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その頃、力の豪邸からわずか5キロほど離れたビジネスホテルの一室では・・・
三人の韓国人の未成年の女の子達が大声で揉めていた
「どうすんのよ!こんな子連れて来て!」
力達のロックグループ(ブラックロック)の過激ストーカー・サセングループのリーダー格、「ユンジン」が韓国語で叫んだ、おかっぱに切れ長の目、スリムな体で背が高い、彼女はリキのサイン入り公式Tシャツを着て部屋中をウロウロしている
「だってしょうがないでしょ!この子に力の家にしのびこんでいるのを見られたんだもん!」
もう一人の仲間「ヒョンビン」がユンジンに叫び返した
丸メガネに身長は低め、彼女はリキのライブ映像を編集してTikTokにアップする自称「公式ファンアカウント」の管理者だ、フォロワーはなんと60万人越えで、力を有名にしたのは自分だと豪語している、今ヒョンビンはベッドの上で体育座りしながら、持参した韓国海苔をバリバリ食べている
「あのままこの子をあの家に置いていたら私達の事が力にチクられるわ!!」
最後もう一人、ツインテールにパンクファッションの女の子「ソア」もそう言った
彼女はリキのインスタライブで「リキ、結婚して!」と自分の打ったコメントを読まれたと本人は信じている、その経験から自分はリキの「特別なファン」だと豪語する
ソアはホテルの安っぽい鏡の前で、リキのライブ風ポーズをキメながら意見を述べるが、鏡に映る自分の姿にうっとりして話が途切れる
ユンジン・ヒョンビン・ソア・・・この18歳の三人の頭の中は24時間「力一色」で
彼女達は、ブラック・ロックの内部情報を売る、怪しいファイブの関係者をSNSで発見し、貯めたバイト代をはたいて拓哉達の日本行きの夜間飛行の情報を購入した
さらに自分達も前日から格安LCCで関空に到着して拓哉達を出待ちし、三人の中で唯一(国際運転免許証)を持っているユンジンの運転で黒いレンタカーを借り、メンバーが空港に現れてからずっと彼らを尾行していたのだ
そして何日も彼らを観察した結果、力の豪邸に誰もいなくなる隙を見つけて上手く忍び込んだ
しかし、なんと偶然にもそこで音々と鉢合わせしてしまい、パニックの末、自分達のホテルに音々を連れ去ってしまったのだ
SNSの情報収集だけは達者で、愚かな若者達は、常識もなければ計画性も何もない
ただ、ただ「24時間リキを近くに感じたい」という熱狂だけで突っ走っている「迷惑ストーカー・サセングループ」なのである
音々の誘拐は三人にとってはまったく予想外の事だった、その後の計画など全くない三人はさらに喧々囂々となにやら揉めている
ギャー、ギャー「だからって連れてきてどうするのよ!明日私達は帰るのよ!」
「明日こっそり力の家に置いて帰ったらいいわよ!」
「どっちみちこの子は私達の事をチクるわよ」
「その頃には私達は飛行機の上よ!誰か分りゃしないわよ!」
「だいたいあんたが(力のシャツ盗みたい)って地下に行ったから!」
「ソアだって(力の家のゴミ箱漁りたい)って言ったでしょ!」
「この変態!」
「お互い様よ!」
・:.。.・:.。.
喧々囂々と三人での口喧嘩は果てしなく続く
それを音々が目の前のソファーに座って、バリバリと貰った韓国ノリを口に頬張りながら見ている
ギャー!ギャー!「○!※□◇#△!」
「◎△$♪×¥●&%#?!」
「¢£%#&□△◆■!?」←音々にはこう聞こえる
音々の横のソファーには力の写真や公式グッズが綺麗に並べられている、彼女達はどこへ泊るにも力グッズを並べて「祭壇」を作る
「ねぇ!これおいしいね!もっとちょうだい!」
音々が手に持っている韓国のりを翳して、ギャーギャー騒々しく口喧嘩している三人に言った、ピタッと三人が音々に向き合った
「げっ!何か言った!」
「・・・しゃべったわ!」
「しゃべった!」
ギロッ「さっきから「力」「力」って聞こえるけど、お姉ちゃん達はパパのファンでパパがいない隙に家に忍び込んだのね!人ん家に勝手に入るのはドロボーだよ!」
音々は三人を睨んだ、その顔があまりにも力にそっくりだったので思わず三人は見とれてしまった
ウットリ・・・「リキ・・・(はぁと)」
「なっ・・・なんて言ったの?」
「さぁ?日本語わからないわ・・・」
三人はうっとりと頬を染め、力にそっくりの音々を見つめた
「今なら音々も一緒に謝ってあげるからおうちに帰して!でないとうちのママ、怒ると怖いんだよ!」
音々が腕を組んでキッと三人を睨んで言う、その表情が、リキのライブでマイクを握る時のドヤ顔にそっくりすぎて、三人は思わず息をのむ、この子は間違いなく力の子だ
「力ってさ・・・奥さんも、子供もいたんだね・・・」
ガックリ肩を落としてヒョンビンが言った
「まっ・・・まだ分かんないわよ!力の愛は私達だけものよ!女が勝手に産んだだけかもしれないじゃん!」
