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第6話「独り占めしたい夜」
大学帰り。
疲れすぎて、紗愛はカバンを適当に置いてベッドに倒れこんだ。
「……しんど……」
スマホの通知が光る。
──樹《今日、来れる?》
いつもならツンデレ全開で
“行かねーし”って返すところだが、
今日は疲れすぎて返事が止まった。
すると、すぐ次の通知が。
──樹《紗愛?どうした?》
紗愛は渋々、短く返す。
──《疲れた。大学めんどい。》
すぐに既読がついた。
──樹《じゃあ……迎えに行っていい?》
心臓が跳ねた。
「……なんで来んだよ……」
文句を言いながらも、
耳は完全に赤い。
そして数十分後。
玄関のチャイムが鳴った。
ガチャッ。
「……樹。なんで来てんだよ」
「紗愛が疲れてるって言ってたから。
無理するなよ」
樹は当たり前のように部屋に入ってきて、
紗愛の髪をそっと撫でる。
「ほら、こっち来い。
紗愛、今日は……俺の隣、空けとけよ」
「はぁ?なんで私が……」
強がりながらも、
結局樹の横に座ってしまう紗愛。
樹はコップに少しだけ氷を入れ、
ハイボールを注ぎながら言った。
「今日の紗愛……なんか……可愛いな」
「うるせぇ……疲れてんだよ……」
紗愛がそっぽ向いた瞬間、
樹がふっと笑う。
その笑顔は、
他の誰にも向けない“特別な笑顔”。
「紗愛は……俺だけに見せとけよ。
他のやつには、見せんな。」
甘くて、少し低い声で。
紗愛の胸がドクンと跳ねる。
「……なっ……なんで……嫉妬してんだよ……?」
「嫉妬するに決まってるだろ。
俺、お前のこと……誰よりも見てたいから」
耳が真っ赤になる紗愛。
「……バカ……そんなの……言うなよ……」