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――仕事終わり――


「はあっ…はあっ…」


私はお店を閉めると、全力疾走で駆け出した。向かった先は駅。


待ち合わせの場所に行くために。職場の人にバレるのを避けるため、少し遠い隣街に設定しているのだ。



夜遅いため、少しでも逃すと時間に遅れてしまうから、慌て出てきた。



息も絶え絶えに、駅に駆け込むと、焦る気持ちで震える指先で切符を買い、改札を風のように通り過ぎる。


そして、ちょうどきた電車に、滑り込んだ。



「ま、間に合った…」


呼吸を整えながら、肩で息をする。

携帯で時間を確認すると、ギリギリ遅れなそうだった。


あまり待たせると騙されたと思って帰るかもしれないから、早めに行くようにしている。



――ガタンゴトン――


電車の音に心地よさを感じながら、辺りを見渡す。


時間帯が遅いだけに、座り放題だ。しかし私は座ることをせず、歩き出す。


たどり着いたのは、電車の中にあるお手洗いだ。


――ドサッ――


中に入ると、重量感のあるカバンを下ろし、ふぅ、と息を吐く。


仕事の道具にしてはやけに大きいカバン。取り出したのは、私服だった。


さすがに職場の制服で行く訳にはいかないから、毎回普段着を持って通勤してるのだ。


結んでいた髪をほどき、くしで整える。艶のある指通りのいい髪が露になった。


そして、用意した私服に着替える。白を基調とした、肩が出ているフワフワのセーターに、チェック柄の、フリルがついているミニスカート。


膝上まであるニーハイを履いて、靴もロングブーツに履き変える。


仕上げに艶々のピンクのグロスを塗って完成。

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