千夏です!!
前回の続きからですね!
それではどうぞ!!
桃視点
数日ぶりに制服に袖を通す。
ボタンを留める指が震えて、胸がぎゅっと痛んだ。
本当に行けるのか?
また倒れるんじゃないか?
玄関で靴を履く俺に、りうらが言った。
赤「ないくん、ゆっくりでいいからね。
帰りたくなったらすぐ連絡して」
桃「……うん。ありがと」
心臓は小さな爆弾みたいに暴れていたけど、
りうらが隣にいてくれるだけで、少しだけ勇気が出た。
校門をくぐった瞬間、
ざわ……っと、視線が刺さる音がした。
「え、ないこじゃね?」
「今日来たんだ」
「マジで? 不登校だったんでしょ?」
俺の背中を指すような視線。
わざと聞こえるようなひそひそ声。
足が止まりそうになる。
桃(帰りたい……)
でも、りうらが隣で歩いている。
背中を軽く押してくれてる気がした。
教室に入ると、さらに空気が変わった。
「あ、えっと、おはよ〜……?」
声をかけてくれる子はいたけど、
その声の後ろにある“距離”が痛かった。
机に座ると、一斉に視線が逸らされる。
なんで……俺、何かしたのかな……。
手が震えて、ノートがよれていく。
桃「大丈夫。……多分、」ボソッ
けど、大丈夫じゃなかった。
胸が苦しくて、息が浅くなって、
世界が、ぐにゃって歪んだ。
____逃げたい。
チャイムが鳴った瞬間、耐えきれなくなった。
「……トイレ、」
廊下に出た瞬間、空気が軽くなるかと思ったのに、
逆に足元がふらついた。
桃(泣きたい……トイレまで……)
思考がぼろぼろに崩れていく。
天井の光がにじんだ。
一歩、歩こうとした瞬間――
視界が白く弾けた。
桃(あ、やば……)
膝が折れて、体が前に傾く。
その時、誰かの声が飛んだ。
赤「ないくん!!」
背中に衝撃がくるはずだった。
でも――来なかった。
代わりに、温かい腕が俺を受け止めた。
赤視点
ずっとないくんの教室を気にしていた。
行く時の表情が限界だったから。
チャイムが鳴った瞬間、ないくんが立ち上がり、
教室を飛び出したのが見えた。
嫌な予感しかしなかった。
俺は椅子から飛び上がって廊下に出て――見てしまった。
ないくんが倒れる瞬間を。
「ないくん!!」
駆け寄って、抱きしめるように支えた。
腕の中で、ないくんの身体は小刻みに震えていた。
桃「ごめッ……りうっ、……」
弱々しい声。
俺は首を振って、ないくんをぎゅっと抱き寄せた。
赤「…謝まんないでよっ、 怖かったよね……苦しかったよね……」
ないくんの頬に、涙がぽたぽた落ちた。
それが俺の涙だと気づくのに、少し時間がかかった。
赤「 一人で耐えないでよ、ないくん……」
ないくんの指が、俺の制服を弱くつかむ。
桃「……りうら……俺、もう無理かも……」
赤「、、っ、」ギュッ
ダメだよ、そんなこと…言わないでよ、。
桃視点
りうらの胸に顔を押しつけた瞬間、
全部、こらえてたものが崩れた。
赤「…う、っ…りうら…つらいっ……」
涙が止まらなくて、声もぐちゃぐちゃで。
でも、りうらは離れずに俺を抱いてくれた。
赤「泣きな……ないくん。俺がいるから、」
その声が、心臓に直接触れて温めてくれるみたいで、
俺は子どもみたいに泣いた。
ずっと泣けなかった分ぜんぶ、
りうらの胸の中で解放された。
倒れた痛みはもう覚えてない。
あるのは、りうらの腕の温度だけ。
俺は、一人じゃなかった。
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コメント
2件
うわ、優し、 こんな彼氏がほしい めんたるよわよわ桃さんかわよ
最近コメントできてなくてごめんね😭 ちゃんと見てますんで安心してください😭