「ウイルスを…食べる?」
何を言ってるのか、よく分からなかった。
「マスクはしなくていいの?」
何もつけてない人を見るのは、初めてだったし、新鮮だった。
「うん。」
少年はそう答えると、伸びをしてはスっと立ち上がる。そして、歩き出した。
「あ、あの、どこに行くの?」
僕はこの少年が気になってしょうがなかった。少年が、足を止め僕のほうを振り返る。人差し指を自分の唇にあて、柔らかく微笑んだ。秘密……ということなのだろうか?
少年はそのまま何も言わず、茂みの方へと再び歩き始めた。僕はそれをただ、ぼーっと見つめていた。なんだかついて行っては行けないような気がした。
白くて細くて、掴んだら消えてしまいそうな少年だった。あの柔らかい笑顔も、忘れられないだろう。もしかしたら、あの少年は最初から存在していないのかもしれない。僕が作り出した、天使なのかもしれない。
まだまだ続きます。
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