コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
――仕事終わり――
「はあっ…はあっ…」
私はお店を閉めると、全力疾走で駆け出した。向かった先は駅。
待ち合わせの場所に行くために。職場の人にバレるのを避けるため、少し遠い隣街に設定しているのだ。
夜遅いため、少しでも逃すと時間に遅れてしまうから、慌て出てきた。
息も絶え絶えに、駅に駆け込むと、焦る気持ちで震える指先で切符を買い、改札を風のように通り過ぎる。
そして、ちょうどきた電車に、滑り込んだ。
「ま、間に合った…」
呼吸を整えながら、肩で息をする。
携帯で時間を確認すると、ギリギリ遅れなそうだった。
あまり待たせると騙されたと思って帰るかもしれないから、早めに行くようにしている。
――ガタンゴトン――
電車の音に心地よさを感じながら、辺りを見渡す。
時間帯が遅いだけに、座り放題だ。しかし私は座ることをせず、歩き出す。
たどり着いたのは、電車の中にあるお手洗いだ。
――ドサッ――
中に入ると、重量感のあるカバンを下ろし、ふぅ、と息を吐く。
仕事の道具にしてはやけに大きいカバン。取り出したのは、私服だった。
さすがに職場の制服で行く訳にはいかないから、毎回普段着を持って通勤してるのだ。
結んでいた髪をほどき、くしで整える。艶のある指通りのいい髪が露になった。
そして、用意した私服に着替える。白を基調とした、肩が出ているフワフワのセーターに、チェック柄の、フリルがついているミニスカート。
膝上まであるニーハイを履いて、靴もロングブーツに履き変える。
仕上げに艶々のピンクのグロスを塗って完成。