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誰も知らない、高嶺の花の裏側2
第58話 〚同じテーブル、違う好み〛(全体)
衣装の袋を抱えたまま、
ショッピングモールを歩いていると——
「……お腹空いた」
みさとがぽつり。
その一言で、全員が止まった。
「確かに」
「さっきからずっと見てるだけだったしね」
というわけで、7人が入ったのは
モールのフード街にあるレストラン——
《キッチン・ノア》。
広めのテーブルに、全員で並んで座る。
メニューを開いた瞬間、
澪は迷いなく指をさした。
「カレー」
「俺も」
海翔も即答。
「また!?」
えまが笑う。
「好きなんだよ」
澪は少しだけ照れた。
注文が終わって、
料理が運ばれてくる。
澪と海翔の前には、
同じ色のカレー。
「やっぱ匂いで分かるよね」
海翔が小さく言うと、
「……うん」
澪は静かに頷いた。
えまとしおりは、
並んでうどん。
「落ち着く味〜」
「分かる」
みさとは、どん、と置かれた
カツ丼を見て満足そう。
「今日はこれ」
玲央はフォークを持って、
スパゲッティをくるくる巻く。
「洋食も悪くない」
そして——
「……え?」
店員が運んできた丼を見て、
全員がりあの方を見る。
「ラーメン二杯で!」
「二杯!?」
えまが思わず声を上げる。
「だってお腹空いてたし」
りあはケロッとしている。
「すご……」
澪が小さく呟くと、
「見てて気持ちいいね」
みさとが笑った。
食べながら、
衣装の話、学校の話、
どうでもいい話。
笑い声が、自然に重なっていく。
りあは、ラーメンをすすりながら、
ふと周りを見た。
(……一緒に笑って、ご飯食べて)
胸の奥が、少しだけ温かくなる。
「……美味しい」
誰に向けた言葉でもなく、
りあはそう呟いた。
同じテーブルで、
同じ時間を過ごす。
それだけで、
確かに“仲間”になっている気がした。
ハロウィンは、まだ先。
でもこの日の思い出は、
もうちゃんと——
7人の中に残っていた。