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昔から人との関わりはなく、一人でいるのが楽で、人の群れには入らないようにしてきた。
なのに。
「らん、おいで?」
夜の舞踏会。
それは色んな王家なる人が集まり宴をする会。
私はただピンクのドレスを着て隅でそれを眺める。人の輪には入りたくないんだ。
そんな望みは多分、この座で生まれた以上叶わない願いかもしれない。
「…らん?」
なつが手を伸ばしてくれる。
その手を取ることはできない。怖いから。
私意外と単純なんだ。
ごめんね。
「怖い?」
私の気持ちを察するなつはそっと私の頭を撫でて微笑んで言った。
「あとでデザートがでるから一緒に食べよ。」
「それまで待ってるね。」
そう言ってまた陽気な君は人の輪に群れていく。私はそれを眺めるしかできない。
元々人の感性には疎く、他人がどう思っていようが勝手だし、私自身の感性も終わってる、そう言われるほど、感情などほぼ捨てていた。
全て作りもので、本性など表に出さない。
それが桃乃家、らんなんだよ。
「お嬢さん、どこの子?」
私より20センチは高い高身長な男の人。
私なんかに興味は無いだろうが、ただの一人縋りな私への同情心で話しかけてきたのか。
「…桃乃家の子です。ニコッ」
私自身関わりたくもない相手ではある。
だけどなつの関係者ならまずいから愛想はよくする。それが礼儀だから。
「…桃乃家か~…そういえばしばらくら会ってないな。」
「ご両親は元気?」
…毎度聞かれるこの質問が嫌い。
でもかと言って、数年前に亡くしたなんか今更公表すれば叩かれることは目に見えていること。それでもあの時言わなかったのは、見放されたくなかったから。同情されたくなかったから。この両親が作り上げた座を守ろうと思ったから。でも。
親はもういない。そんなことを毎回話すのも疲れちゃったな…。
「…ん?大丈夫?」
「すいませんニコッ」
「ご両親にまた今度会いに行こうかな、」
「…この舞踏会にはいないのかい?」
仕方ないかもしれないが能天気なやつに腹立つ
「はい。ニコッ」
両親のこと、姉のことはこれから先、深く関わること、その上信頼関係を基づいた人のみ話すようにしてる。
誰かわからないやつには話さない。
「俺、昔桃乃家の両親にはお世話になって~、会社も立ち上げてもらって、感謝でいっぱいなんだ~!」
…誰ですか。
ほんと他人には名乗れって言いながら自分が名乗らないのほんと嫌い。
「らんッ!」
なつが少し慌てて駆け寄ってくる。
どうやら私が困ってると思ったらしい。
「大丈夫!?」
お節介を超えた心配性、まぁでも助かったか。
「大丈夫だよ、ありがとう…」
「あの、この子あたしの子なんで、手出さないでくださいね。」
なつは皆に聞こえるように堂々と言う。
私はされるがまま…。まぁそれでいいか。
「らん、ケーキたべよ?」
「うんニコッ」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「おいしッ…ニコニコッ」
「…ぇ~…」
「ん?ニコニコッ」
「…かわいい。」
メイド達が慌ててなつの鼻血を止める。
お嬢様らしい行動してください、なつさん。
とういうか何。かわいいって。あんたが1番だろ…
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「なっちゃ、食べないの?」
「ぁ食べm」
「ぁ~ニコニコッ」
なにそのニコニコッ!!
なにその天使のようなあーん。
最高かよ。
「…ぇ…ぁ、ぁ~」
「…ニコニコッ」
ニコニコッしないで…。
「おいし~ね!」
ぁご馳走様です。
らんの笑顔だけで世界飛べる。