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3章:ポポハスの青
30話:ジグソーパズル
朝日秀蘭
→痛覚 創造を具現化する能力
導奇秋
→視覚 生死を導く能力
加和夏希
→嗅覚 時の凍結能力
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〈注意〉
3章では暴力表現を扱うのシーンがあります。原作より柔らかい表現にし、注意喚起をするのでセンシティブ設定を付けていませんが、苦手な方はお気をつけ下さい。
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ー牢部屋・鉱山内部ー ー秀蘭sideー
「次の月が満ちる三日前、ボスと数人の大人が会議?のためにここを抜けるらしい。だからその日なら…。」
「…二日後ね。どんな風に考えてるの?」
双斗の作戦はこう。この鉱山には掘らなくなった洞窟や、かつては使われていた道があるらしい。その入り口を塞いでいる岩や坑木は浮遊魔法で退かして進む。労働時間になれば首輪のロックが外れるから魔法が使えるって。もし見つかっても私の能力であのボタンさえ壊せれば…。
「…一緒に逃げような。」
「!…うん、一緒に。」
ーマーサル神社ー ーシュウsideー
…いきなり現れたメイは五分もしないうちに秀蘭を連れ去った。なんで…秀蘭だけ…。
「ねぇ、ダイン。さっきのどういうこと。感生の子がいたこと知ってたの?」
ダインは口を閉じている。
「聞いてんだけど!!」
「夏希さん!!」
…それでもダインは沈黙を貫く。
手をあげてしまう前に引き剥がした夏希さんは怒りにも後悔にも悲しみにも見える表情で信じられないと叫んでいるように立ち尽くしていた。
「俺は…」
「子供達!ここにいたんだネ!」
「少女が指を鳴らした後、目の前から消えたから心配してたんだ。」
双子神様が中庭の方角から走ってきた。説明しようにも二人の状況や、秀蘭がいないことを上手く言葉にできない。
「…ナにかあったんだね。」
「…そっカ。痛覚の子ガ…。」
僕は双子神様達にできるだけ正確に伝えた。
ダインと夏希さんは互いに別々の部屋で休んでもらってる。どうやら、レタリーさんが二人を落ち着かせてくれてるみたい。
「童が使っていたのは織界魔法だね。裁縫魔法の中でも糸に特化した危険なものだよ。」
「糸を操ることで人を惑わしたリ、用意しておいたエリアを繋げたりできるんダ。」
お二人は僕にもわかるようにメイ・クリップのことを教えて下さった。
…でも知りたいのはそうじゃないよ。
ダインは何を知ってたの?
なんで秀蘭だけが連れていかれたの?
…僕には何ができたの?
そんな感情が噛み合ってくれないおかげで僕は今ここでお話しできてる。多分ピースがハマっていたら涙のあまりまともに会話できなかっただろう。
それでも言葉が詰まる。刻々とすぎるこの間にも、秀蘭がなにかされていたら…?
いっそのこと僕らも連れて行ってくれればよかったのに。
「…ネぇ、視覚の子。キミは忌子の呪いがあるにも関わらず、どうして瞳が残ったと思う?」
「え…?」
「どうして色だけ奪うことデ、許されたんだと思ウ?」
僕の精神状態を案じたのか、お二人は僕の体について聞いてきた。
…そんなの分からないよ。今までだって何度か考えた。でも今は特に考えてられない。
「…少し簡単にしようカ。キミは今、何をしたイ…?」
したいこと…。そんなの決まっているよ。
「秀蘭を助けに行きたい。」
そう答えるとシサイ様は微笑んだ。
「ナら、アの二人の気持ちをその目で見守らないと。誰かの気持ちを見つめるために、その瞳は残されたんじゃないのかい?」
「余らも手を貸すからネ。」
「…!……はい、!」
そうだ。仲間割れしてる場合じゃないだろ。
__早く話し合わなくちゃ!!