テラーノベル
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中間試験を乗り越えた1年Dクラスに、新たな問題が持ち上がった。
須藤健が、Cクラスの生徒たちとトラブルを起こしたのだ。
教室には重たい空気が流れていた。
「このままだと、須藤くんが退学になるかもしれない」
そんな話を聞き、ひなの胸にも不安が広がる。
須藤くんはぶっきらぼうだけど、根はまっすぐで仲間思いな人だ。
なんとか力になりたい――そう思っていた。
放課後。
堀北さんを中心に、
クラスの数人が須藤くんの件について話し合っていた。
その中には、綾小路くんの姿もあった。
彼は相変わらず多くを語らない。
けれど、その静かな視線は状況を冷静に見つめているようだった。
話し合いの後、ひなは廊下で綾小路くんに声をかけた。
「須藤くん、大丈夫かな……」
「まだわからない」
短い返事。
それでも、その声には落ち着きがあった。
「でも、諦めるつもりはない」
その一言に、ひなの心も少しだけ軽くなる。
「綾小路くんがそう言うと、なんだか安心する」
綾小路くんは少しだけ視線をこちらへ向けた。
「お前も心配しているんだな」
「うん。クラスのみんなのこと、大切だから」
しばらくの沈黙の後、彼は静かに言った。
「……そういうところは、お前の長所だ」
突然の言葉に、ひなの頬が熱くなる。
その日の夜。
寮へ戻る途中、綾小路くんがあたしの隣を歩いていた。
街灯の柔らかな光の下、二人の影が並んで伸びる。
「ひな」
名前を呼ばれ、胸が高鳴る。
「今回の件、しばらく慌ただしくなるかもしれない」
「うん……」
「でも、お前はいつも通りでいてくれればいい」
静かな声。
けれど、その言葉には不思議な安心感があった。
「綾小路くんのこと、信じてるよ」
そう伝えると、彼はほんのわずかに目を細めた。
「……そうか」
その短い返事だけで、胸の奥が温かくなる。
自室の前で別れるとき、綾小路くんは立ち止まった。
「ありがとう」
「えっ?」
「そう言ってもらえると、悪くない」
それだけ言って、彼は自分の部屋へと戻っていった。
ドアが閉まったあとも、ひなの胸はずっと高鳴っていた。
クラスの問題はまだ解決していない。
それでも――
どんなときでも、綾小路くんのそばにいたい。
その想いは、静かに、けれど確かに強くなっていた。
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