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「それを気付かせてくれたのは透子のおかげ」
「私?」
「そう。透子を好きになったから、そんな気持ちがあることを知ったし、親父たちのそんな気持ちも理解することが出来た」
「そっか・・・」
「だから、透子がいなきゃ、まだオレは親父に対してもこんな素直な気持ちになってないし、親父と母親のそんな二人の気持ちもきっと一生わからなかった」
「じゃあ。私が樹と出会った意味そこにもあったね」
もしも透子と出会わなければどうなっていたのだろう。
オレたちが出会ったことは、ほんの偶然かもしれない。
だけど、きっといつかどこかで必ず出会っていたように思える。
きっとオレにとって出会わなければいけなかった意味ある出会い。
出会わなければいけなかった大切な人。
「実際透子と出会った意味は、もっといっぱい山ほどあるけどね。これは、その中のほんのひとかけら」
「うん。そうだね。多分数えきれないね。出会った意味なんて」
「そう。そのほんのひとかけらでも、オレにとっては宇宙ほどデカいひとかけらだから」
「えっ、それめちゃ大きすぎるんだけど(笑)」
「だって、それくらいの影響力、透子はオレにくれてるから」
透子はそんな風に笑って答えるけど。
ホントにオレにとってはそれくらいの存在だから。
ずっといつまでもそのオレの大きすぎる想いを透子に伝えていきたい。
感謝の気持ちも、愛しい気持ちも、大切な気持ちも、嬉しい気持ちも。
幸せな気持ち全部を透子に伝えたい。
「じゃあ、そろそろ戻ろっか」
「うん。樹、今日はまだこのまま会社いるの?」
「いるよ。今日はこのままやることあるから。透子、今日残業は?」
「今はそんな忙しくないから普通に定時で帰るつもりだけど」
「なら、それまでに仕事終わらせるから、一緒に帰ろ」
「一緒に帰れるの?」
「でさ、帰りに修さんとこ寄ってかない?オレたちのこともちゃんと二人で報告しておきたいし」
「あっ、そだね。そうしよう」
「なら、また終わり次第連絡するわ」
「わかった。じゃあまた帰りね」
こんな何気ないやり取りも今までのオレらには出来なくて。
今までのオレはただ一方的に見つめているだけだった。
だけど、今はこうやって何気ない普通の時間に、透子と一緒に過ごせる幸せ、透子が隣で笑ってくれることが嬉しくて。
そんな普通に一緒に過ごせる幸せをオレはずっと夢見ていたから。
だから、今こんな穏やかに幸せに時間を感じることが出来るのが、少しまだ慣れない気もするけど。
だけどここからずっと一緒にいられる幸せを想像すると、それだけでもうすでに幸せで。
だから、ここからゆっくりこの幸せを味わっていこう。
透子がいればオレはそれだけで幸せだから。
きっとこれからもっと二人で幸せになれるはずだから。