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第7話( かっちゃん視点)
……最悪だ。
教室の天井を睨みながら、
俺は舌打ちを噛み殺していた。
(怖い、だと?)
あの時のいずくの声が、
何度も頭の中で再生される。
俺が。
あのいずくを。
(……ふざけんな)
拳を握る。
震えてるのが分かって、余計にムカつく。
ガキの頃から一緒だった。
泣き虫で、弱くて、
それでも必死に前を見てた。
守るのは俺の役目だった。
なのに――
(なんで、他の奴らが囲ってんだよ)
上鳴。
切島。
焦凍
特に焦凍。
(双子だからって、何でも許されると思うなよ)
昼休み。
いずくが教室から出ていくのを見て、
体が勝手に動いた。
追うつもりはなかった。
気づいたら、
人気のない通路の角にいた。
「……いずく」
振り返ったいずくは、
一瞬だけ肩を揺らした。
(……ビビらせてんじゃねぇ)
「……かっちゃん」
「昨日のこと」
言葉が、喉で引っかかる。
「……悪かった」
「え?」
「聞こえなかったか? 悪かったっつってんだ」
「掴んだのも」
「怒鳴ったのも」
「……怖がらせたのも」
「かっちゃんは……優しいよ」
「でも、あの時は……」
「……置いていかれそうで、必死なのかなって」
その一言で、
(あぁ、そうだよ)
必死だ。
奪われるのが、
死ぬほど怖い。
「俺は」
「お前がいねぇと、ダメなんだよ」
初めて言った。
幼なじみとしてじゃねぇ。
強がりでもねぇ。
「隣にいんのが当たり前で」
「俺の世界の中心で」
「それを、他の奴に触られるのが――」
「耐えられねぇ」
いずくは、何も言わなかった。
ただ、
俺を見ていた。
その目に、恐怖はなかった。
それが、救いで、
同時に、残酷だった。
「……だから」
俺は、一歩引いた。
「今すぐ奪うとか、しねぇ」
「でも、逃げんな」
「俺は」
「お前を選ぶし」
「お前にも、俺を見てほしい」
「……考える時間、くれる?」
その言葉に、
胸が締めつけられる。
でも。
「……あぁ」
俺は、頷いた。
「逃げなきゃ、それでいい」
すれ違いざま、
「かっちゃん、ありがとう」
その一言で、
胸の奥が熱くなる。
(……クソ)
まだ終わってねぇ。
焦凍も。
上鳴も。
切島も。
全員まとめて――
(いずくは俺のものだって思わせてやる)