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ぐぅ~・・・

「腹へったね・・・・」


「私も・・・朝食なら軽いものが作れるけど」




ウツらウツらと心地良い温かな彼と、布団にもぐりながら、しぶしぶ手を出して洋平の肩を掴む



満ち足りた感覚でいっぱいだった、毛布の中と比べると部屋の空気がひんやりと冷たく感じる



暖房をつけないと・・・・・



そう思いながらも、また手を下げて温かな毛布に入れ彼の胸に触れる




はぁ~・・・あったかい・・・彼の体、電気毛布より暖かいなんて・・・どうしよう・・もう手放せないかもしれない




「一緒にあのパン屋に行こうよ、くるちゃん、朝の散歩がてらさっ・・・その・・・話したいこともあるし」



「う~ん・・・・」




そうね・・・寒いけど二人のベーカリーまでのお散歩は楽しそう・・・




「それじゃ・・・先にシャワーを浴びてもいい?」



「どうぞごゆっくり!僕は待ってるよ」





洋平が軽くくるみの唇にキスをした、う~ん・・・この唇には一晩中キスをしたのに、いつだって彼とのキスは嬉しい、仕方がなくムクりと起き上がったくるみが、床に脱ぎ捨てたままの洋服をチラリと見る




昨日までのくるみの生活でこんな風に洋服が、床に脱ぎ捨てた状態になっていることはあり得なかった



どうやら素晴らしいセックスと、家の整理整頓は両立しないものらしい



裸を見られるのはまだ恥ずかしい、慌ててくるみはベッドボードにあるガウンをはおり、バスルームへそそくさと逃げようとした




「ねぇ、テレビ見てていい?」


「ご自由に、そこらへんの雑誌でも見てゆっくりしててね」



洋平がテレビの横に無造作に置いてあった雑誌の山から


「ナショナル・ジオ・グラフィック」



を手に取ったのが見えたが、気にせずクルミは、そのままフラフラとバスルームに向かった





・:.。.・:.。.





体を打ち付ける熱いシャワーがとても心地よい、くるみは長距離マラソンを走った気分だった、疲労困憊なのだが気分は爽快だ、何だかはしゃぎたくなるほど元気だ、それなのに頭は空っぽの状態




洗面所で髪を乾かし、花のイラストの模様のトレーナーに白のジーンズを履いた




今この瞬間・・・くるみは自分のためばかりではなく、洋平のために美しくしたかった




軽く髪は巻いて、メイクは色づきの良いリップ・モンスターのプランパーだけにした。でも唇を艶つやにしながら考える




もしかしたら、またキスをするかもしれないから塗っても同じかもしれないと一人でクスクス笑った




すっかり身支度が出来上がったので、くるみはワクワクしながらリビングに戻った




そこにはテレビを付けているのにテレビを見ていない洋平がいた




彼はまだボクサーショーツ一枚のままで、膝の上に雑誌「ナショナル・ジオ・グラフィック」を広げ



くるみがシャワーを浴びにリビングを出た時のまま、1ミリも動いた様子がないように見えた




彼が顔を上げ、じっとくるみを見つめた、その時にくるみは彼の様子がおかしい事に気が付いた




洋平の顔には一かけらの温かみも笑みも無く、目は冷たい怒りに引きつっていた。あきらかに彼はくるみを睨んでいる




くるみの胃はなんだか彼が醸し出す、異様な空気にキリキリと痛んだ




「ちょっと・・・・お待たせしちゃったかしら?」





ただならぬ緊張でうまく声が出ない




「洋平君・・・もしかして怒っている?私・・・時間がかかりすぎたかしら?それともおなかがすいてるの?」




あきらかに怒りをたぎらせている洋平は、口を一文字にキッと結び、ボクサーショーツのまま、覆いかぶさるようにくるみの前に立ち、皮肉とも侮辱とも取れる目つきでくるみを見下ろした





「愛しいくるちゃん・・・まんまと騙されたよ・・・確かに金持ちの男を落とすには良い計画だな・・・」




意味のわからない彼の言葉にくるみはきょとん?として洋平に言った




「騙す?・・洋平君・・・私達はもう誰も騙さなくていいのよ?真剣にこれからお付き合いするんですから・・・」




洋平が苦しそうにくるみを睨み言った




「もうやめてくれ!君の台本どおりにキチンと僕は演じているかい?それが目的だったんだろう?わざわざ君の家族まで引っ張り出してきて!」



くるみは困惑して頭を振った




「台本なんてないわ・・・これは・・・・お芝居じゃないもの」




「まさしくこれは本当のドラマだな!だって僕は本当に君を愛してしまったんだから!でももう、それも終わりだ!」




洋平は突き上げてくる怒りを抑えようともせず、くるみに怒鳴った、思わず恐怖を覚える





「いいかげん観念するんだな!くるちゃん!いや・・・秋元くるみさん!種明しがわかったから、君のワザとらしい罪のない演技ももう虚しいだけだよ」




「洋平君・・・いったいどうしちゃったの?何の話か・・・私にはわからないわ・・・」





「もう嘘はたくさんだ!くるみ・・・・どんなに君が可愛くても、愛くるしくても残念ながらもうゲームは終わりだ。僕がこの部屋に来る前に証拠の品を隠すのを忘れなかったらずっと騙されていたと思ったらぞっとする!君がこんなに狡猾な財産目当ての女だったなんて!」




言葉の内容より彼の残酷な口調がくるみを傷つけた





彼いったい何をそんなに怒っているの?さっぱり意味がわからない






私の偽装婚約者は億万長者

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