「信じられない!リキに子供がいたなんて!私の心粉々にされた!もうリキのファンやめる!」
ヒョンビンがベッドの上で膝を抱え、まるで恋人に浮気されたヒロインの如く号泣していた
「何言ってるのよ!ヒョンビン!2022のライブの後!あたし達一生力を推すって誓ったじゃない!」
ユンジンがヒョンビンの両肩をガシッと掴み、ブンブン揺さぶる
「そうだよ!ヒョンビン、アンタ、弘大のライブハウスで『リキ、永遠に愛してる!』ってスプレーアート画いたじゃん!それファンの間で聖地になってるんだよ?アンタの力に対する愛、その程度!?」
ソアもヒョンビンに言う、彼女の二の腕には「Riki」のタトゥーが入っている、ヒョンビンはメガネをクイッと上げ、涙と鼻水でぐしゃぐしゃの顔で反論する
「だって裏切られた気分だもん!リキは私の心の王子様だったのに!この子見てよ、あの顔、めっちゃリキじゃん!DNA濃すぎて直視できない!!王子様には隠し子なんかいないわよ!」
大泣きしているヒョンビンが、ソファーで韓国ノリをバリバリ食べながら自分達を眺める音々を指差す
「どうせすぐ別れるわよ!」
「アタシだって力の子供産みたいわ!」
「アンタ達、弱すぎ、力に子供がいたって、私達の愛は無敵よ!子供がいたって力は私達を選んでるわ!私たちの絆はダイヤモンドより硬いのよ!」
「私たち、ブラック・ロックのサセン三銃士よ!リキの私生活を暴くため、韓国からLCCで飛んできたじゃない!何を見ても動じてはいけないわ」
「ひょっとしてメンバー達・・・子供ゴロゴロいたりして・・・」
「いやーーーーー!!」
ヒョンビンが泣き叫ぶ
「あたしはリキの全てを愛する覚悟ができてる!子供だろうが、隠し子だろうが、リキのDNAなら全部推せる!」
「ねぇ、トイレ借りるよーー」
音々が三人に聞くが、熱くなっている彼女達はトイレに行こうとする音々にまったく関心がない、トコトコ音々が三人の前を通り過ぎても一向に口喧嘩は収まらない
トイレのドアの近くでユンジンのスーツケースが大きく開かれていた、そこにはここへ連れて来られる前にユンジンに取り上げられた、音々のキッズスマホが無造作に放り投げ出されていた
音々はチラリと三人を見たが、まだまだ口論は白熱している、誰も音々に関心を向けていない、音々は「ピッ」と自分のスマホの電源を入れた
待ち受け画面に音々と沙羅の笑顔が映し出され、電源が入った、そして画面右上に力がスマホに搭載させた、高性能位置情報追跡アプリの赤い丸が灯った
音々はそれをそのままにして、またソファーに戻った
そしてまた、韓国ノリをバリバリ食べながら三人の口喧嘩を優雅に眺め出した
「そうだよ!ヒョンビン、アンタ、弘大のライブハウスで『リキ、永遠に愛してる!』ってスプレーアート画いたじゃん!それファンの間で聖地になってるんだよ?アンタの力に対する愛、その程度!?」
ソアもヒョンビンに言う、彼女の二の腕には「Riki」のタトゥーが入っている、ヒョンビンはメガネをクイッと上げ、涙と鼻水でぐしゃぐしゃの顔で反論する
「だって裏切られた気分だもん!リキは私の心の王子様だったのに!この子見てよ、あの顔、めっちゃリキじゃん!DNA濃すぎて直視できない!!王子様には隠し子なんかいないわよ!」
大泣きしているヒョンビンが、ソファーで韓国ノリをバリバリ食べながら自分達を眺める音々を指差す
「どうせすぐ別れるわよ!」
「アタシだって力の子供産みたいわ!」
「アンタ達、弱すぎ、力に子供がいたって、私達の愛は無敵よ!子供がいたって力は私達を選んでるわ!私たちの絆はダイヤモンドより硬いのよ!」
「私たち、ブラック・ロックのサセン三銃士よ!リキの私生活を暴くため、韓国からLCCで飛んできたじゃない!何を見ても動じてはいけないわ」
「ひょっとしてメンバー達・・・子供ゴロゴロいたりして・・・」
「いやーーーーー!!」
ヒョンビンが泣き叫ぶ
「あたしはリキの全てを愛する覚悟ができてる!子供だろうが、隠し子だろうが、リキのDNAなら全部推せる!」
「ねぇ、トイレ借りるよーー」
音々が三人に聞くが、熱くなっている彼女達はトイレに行こうとする音々にまったく関心がない、トコトコ音々が三人の前を通り過ぎても一向に口喧嘩は収まらない
トイレのドアの近くでユンジンのスーツケースが大きく開かれていた、そこにはここへ連れて来られる前にユンジンに取り上げられた、音々のキッズスマホが無造作に放り投げ出されていた
音々はチラリと三人を見たが、まだまだ口論は白熱している、誰も音々に関心を向けていない、音々は「ピッ」と自分のスマホの電源を入れた
待ち受け画面に音々と沙羅の笑顔が映し出され、電源が入った、そして画面右上に力がスマホに搭載させた、高性能位置情報追跡アプリの赤い丸が灯った
音々はそれをそのままにして、またソファーに戻った
そしてまた、韓国ノリをバリバリ食べながら三人の口喧嘩を優雅に眺め出した
・:.。.・:.。.
