忘れてはいけないものを忘れている気がした__
類 視点 ____
今日は休日、 外では子供達の声が飛び交っていた 。 そんなことはお構い無しに作業をしている、 ここ数日寝ていない。寝たらまた、あの夢を見てしまうからだ。
ゴールドピンクと黄色でグラデーションになっている髪にキリッとした目の彼。いつも夢の中に出てきては僕に話しかけてくる、
彼はいつも 『 類 ! 』と呼ぶが 僕は彼のことが分からないため毎回何故名前を知っているんだろう、と考えてしまう。彼の夢から覚めた時は毎回涙を零している。 だから寝るのは苦手だ。
彼が夢の中に出てくるときは何故かすごく楽になる気がする。忘れていた思い出を全て思い出せれたような、スッキリする感覚だ。僕よりは背が小さく声の大きいあの子。次第に気になってたんだと思う。
とうとう限界を迎えたある日死んだかのようにパタリ、と眠りについてしまった。
そこで彼に出会う。 何時ものように元気で明るくニコニコと微笑んだ彼が 『 類〜っ ! 』と声を掛けてくれる。
また君かい? と言えばしゅんとした顔で 俺ではダメなのか…?と首を傾げ聞いてくる。その問いには答えず少し考え込んだ末彼に
『 君は一体誰なんだい? 』
と聞いてしまう。彼は目を見開いて僕のことを見つめるが次第に表情が落ち込んでいく。はぁ、…と溜息をついた後に彼は表情を普段通りに戻し
『 俺の名前は天翔るペガサスと書き天馬!世界を司ると書いて司!その名も__天馬司だ! 』
と大きな声で自己紹介をされた。どこか…懐かしいような気がした。
『 司、くん。だね、…もう1つ質問があるんだけれど。君は一体 何者なんだい? 』
毎回夢に出てきて毎回僕に話し掛けてくる彼の事がとても気になっていた。彼は少し考え込んだ後口を開き
『 俺は ___ 』
そこで夢は途切れてしまった。 はっ と目を覚まし周りを見渡すとグチャっとなった部屋。いつもと変わらなく少しほっとした。結局彼は何者なのか分からなかった。また今度僕の幼馴染の彼女に相談してみようかな…、なんて思った。
その時ふと違和感を感じた。何時も流していた涙が今日はなかったのだ。たまたまだろう、と受け流し何時ものコンビニ弁当を食べまた作業をする
そこから数日後彼女から僕の家を訪れてきた。そこには見慣れた彼女ともう1人見慣れた子
『 やぁ、 寧々 、 えむくん 。君達が僕の家に来るとは珍しいね?何かあったのかい? 』
と首を傾げ聞くと寧々が口を開き
『 類、もう大丈夫…、なの?あの時はとっても落ち込んでたけど、…もう立ち直れたの? 』
あの時 … ? ___ 何時のことだ。 少し考え込んでは彼女に
『 あの時って… 何時のことだい? 』
と聞いてみる。すると次はえむくんが口を開き
『 えーっ!類くんまさか忘れちゃった…の? 』
と、とてもしょんぼりした顔で僕を見つめる。よく分からなかった。
『 1番落ち込んでたあんたが忘れてどうすんのよ、!! 司を無くして1番最初に壊れたのはあんたなのに…!!!!! 』
と怒鳴られるように言われた、もういい。とだけ言い残し寧々はどこかへ消えていった。その後を追うようにえむくんも消えていった。
司…、? どこかで聞いたことがある名前… ____ まさか … ! と思った瞬間すぐさま布団の中に入り眠りにつこうとした。疲労は溜まっていた為すぐに寝ることが出来た
けど今日は、彼は僕の名前を呼んでこちらに駆け寄ってくれなかった。辺りを見渡しても何処にもいなかったんだ。
いくら探しても何処にもいない。司 くん!!!!!と叫んでも彼からの返事は無い。後悔した、聞きたいことは沢山あるのにいない。夢の中だと言うのに大粒の涙をいつの間にか零していた。
止まることの無い涙の雨。そんな雨を拭うべ手を目にやろうとすると先に誰かの指が僕の涙を拭った。
見覚えのある顔、ゴールドピンクのグラデーションがかかった綺麗な髪。キリッとした目、全てを思い出させられた。なぜ忘れていたんだ、こんな大切なことを…と思うとまた涙が溢れてきた
『 類は何時になっても泣き虫だな、 』
と苦笑いをする彼に僕は抱きついた。忘れてはいけない存在、僕のスター、泣き虫にさせたのは君なのに。と思っていたら彼も抱き返してくれた。なんで、なんで僕を置いていったの、と言いたいのに、上手く言葉が発せなかった。今までももやもやの原因は彼だったんだ。虫が苦手で、ピーマンも苦手で。けれど友達思いな、そして妹思いな。明るい笑顔の穏やかな君を忘れてしまっていた僕を殴りたかった。
この夢が覚めてしまえばもう会えない気がした。離さないと言わんばかりの強さで彼を抱きしめた
『 もう僕を置いてかないでよ、_ 』
泣きながら答えた。司くんは申し訳なさそうな顔でそれは無理なんだ、と応えた。駄々を捏ねる子供のように首を左右に振り置いていかないでよ、と訴えかける。
少し落ち着いた後に彼に僕は
『 僕だけのスター。今なら言えるよ、 君の事を愛してた。誰よりも 』
と格好つけて言えば彼は涙を流しそして微笑んだ、
『 俺も! 類のことを ___ 』
コメント
5件
めちゃめちゃ好きです... ブクマ失礼します!!
最高です…((吐血(^q^) フォロー失礼します… 大好きです!←壊れてる
おい、最高過ぎてスマホ投げてしまったぞどうしてくれるんだ。