桃side
〜回想〜
俺には、弟、まあ同い年だから双子かな。
そんな人が居た。
俺達には、両親が居た。
普通の家庭だった。
でも、それは“表では”という形。
お母さんとお父さんは結婚を望んでた訳じゃなかった。
俺たちが生まれてしまったから結婚した。デキ婚だった。
お父さんはお母さんを愛していたわけではなかった。
俺たちが寝付いたあと、毎日のように暴力を振るっていた。
俺は、そのことを、小学生になるまで知らなかった。
ある夜、目が覚めた。喉が渇いたから台所へ向かった。
そうしていたら、
「やめて゛ッ…泣お願いッ゛…泣」
「うるせぇ!お前のせいでッ…!」
そんな声が聞こえた。
心配だった。覗いてしまった。
でも、怖くて、足が動かなかった
猛烈な罪悪感に襲われた
次の朝、お母さんしかいない時に聞いた
“なんで昨日はお父さんに殴られてたの…?”
そしたら、想像もしてなかった言葉が返ってきた。
「…」
「…お母さん?」
「…アンタなんか…アンタなんか!生まれて来なければ良かったのにッ!」
この時、小さいながらも理解してしまったこの一言。
俺は、俺たちは、生まれてきてしまった子なんだ。
望まれてなかったんだ。
もしかしたら、ここに居たら危ない気がした。
俺も、何より橙が。
橙が大好きだった。
他愛もない会話で盛り上がって、一緒に遊んで
だから橙は絶対に傷つけたくなかった。
祖父母の家に逃げた。
もちろん母方の。
その後、両親から連絡が来ることは無かった。
居なくなって清々したろうな。
俺たちは、突然、祖父母の家に現れた。
何も準備はされていない。
お金もない
そこからは我慢との戦いだった。
「桃の方がおにいちゃんだから、」
あんまり変わらないのに、おばあちゃんたちの口癖はこれだった
しかも
「__だから、橙はちょっと我慢してね。」
だった。
だから橙はとっても我慢していたと思う。
歳で差をつけて欲しくなかったなぁ…
世の中ってほんとに理不尽。
それで、高校になったら、橙は一人暮らしを始めた。
一人暮らしは早いんじゃないかと言われていたが、
どうせ大学になったら一人暮らしになるから。
と言って出ていった。
橙が家を出てまもなく、祖父母老衰死した。
ある程度家事はできた。
でも、橙に連絡する…までは手が行き届かなかった。
だから、橙のことは全く知らずに時は経った
そして、橙について教えて貰ったらこの有様
俺が居なかったらこんな事にならなかったのかなぁ…
コメント
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そうなんだぁ…
今回も良かった…✨ 両親が2人とも…ダメだ…(
遅くなってすみませんでした...汗 (´•̥ω•̥`)<ゴメンナシャイ