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泥水でも水は水だった。

多少の水分補給は出来た。クソ不味かったけどな! で……漂流者のエルフだが。彼女は俺の横でゲロゲロとレインボー色の液体を嘔吐おうとしていた。泥水がよっぽど受け付けなかったらしい。


俺は泥水を啜ってでも生き残ってやるがな。



「……ぺっぺ。酷い味ですぅ」

「死ぬよりかはいいだろ。ところでエルフ、お前の名前はなんだ」


「も、申し遅れました。わたしはエルフの国『ボロディン』から流されてきました『スコル・ズロニツェ』という者です。ふつつかものですが、よろしくお願いします」


三つ指をついて挨拶をするスコル。馬鹿丁寧に頭を下げられ、俺はちょっと照れた。……てか、本当にエルフだったのかよ。スコルか、なかなか可愛い名前をしているじゃないか。


……ん?


スコル……どこかで聞いた事があるよな。ないような。まあいいか。



「俺は帝国の元第三皇子・ラスティだ」

「て、帝国の皇子様!?」

「そうだ。なんか文句あるか」

「ないですけど、でも元って……」


「追い出されたんだ、クソ親父にな。けどな、俺はこの『無人島』で生きる事にしたよ。最強の国家を作り上げて、親父をギャフンと言わせてやるんだ。スコルだっけ、お前も手伝え」


「ええー! わたしもですかぁ。それより、無人島を脱出して大陸へ帰った方が良くないですか? 生き延びられる気がしないのですが」


不安気に俺をみつめるスコル。確かに今の状態は心もとない。水だって満足に作れていない絶望的状況。だが、希望は常にある。


この俺の手にな。



「安心しろ。俺には『無人島開発』スキルがあるのだ。スコル、お前が手伝ってくれれば貴族の暮らしよりも快適な環境を作り上げてやるぞ」


「本当ですかぁ?」

「本当だ」

「本当に本当に?」

「本当に本当に」



「じゃあ、お試しって事でいいですか?」

「お試し? なぜだ。どうせ無人島は出られないんだぞ」

「あのですね、わたしはエルフですよ」

「だから?」


「……まあいいです。じゃあ、ラスティさん、よろしく」



握手を交わし、ここに契約は交わされた。俺はラッキーだ。一生、孤独かと思っていたのにこんな美人エルフと共に無人島生活を送れるのだからな。


スコルの為にも俺は頑張る。……おぉ、そうか人の為と思えば頑張れるんだな、俺。





スコルは食糧調達に出た。木の実や果物を探してくるとの事だった。ひとりで行かせて良かったものかと心配になったが、こういうのは分担作業の方が効率がいいのだ。俺は俺でやるべき事がある。


今度は沼ではなく『小屋』を作る。そろそろ日も傾くから、寝床を作らないと大変だ。小屋の製作には『木材』と『石』が必要だ。個数は『10個』ずつで良いらしく、コストも低め。これなら直ぐに出来るな。


さすが『無人島開発』スキル。小屋くらいなら楽勝で作らせてくれるようだ。よし、収集を開始する――。

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