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柘榴とAI

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#没入感フィクション
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「くっそ……こんなのいつ飛び出せば良いの?」
思わずそんな事を言ってしまいたくなる程、グレーさんからの乱射がキツイ。
ショットガンの癖にマガジンが付いてるって話だし、セミオートって事はハンドガンみたいに連続で撃てるって事だ。
私が使っていた様な総弾数の少ないアレとも違うし、さっき敵から奪ったポンプアクション? というガシャッって派手に引く動作も必要無い。
こんなの有り!? とか思っちゃうけど、実装されているのだから有りなのだろう。
更に言うなら今回のステージはとにかく入り組んでいる上に……狭い。
なので、彼がぶっ放すと通路そのものが危険地帯と化す。
散弾とはいえ、コレを頭や目といった私が露出している弱点に受けてしまった場合。
当たり前だけど、結果は言うまでもない。
そんな事やりながら、必死で逃げ回りつつ牽制を繰り返しているのだが。
「フハハハッ! どうしたシックス! 逃げてばかりでは勝てないと知っているだろう!? ハンドガンが有利な射程距離は、嫌でも分かっている筈だ!」
大声を上げながら、急に違う方向から飛び出してくる出っ歯さん。
そのままバカスカ撃ちまくって来るので、こっちもこっちでヒーヒー言いながら逃げないといけない。
幸いなのは、相手が変な構え方をしているので、色んな方向に銃弾が飛んでいく事。
もしもコレで物凄く正確に射撃して来たら、今既に生きていなかったかもしれない。
とはいえ“偶然”私の急所に当たるという可能性も捨てきれないので、回避行動を取る他無い。
やけに周囲に弾痕を残されつつも、どうにか身体を小さくしながら移動を続ける。
待って待って待って、これは本当にヤバイ。
どうにかグレーさんに対処しようと頭を回しても、大体このタイミングで暴れん坊の出っ歯さんが突っ込んで来る。
正確な射撃が中距離で出来るプレイヤーなら、多分対処出来るんだろうけど。
とてもじゃないけど、私には無理だ。
これじゃ近距離に近付く事も出来ないし、そもそも近付いたら相手にとっても“狙いやすい距離”になってしまうのだ。
どっちか片方の相手だったら、私でもどうにかなりそうなのに。
組み合わせが非常に悪いとしか言いようがない。
などと、大きなため息を零しながら周囲を警戒していると。
『夢月、secondが隙を作ってくれるそうだ。そのタイミングで、前衛二人を片付けろ』
お兄ちゃんから、インカムを通してそんな声が聞えて来た。
片付けろって、そんな事言われましても。
隙がどうこう言いつつも、具体的な事は教えてくれないし。
でも、お兄ちゃんが何も考え無しにこんな事言うはずない。
だったら絶対、“隙”は生まれるんだと想像して良いだろう。
「相変わらず……無茶言ってくれて」
とはいえ、恨み言の一つくらいは言いたくなってしまったけど。
『だが、やるしかない。お前なら出来る筈だ。そんでもって、その間に残りの狙撃手は俺が絶対に見つける』
だ、そうです。
ならやるしかないよね。
というか、一番厄介なスナイパーであるクロさんを見つけてくれると言っているのだ。
だったら、私の今やる仕事は決定した。
他のチームが合流してしまう前に、この三人を片付けてしまわないと本格的に不味いのだから。
私がリアルで一番尊敬している人が、“やれ”って言ったのだ。
だったら、やるしかない。
というか、“やれ”。
私の、というか6keyの存在意義は……そこにあるのだから。
いつもみたいに、出来ませんじゃ済まされない。
全て“結果”で返してこそ、仕事というモノだと思うから。
などと思っている内に、別サポーターからカウントダウンが聞えて来て。
静かに息を吸い込みながら、心の準備を整えた。
カウントがゼロになると同時に……そこら中で、カッと空が明るくなったのが分かった。
これが、合図。
「ふっ!」
無謀とも思える特攻をかましつつ、これまで銃を乱射してきたグレーさんに突っ込んでみれば。
相手はこの照明に困惑しているのか、此方から視線を外して空を見上げているではないか。
これなら……“私の距離”まで、近付く事が出来る!
