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傷だらけの身体に大雨が打ち付ける。血がじんわり滲むのが分かる。アイツが承太郎にやられているのが、少しわかった。その合間に、また意識は遠のいていた。
『花京院……。1人にさせて悪かった。花京院…目を…………開けてくれ。』
花京院からの応答はない。
推測だが、奴の事だ。きっと、花京院は自分を犠牲にした。俺が来た頃には全身ズタボロで地面に投げ捨てられていた。奴が鈍器でもう一振した瞬間に星の白金を出した。その後の事はよく覚えていない。体が先に動いていた。
見た時、花京院が2人いたが、目を見た時。
どっちが本物かは一目瞭然だった。
傷だらけの花京院を胸に抱きしめ抱えた。暗い大雨の中、家へと足を向けた。
『おかえりなさい承太郎~?一体急にどうしー』
ずぶ濡れ血だらけの状態で玄関を跨いだ。
『きゃあッ!?典くん!?血が…!承太郎すぐ運んでちょうだい!!!!』
『頼むぜ………。』
花京院を部屋まで運び、アマが応急処置をしている。今は邪魔しちゃあいけねえな。
そういえば、ジジイに連絡しておくか…。
電話のコール音が2回なったところで、ジジイが出た。spw財団に報告との事だった。
『ねえ、承太郎…。応急処置はしたのだけれど、傷が…。一応財団の方を呼んでくれないかしら?』
『ああ。分かった。』
十何分かして、財団が到着した。流石と言ったところだろうか。久しぶりにみる財団員は少し懐かしさも感じる。
『おい。こいつは大丈夫なのか。』
『ええ…。身体の傷が深く、そしてかなり多いです。ですが、命に別状はありません。2、3週間もすれば治りますよ。殴られた跡や切り傷が多いので安静に。……えっと、あの。とりあえずその手、離してもらえます?』
思わず掴んだ財団員の胸ぐらを離した。
『……。』
出したい怒りを懸命に抑えた。アマも心配そうな表情で見つめている。
『はあ…。高校生にして、お強いお方だ。
ああ、それと敵スタンド使いはもう連行されましたので、ご安心を。まだ他の仲間がいるかもしれないので用心してください。花京院さんは絶対安静でお願いします。ではそろそろ我々はこれで。』
『ああ…。………助かった。』
財団員がぞろぞろと家を出ていった。本当に奴が許せない。同時に自分にも腹が立って仕方がなかった。早くに花京院を信じていれば…。クソ…殴り足りねえぜ……。
『承太郎。典くんのこと…見ていてあげてくれる?親御さんには何とか連絡しておくから。』
『…言われなくてもそのつもりだぜ。』
『お願いね…。』全てを見透かすように、アマが優しく微笑んだ。
横たわる自分の体を起こした。
時計を見ると数時間が立っている。自分も寝てしまっていたのだろう。
花京院はまだ意識が戻っていないようだ。
自分の手で、花京院の額を優しく撫でた。
その瞬間、紫色の優しい瞳がゆっくりと開いた。
『じょ……た…ろう。』