テラーノベル
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――もう手遅れだ。これ。
――俺が悪いんだったな。
「……はは……そうかよ……」
敦の腕から手を離し、首領室に背を向けた。
それからというもの、敦は毎日首領室であるはずもない任務の報告をしていた。中也も、もう止めることはなかった。そうして、時間は過ぎ、月日は経った。
あれから何日が立ったかも覚えていない。仕事の内容も頭に入らない。部下からの話もあまりわかっていなかった。
――そして、なんとなく首領室に向かった。理由なんてない。ただ、太宰がいるような気がしたから。
重い扉を開けた。そこには―――
誰もいなかった。
「……まぁそうか。彼奴死んだんだもんな…いたらそれはそれで怖―――」
視界の端に、包帯が、一瞬、映ったような気がした。
「……は…幻覚まで見るようになっちまったか俺ァ…これじゃまるで敦と一緒じゃねェか……」
「……中也さん?」
ぼやいてから、何分経っていたのだろう。敦の声で、我に返った。久しぶりに聞く、あの声。少し冷たく、穏やかな声。
「……敦か。…太宰か?」
「あ、まぁそんな感じです…あ、でも中也さんにも用はありますよ」
「…俺にか。」
「はい。ちょっと聞きたいことがあって…」
「聞きたいこと。」
珍しかった。敦が自ら話しかけてくることが。ましてや、聞きたいことだなんて。…いや、昔はそんなことなかったな。
「――首領と、一緒に見たい景色って、ありますか?」
「……んだよそれ。」
「あ、いや、特に理由はなくて。」
「…なんとなくです。」
「なんとなく、ねぇ……」
太宰との日を思い出す。その中にはいつも、太宰の薄い笑みがあった。自分をからかって、笑っている、あの笑みが。そして、それだけで、なぜか安心している自分がいた。
「――お前は。」
「お前はあんのかよ。彼奴と一緒に見たい景色。」
静かに、落ち着いた声で言った。
「―――天国が、見たいです。」
「……手前さ、」
「?はい。」
「…似てきたな、太宰に。」
「……そう、ですか…?」
敦はへらっと笑った。何もかも久しぶりだった。顔を見るのも。声を聞くのも。笑顔を見るのも。
「…そうかもな。」
ただ、それだけでは安心が出来なかった。精神状態は安定しているように見える。相変わらず太宰の幻覚を見ているようだが。そんなことよりも、痩せている。前より、確実に。しかもかなりだ。相当食べていないのだろうか。それに、隈もできている。健康とは程遠い容姿になっていた。
「…おい、敦。お前、きのうの晩飯、何食った。」
「…え、どうしたんですか急に……」
「いいから。答えろ。」
「昨日は、太宰さんと一緒に食事を――」
「太宰と一緒に何食った。」
「サラダとか、お魚とかですかね…太宰さんいっぱい食べてくれましたよ。」
「……手前はなんか食ったか。」
「え、えっと…よ、よく覚えてないです…すみません…。」
「……そうか。」
重い沈黙が部屋の中を満たした。二人共言葉を発さない、沈黙。その空気を破るように、敦が口を開いた。
「……あ、中也さんは太宰さんと見たい景色とか、場所とかありますか?」
「…ねぇよ。そんなの。」
「え~……そ、そうですか…?」
「……まぁ、強いて言うなら―――」
「―――地獄。」
へたくそですね。投稿頻度がわからない…3日に一回ぐらいの頻度で小説は投稿するかもっすね。
コメントしてくれる人少なくて悲しい…てか見てる人自体が少ない。
んじゃ( ´Д`)ノ~バイバイ
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#文ストBEAST
#文スト腐
霰石
1,015
コメント
4件
第4話、読み終えました……「包帯が一瞬映った気がした」のところ、すごく胸にきました。中也がまだ太宰の幻覚を見てしまう切なさと、敦が「天国が見たい」と答えたときの静かな強さが対比的で、二人の距離感がじんわり伝わってきました。最後の「地獄」という中也の答えも、重くて深くて、もっと読みたくなりました。投稿頻度は無理なくで大丈夫です、応援してますね🌷