三人が並んで立っている。
黒崎理事長は静かに言った。
「入学前に一つだけ見せておこう」
陽葵が首をかしげる。
「何をですか?」
「私の能力だ」
蓮の表情が少しだけ変わる。
「……ここで?」
「問題ない」
黒崎はゆっくり手を上げる。
「よく見ていろ」
次の瞬間。
パキッ。
空間に、ひびのようなものが走った。
「……え?」
陽葵が目を見開く。
目の前の空間が――
ガラスみたいに割れた。
その向こうには。
さっきまでなかった景色。
別の場所。
「空間……?」
凛が小さくつぶやく。
黒崎が言う。
「そうだ」
「私は空間を操作する能力を持っている」
指を軽く動かす。
すると。
ドームの端に置かれていた鉄のブロックが――
一瞬で目の前に移動した。
陽葵が叫ぶ。
「ワープ!?」
「近い」
黒崎は続ける。
「空間を繋げる」
「切る」
「歪める」
その瞬間。
黒崎が指を横に振る。
シュッ。
空気が鳴る。
遠くの壁に、まっすぐな切断跡ができていた。
「……今の」
蓮が低く言う。
「空間斬り」
凛も静かに言う。
「見えなかった」
黒崎は淡々と答える。
「見えない」
「空間そのものだからな」
陽葵はぽかんとしている。
「えっと……」
「それって」
「めちゃくちゃ強くないですか?」
黒崎は少し考えてから言う。
「まあ」
「強い部類だろう」
蓮が小さく笑う。
「謙遜がすごい」
凛も言う。
「だからランキング一位」
陽葵が震える。
「私……」
「そんな人に推薦されたの!?」
黒崎は静かに答える。
「そうだ」
そして陽葵をまっすぐ見る。
「君にはそれだけの価値がある」
その言葉に。
陽葵の胸が、少しだけ熱くなる。






