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「先生、そこで止まって! それ以上近づいたら手を振りほどいて自殺すると言ってます!」

「分かった! 霊山寺、大変だがなんとか説得してくれ!」

「大丈夫です! 知り合いに心を病んでる人がいて接し方は分かっています!」

「それは心強い! 霊山寺、なんとか大中寺の命を救ってやってくれ!」

心を病んでる知り合いって自分のことじゃないか。自分自身も知り合いであることに違いないから、確かにそれについては嘘を言っていない。でもそれ以外は全部嘘だ。近づいたら自殺すると僕が言ってる? 自殺しようとしていたのは彼女の方じゃないか。さっき〈私は嘘は嫌いだ〉と言ってたくせに。嘘をつかれるのは嫌だけど、自分が嘘をつくのはいいのか?

それらはすべて心の中の声。僕の生死が彼女のお気持ち次第という極限状況で、それを口にする勇気はない。

「おまえ大中寺という名字なのか。うちと同じで先祖がお寺さんだったのだろうな」

呑気に世間話を始めた彼女に本気で殺意を覚えた。それはそうと、席が隣なのに今まで僕の名前を知らなかったようだ。僕の名前さえ知らなかったメンヘラ女に僕は命を奪われようとしているんだなとさらに僕の心は脱力感でいっぱいになった。本当に脱力して手が彼女から離れてしまえば死んでしまうから、脱力したのはあくまで心の中だけの話だけれど。

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