【力の豪邸】
力の家のリビングははまるで時間が止まったかのように静寂に包まれていたが、その静けさは不安と絶望が織り交ぜられた重苦しいものだった
沙羅はソファの端に座り、両手を固く握り合わせていた 、その指先は震え、爪が掌に食い込むほどだった
警察の無線が時折、途切れ途切れに響き・・・拓哉、誠、海斗、そしてマネージャーのジフンが力の父親、健一と供に部屋の片隅で言葉少なに佇んでいた
力はリビングの中央に立ち、腕を組んで窓の外を見つめていた
その時、突然刑事の一人が叫んだ
「GPS信号反応が出ました!」
その声は部屋の凍てついた空気を一瞬で切り裂いた
「何だと!」
「位置情報確認しました!
刑事の声が鋭く響き、力の身体が刑事達の方へ勢い良く振り返った 、沙羅の心臓が激しく鼓動を始めた、 メンバーもドワッと集まってきた、希望の光が微かにだが、確かに灯ったのだ
リビングに集まっていた刑事達が慌ただしく動き始めた、無線が一斉に鳴り響き、指示が飛び交う
「ここから5キロのビジネスホテルです!」
刑事の声に力の目が鋭く光った
「出動だっ!」
「出動!」
「出動!」
刑事達の声が重なり合い、リビングは一気に戦場のような緊迫感に包まれた
途端に緊急サイレンを鳴らしたパトカーが何台も力の家から飛び出していく
ガバッと沙羅も立ち上がって周りを見つめた
「よし!沙羅!僕達も行こう!」
力が沙羅に向き直り、その手を差し出した 、その瞬間沙羅の時間が止まった
力の手・・・
沙羅は力の手を見つめた、音々を救うために立ち上がる力は、沙羅がかつて愛した男そのものだ、震える手で力のその手をぎゅっと握った
もう二度とこの手を離したくない、どんな困難が待っていようと
私は力の傍で生きていたい、音々を取り戻し、三人の家族を再び一つにするために
力の手の強さに沙羅の心は震えた
私は三人で生きて行きたい!そのためなら何だってする!力と共に音々を迎えに行く! その決意はどんな闇も打ち砕く光だった
「俺達も行くぜ!」
拓哉が沙羅の肩を叩いて言った
「絶対に音々ちゃんを連れ戻す!」
誠と海斗も無言で頷きジフンと健一が車に走った
家族と友人・・・ここにいる全ての人が音々を取り戻すために一つになっていた
パトカーが順番にビジネスホテルの前に急停車した、 刑事達が一斉に飛び出して建物を包囲する
力と沙羅も車を降りて涼しい夜風に身を晒した、力の手は依然として沙羅の手を強く握っていた
音々を取り戻すために無数のパトカーがホテルを囲み、捜査令状を持った刑事がどんどん入口へ入って行く
沙羅と力の二人もホテルの入り口へと急いで向かい、背後ではブラックロックのメンバー達が続いている、その姿はまるで一つの家族のようだった
その頃、『サセン』三人組のホテルの部屋は、韓国から力を追いかけてやってきた熱狂的ストーカーファン(ユンジン、ソア、ヒョンビン)の三人が日本に到着してから数日で部屋を飾り付け、完璧なブラックロックルームに作り替えていた
壁にはブラック・ロックのポスターや、力の顔がプリントされた自作のTシャツ、公式グッズとぬいぐるみ、さらにはコンビニのスナック菓子の袋が散乱し、まるでティーンエイジャーの秘密基地の様だった
彼女達の計画は、力の豪邸に忍び込んで「リキの日常の空気」を味わう事だったが、なぜか今、目の前には力の愛娘、音々が、ソファーの上でブラックロックの公式ファングッズ、力の等身大エアークッションの上でふわぁ~っと大あくびをしている
「ねえ、ちょっと! なんか外が騒々しいわよ、パトカーめっちゃいるんだけど!?」
ユンジンが残りの二人に言う