思い切り姿勢を下げつつ走り寄り、ホルスターから50口径の銃に抜き去って。
相手のショットガンを横に逸らしながらも、銃口を敵の首元に押し付けた。
そして。
「私の勝ちだ」
ズバンッ! と凄い音を立てながら、此方が打ち出した大きな弾は。
防弾装備の隙間から相手の首元へと滑り込み、そのままヘルメット内で相手の生命活動を停止させてくれた。
「しっ!」
「グレェェェ! シックス貴様、俺が相手だと言ったはずだ!」
重装備の相手を倒した瞬間、今度は別の方向からハンドガンを乱射しつつスプリンターが突っ込んで来る。
スピードにもステータスを振り分けて、私のサブキャラに合わせようとしていたからこそ……速い事速い事。
けど、制御がまだ出来ていない御様子。
だったら――
『夢月、そっちはどうだ!? 逃走ルートを指示する! スナイパーの死角へ逃げるぞ!』
「もうちょっと、待って! すぐ終わらせる!」
お兄ちゃんから急かす様な声が聞えて来た為、いつもの口径のハンドガンに持ち替えてから出っ歯さんを迎撃。
しかしながら、相手は止まることなく。
腕をクロスさせた状態で二丁拳銃を乱射したまま、此方へと走り寄って来る。
なので、こっちは防弾ジャケットを広げて頭を守り。
相手の足音で距離を測りながらも……。
「ここだ!」
防御を捨てて、真正面にハンドガンを構えた。
私の銃は、間違いなく相手の額を捉えている。
だが……それは相手も同じ状況になっており。
こちらの額にも、出っ歯さんのハンドガンが押し付けられている状況に陥ってしまった。
や、やばい! これは完全にやらかした!?
なんて、思ったのだが。
「ク、ククク……やはり我々は、こうして殺し合う運命なのだろうな。そう思わないか? なぁ? シック――」
――パンッ。
何やら、銃口を押し当てたまま喋り始めたので。
こっちはそのまま引き金を引かせて頂いた。
向こうの方が若干早かった気がしたので、間違いなくキルを取られると思ったのに。
よく分からないけど……勝った?
え、あれ? こういう時って、相手の台詞を待った方が良かったのかな?
今更ながら不安になって来るが、出っ歯さんは額のど真ん中に銃弾を受けてその場に倒れた。
ついでに、完全防弾装備のグレーさんも怖かったので。
追加で50口径の方で数発頭を打っておいたけど。
大丈夫、ちゃんと二人共倒したみたいだ。
『夢月、どうした? 全然動かないけど、やられた訳じゃないだろう? ステータスを見る限り、大きなダメージは受けてないみたいだが……』
「ご、ごめん! すぐ移動するね!?」
再び兄の声が聞えて来たので、慌ててその場を走りだすのであった。
他のチームもすぐ来るだろうし、まだクロさんが残っているのだ。
だとすれば、ボケッとしていて良い時間なんて、ある訳無いよね。
◆
「嘘だろマジかよ……」
さっき、照明弾? の様なモノが空に上がってからというもの。
スコープを覗いていた此方の瞳は、その光によって致命的なダメージを負ってしまった。
だからこそ視線を逸らし、スコープからも目を離してしまったのだが……この間に、グレーと出っ歯がやられた。
ほんの数秒、たったそれだけなのだ。
でも戦場では、これだけで全部覆る事はある。
それは理解しているけど……本当に“たった一人”の行動だけで、数秒間でここまで事態を覆せるモノなのか?
未だ視力が戻り切っていない目でスコープを覗き込んでみれば、路地には出っ歯とグレーが倒れているのが見えた。
その先には……シックスが走り去っていく姿。
こちらの射角から外れ、再び夜の街中に消えて行く背中だった。
「クソッ! またか……またなのか!? この未熟者!」
自らの不甲斐なさに声を上げつつ、ライフルを片付けてその場を離れようとした瞬間。
後ろから、急に銃そのものを蹴り飛ばされた。
突然の出来事に、は? みたいな声を上げながら振り返ってみれば。
「こんばんは、スナイパーさん。初めまして、secondと申します」
そんな挨拶と共に、此方に向けてサブマシンガンを至近距離からぶっ放して来る相手。
これに対して、頭を守りながらとりあえず窓の外に身を投げ出したが……ヤバイ。
流石にコレは、落下ダメージだけでも死ぬんじゃないか!?
コメント
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くろぬかさん、第106話読了しました。照明弾で一気に流れを変える戦術、痺れました。シックスが「お兄ちゃんがやれって言ったからやる」って覚悟を決めて、ほんの数秒の隙を突いて二人を仕留める流れ——特に出っ歯さんの台詞を遮って撃つ判断、戦場の非情さが出てて好きです。最後のクロさん視点で「またか」と悔やむところも、スナイパー側の焦りが伝わってきます。secondが奇襲をかける終わり方、続きが気になりますね!