い足だけが印象に残り出す。





少しぬるい真正面から来た風が

そっと俺の体にあたる。




儚く思えて、ずっと前彼から貰った

毛布を乱暴に被り、くるまった。




ほんのり匂う彼の匂い。

それが風と共に去ってしまった。


今日の楽しみが….、。


そう思って風が流れた方に

短い手を強く伸ばす。




だが、そんな思いも儚く散り、

何も無い俺だけが路地裏に残る。



今日も、彼を考えて、

彼に手を伸ばしている毎日。




言葉一つ交わせたならいいのに

言葉一つ伝えれればいいのに


また非現実をつらつら並べて、

夜明けを迎えていく。



この世に神様なんか居ない。

俺に恋をさせる彼も

俺を大切に思う優しさも

全部全部嘘つきになれば


俺はこんな姿にならず

俺は普通の家庭を作っていた。


彼とだって_。





「……………….」








誰にも撫でられない頭で、

非現実を描くこの時間を無くしたくて、

こんな夜明けが大嫌いで。


俺は目をつぶった。





























目覚めたのは朝8時あたり。




社会人と社会不適合者が交わる

足音で目が覚めてしまった。






今日も、夜まで彼を思って彼を待つ。



傍にある缶詰はもう切らして、

夜までお腹を鳴らせて彼を待った。





度々ガラの悪い人がいっぱいきて、

一瞬会えないかと思ったけど、

無事、夜をその場所で迎えられた。

















「お待たせ橙くん」


























馴染みのある澄んだ声。


俺は彼に飛びついた。


















「お、どした、今日寂しかったの?」



















優しく笑う彼は、優しく

俺の頭を撫でた。



毛並みを揃え、まるで人間のように。


子供のように扱うのが

少し気に食わない俺は、

彼の頬に手を置く。
















「っ!?橙くん冷た!!」



「寒いね、まだ少し冬っぽいし、」



















「でも大丈夫だよ、明日には春が来るし」


「……..桜はここにはないけど

もしかしたら来るかもしれないね」





「その時は桜で遊びなよ、」

















春はもうとっくの前に来てる。



でも、どうしてこんなに寒いのかは

彼がずっと隣にいないから、

そう思って彼の体温を補充する。




が、彼は俺なんかに目もくれず、

鞄からゴソゴソと缶詰を出してきた。



器用に3つとも空ける。

ひとつは完全にあけて、

もうふたつはくっついた状態。




ゴミの1つの蓋を、鞄に閉まった。







そして空いてる缶詰を3つほど置いて、

俺を潰す勢いで抱きしめる。


たくさんの愛情を貰って、

それから、離す気のない俺に



「じゃあね」という




「物足りない」と言いたい。

だけど、言葉にできない。



















にゃあ、にゃあと爪を立てても、

どれだけ呼んでも、手を伸ばしても。







俺はもう諦めて、また明日。

そして非現実へ浸ろうとした。





だけど、今日はなんだか

いつもより眠たくて。




缶詰を一つ完食して、転がる。




匂いのしない毛布にくるまり、

ゆっくり目を閉じていった。






















そういえば、




なんで「また来るよ」じゃなくて

「じゃあね」だったんだろう。





























「っっ…!!!」


















毛布からバサッと出て、

まだ少し暗い空が見える。






まさか..まさか。









自分の体なんてものは気にせず、

いつも彼が消えてく右の道へ


全力で走った。
































何件も何十件もの家を

流し目して、彼らしき人は居なくて、



まず彼の情報がなくて。










近くにいたおばさんに話す。





























「あの、紫髪の人って……………..」







「…え?、俺、、あぇ、?」
























…人、間、?















「…?どうかしたのかい?」




「それより君見慣れない顔だね」



「何かあったのかい?

その、紫髪?の人は。」



















冷静に話してくおばさんに対する

俺は、自分について驚きを隠せない。









目が覚めたら、人間でした〜..

そんなことある、、?















「っ、俺、…いや、あの、っ

紫髪の人を探してるんです、!!」




「ここら辺の人で、きっと、

近いとは思うんですけど、!!」





「知ってますか!?!?」




















「..紫髪の人、….」




「あぁ、紫くんかしら」





「ここらじゃ有名よ、でも、

どうしてそんな人を探してるの?」









「そんな人」..?少し引っかかるが

俺はただ彼に会うことだけを考え

話を続ける。














「えっと、..し、しりあいで、

道に迷ってしまっ、て..」



「だから家を教えて欲しくて、」

















「..そうなの、ならこっちの角を

曲がったらすぐつくわ、」





「….っありがとうございます!」



















俺は走って角を曲がった。






そこには、黒い車と中くらいの家、

その家に入っている人が大勢いた。





なんでこんな夜明けに….。



傍観者として見てる人に話しかける。


















「あの、紫、さん?どうかしたんですか?」







「ん、紫さん?紫さんはね」





































「昨日、一家心中にあったのよ」






























「え…」




「可哀想よね、母親がうつ病ってのは

前々から聞いてて本人も、

苦労していらっしゃったのにね….」



「一人暮らしを出来ず、

ずっと母親の介護してて、、」



「ほんと、優しい人だったのに」

























もう居ない。






もう、この世に、いない?






もう、あの缶詰を持ってきてくれる

優しい優しい彼はいないの、?















せっかくこの姿で、会える、

そう思ったのに、




































彼の家に植えてある桜の花が

こっちまで緩かに飛んでくる。



春が来ているというのに、

桜は枯れそうだった。

























桜は俺の手によって、

全ての花を失ってしまった。





























_______________




ありがとうございます(?)



もしはじめから、人間で居られたら。

きっと彼に近付いてたんだなぁと

自分の体を後悔する作品にしたくて、

こんなのを思いつきました。



あと紫くんって猫のこと、

見つけたら家で介護すると思うんです。

でも、母親がうつ病で大変なら、

って思うと分かりますよね。




届けたい思いは

人間になっても届けられない。



だからこの恋心はどこかに捨てる。






また次ですね!!!

ぐっばいです!!!!!!!!

この作品はいかがでしたか?

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