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𓂃 𓈒𓏸𓂃 𓈒𓏸𓂃 𓈒𓏸𓂃 𓈒𓏸𓂃 𓈒𓏸𓂃 𓈒𓏸莉犬
さとちゃんと話したあと、なんだか頭を鈍器で叩かれているような頭痛がした。
さとみ「莉犬、どうした?」
莉犬「頭ッ痛いッ…」
さとみ「あ、マジ…看護師さん呼ぶか、」
さとみ「すぐ、来るってよ」
さとみ「それまで頑張れ、」
看護師さんが来てくれて、
俺は検査をすることになった。
検査が始まってから10分経った頃。
さとみくんの事が気になって、看護師さんに聞いてみることにした。
莉犬「あの、さとちゃん帰りました?」
この頃には、少し頭痛が収まっていて前よりか随分と話しやすくなっていた。
看護師「先程来られていた方ですか?」
看護師「お友達と一緒に帰って行きましたよ」
莉犬「そうですか、ありがとうございます」
もう既に帰っているとの事だったから、変に心配をかけずにすむことから少し安心した。
医者「…そうですね、…」
医者「…心因性機能的障害だと思われます…」
莉犬「しんいんせいきのうてきしょうがい?」
医者「はい」
医者「以前から声が出にくいなどがあった」
医者「と聞いています」
医者「それは本当ですか?」
莉犬「あ、はい、」
医者「その時、なにか説明はありましたか?」
莉犬「声が出なくなるかもしれない、と、」
医者「はい、そうです」
医者「機能的障害の症状は沢山あります。」
医者「お昼ご飯、食べられましたか?」
莉犬「いや、今日は気分が乗らなくて、」
医者「…そうでしたか、」
医者「それもきっと、機能的障害が起こす」
医者「症状の1つなのだと思われます」
莉犬「ッ…」
医者「他にも、頭痛や目眩。手足の痺れや。」
医者「味覚聴覚などの低下があります。」
医者「そして、以前も感じられていた」
医者「声のだしずらさ。」
医者「何か、思い当たりはありません」
医者「でしたか?」
莉犬「…」
過去の記憶が鮮明に思い起こされる。
立ち上がった時の突然な目眩や吐き気。
夜になると、止まらなくなる震えと息苦しさ。
そして、いちばん感じていたのは…。
言葉がスムーズに出てこない事だった。
医者「思い当たる節があるようですね」
莉犬「はい、…」
医者「過去にどんなものを感じたのか」
医者「後で聞いても大丈夫ですか?」
莉犬「はい、」
医者「大丈夫です。置いていきませんよ。」
まるで俺の心自体に話しかけているようだった。
そして、少し経ってから今まで感じた違和感を全て話して言った。
話せば話すほど、点と点が繋がってひとつの
パズルのようにハマっていく。
医者「なにか、不安に思うことはありますか」
莉犬「…」
医者「大丈夫、ここには君の味方しかいない」
莉犬「置いていかれるんじゃないかって、」
莉犬「不安になるんです」
莉犬「俺は小さい時からそうだったから。」
莉犬「自分が大切にしようと思う人は、」
莉犬「いつか俺から離れていくから。」
莉犬「また、1人になるんじゃないかって。」
莉犬「不安になってしまうんです…」
莉犬「メンバーも後輩も皆優しいけれど、」
莉犬「そんなことずっと前から分かって」
莉犬「いるけれど。」
莉犬「でも心の中は不安でいっぱいで。」
莉犬「どうしたらいいのか分からなくて、、」
医者「そうでしたか、」
医者「置いてかれる…。」
医者「過去に誰に置いてかれたんですか?」
莉犬「それはッ…」
莉犬「俺の母親です…」
莉犬「元々俺の家族は、少し変わっていて。」
莉犬「母親も鬱病を持っていました。」
莉犬「今思えば、仕方の無いものなのかも 」
莉犬「しれませんね、」
医者「仕方がないものじゃないですよ」
莉犬「へ…」
医者「仕方がない訳無いじゃないですか。」
医者「貴方が寂しいと思ったのに、」
医者「仕方ないなんて言葉で」
医者「片付けちゃダメに決まってます」
莉犬「ありがとう、ございます」
莉犬「なんか、ちょっと嬉しいです、」
医者「あ、いや、部外者がなんかすみません」
莉犬「いえいえ、いいんです…」
莉犬「もう、いいんですよ…」
医者「頭痛はどうですか?」
莉犬「もう、落ち着きました」
医者「分かりました」
医者「また何かあったらすぐに」
医者「教えてくださいね」
医者「大丈夫、大丈夫です」
医者「不安になることはありません」
医者「貴方はこれから幸せになるんです」
医者「夢を叶え続けるんです」
医者「そして、誰かに夢を与えるんです」
医者「そうなんですよね?」
莉犬「はい、!絶対治します、、!」
莉犬「みんなに夢を届け続けたいです、、」
医者「いいですね!」
医者「一緒に頑張りましょう!」
医者「あくまで無理はしない程度で!」
莉犬「はい、!」
医者「声はどうですか?」
莉犬「少し、話しやすいかも、、!」
医者「おぉ、良かったです」
医者「決して見くびってはいけませんよ」
莉犬「はい、」
医者「覚悟はしておいて下さいね、」
莉犬「…はい、」
分かってる。
声が出なくなることは仕方ないって。
でも、俺の声が好きなリスナーさんがきっと沢山いて。
いつかは治るものだとは分かっているけれど。
でも、もしかしたらの、もしかしたらで、声が出なくなるかもしれない。
そう思うと、心がぎゅっと強ばって。
前の俺は強がりな顔して、そんな気持ちいつだって無視できてたのに。
今はもう、そんな事は出来ないようだ。
俺を待っているのは、メンバーや後輩だけじゃない。
大好きな大好きなリスナーさんだって待っているんだから。
そう思うと気持ちは少し明るくなっていく。
まるで日陰に太陽の光が差し込んだように。
でも、現実はそんな上手くいかないようだ。
コメント
7件
初コメ失礼します! 「過保護」という作品から読み始め、ここにたどり着きました! 作品どれも最高です!続き待ってます!