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ブルーパール
53
あらすじ
こばわなでオメガバース、第4弾。
んほぉ系、♡゛喘ぎ、手コキ、ナカイキの最中の射精。
しっかり致しているので🔞🔞🔞
和中が失神した後、ズルリ♡♡と尻壺から引き抜かれる愛蜜と精液で濡れた杭に、小林は自身のラットが深かったことを改めて知った。
「はっ、♡♡すっげ…♡♡」
そう思わず声を漏らした牡は、苦い笑みを浮かべる。
ベッドに和中を運んだが、彼の快楽も相当強いものだったらしく、この日は起きてくることはなさそうだった。
夕方頃、小林も和中がもう起きてこないことを悟り、スマホのアプリで、懇意にしている当日清掃OKのハウスキーパーを、頼んでいた。
このハウスキーパーは、簡単な清掃仕事から本格的な染み抜き作業まで、十七時までの依頼なら全て即日でやってくれる。
絨毯から精液の染みを抜く作業も、この業者なら容易にこなしてくれるだろう。
その、更に翌日の朝。
目を覚ました和中は天井を見つめたまま、暫くぼんやりとしていたが、やがて慌てて起き上がった。
そして、懲りずにまたチェスト横のハンガーにかけられていた自分の服を、着ようとする。
このまま、和中の服をクリーニングにでも出してしまえば、彼はこの行動をやめてくれるだろうか。
「どこ行くんスか?」
ベッドの上で傍らに寝ていた小林は、動じることなく言葉をかける。
今の和中はヒートだ。
彼を蕩けさせる方法はもう心得た。
「どこって…医者に行くに決まっているだろう…」
牡はゆっくりとした動作で起き上がり、反抗的に見上げて来る彼の腰に腕を回し、唇を強引に奪う。
「んっ…♡」
何かを言いかけて開いた歯列から、舌を滑り込ませ、奥で縮こまるそれを強引に底から掬い絡め取る。
「ふっ…♡ふはぁっ♡やめ…♡」
顔を背けられ、強い力で胸を押し返されるが、気にせずに顎を掴んで正面に引き戻し、口付けを続ける。
そのまま、またベッドへと押し倒し、唇を解放してやり、ちゅっ♡ちゅっ♡と顔のあちこちにキスを落とす。
すると、口付けに気を取られた和中の押し返す力が、弱くなる。
間近にある猫の瞳が潤み、光を失って蕩けていく。
和中がここに来てから学んだ、彼の理性が浚われる寸前の合図だと、小林は細かな表情の変化を近い距離で感じ取った。
「んぅ…♡」
次は和中から口付けを強請るように、小林の頬に両手を添え、唇を重ねようと顔を上げた。
やはり、彼の理性はヒートのせいで脆い…と、小林は心の中でガッツポーズをキメていた。
望み通りに唇を再び塞ぐと、口奥で縮こまっていた先程とは違い、猫は積極的に舌を絡めてくる。
「んっ♡んはっ♡はっ♡」
水と油が分離するように、和中の脆い理性も本能と乖離を始めているのだろう。
ここまで来れば、小林の掌の上だ。
その掌で喘ぎ、啼く和中は、この上なく滑稽なようで、この上なく美しい。
朝起きてから懲りずに闇医者に行くと聞かない和中が、今は口付けひとつですぐに牡に飢えた一匹のメス猫に堕ちる。
ヒートだからなのは明らかだが、その豹変ぶりが今の小林には堪らない。
柔らかい羽毛の毛先で、背中を撫でられているような擽ったい感覚に、牡は深い悦に入った。
今、和中はヒートだから、彼からすれば不躾とも言える小林の行動にも、一々振り回されている。
もし、通常時の彼にこんなことをしようものなら、即日本刀で一刀両断されることだろう。
「んぅう…♡こばやしぃ…♡」
腰をゆらゆらと揺らし、下肢を触ってくれと遠回しに懇願してくる猫に、小林は思わず破顔した。
「沢山イかせてあげるんで♡」
心地いいスプリングのベッドに、身体を強張らせて身を委ねている猫の服を牡は脱がせていく。
◇
小林は狡い…と、ベッドの上で着直したはずの服を脱がされながら、和中は考える。
きっと小林は、自分が性的な誘いに抗えないことを見抜いているのだろう。
小林だって、勿論ヒート中のオメガの女を抱いたことがあるだろう。
そして、オメガがヒート中はセックスのことしか考えられなくなるのは、当然の知識としてあるはず。
嫌だ、嫌だ、とは思っていても身体は受け入れてしまう。
加えて、いざ行為が始まると意思もなにもかも、暴力的な竜巻のような色慾に、巻き込まれる。
どんなに意思を強固に持とうと努力しても、ヒートのせいなのか、小林のペースに乗せられてしまう。
それでも目に映る性交する際の小林は、同じ男の和中でも思わず見蕩れるほど美しく、そして魅力的な姿に変わるのだ。
鼓動は高鳴り、欲情を覚えずにはいられない。
シャツを脱がされたあと、衣擦れの音と共に、ボタンとファスナーを攻略されたズボンも足から引き抜かれ、下着一枚の酷く心細い格好になる。
それから、自分の服を脱ぎ始めた小林の舐めるような視線が降ってきて、和中は僅かばかり残る羞恥に耐えられずに、顔を背けた。
──何故、俺ばかりがこんな思いを…。
そうは思えども、和中の理性は既に遠いところに置き去りにされている。
「はやく…さわれよぉ…♡」
視線は逸らしたまま、興奮した下肢を服を脱ぎ終え、覆い被さってきた小林の内腿に擦り付けると、困ったような笑い声が聞こえてくる。
その笑いにすら微少な羞恥心を煽られ、和中はきつく瞳を閉じた。
「兄貴ってー、お強請りする割には、恥ずかしがるんスねぇ♡」
「っ…♡」
和中は、小林の言葉に誰がこんな状況にしたんだ…と言ってやりたくなった。
…が、言葉にされたことで、逆に快楽が欲しいと伝えるハードルが、多少下がった気がする。
目を開けた和中は、小林の顔を見上げその手を握り、自分の下肢へと導く。
もしヒートではなく通常時だったら、とんでもない羞恥プレイだが、今の猫はヒートに狂わされている。
自ら導いた小林の手が、興奮した花芯に下着越しに触れただけで、堪らない快感が和中を襲った。
「おぉお゛〜〜〜!?♡♡」
和中のリアクションを見て、小林は驚いたように…けれど嬉しそうに微笑み。
「こんなに感度上がっちゃってぇ…明日も明後日もその次の日も俺に種付けされんのに、どうすんスかぁ?♡」
牡は猫の手を優しく退かせると、唯一猫に残った下着を取り去ってしまおうと、下着のウエストゴムに手をかけた。
下着はぴっちりとしたボクサーパンツで、和中の起立しているソレの形まで、モロバレである。
下着まで両足から引き抜かれてしまうと、飛び出すように零れ出た猫のぺニスを見た小林に、口の片端だけで笑われる。
「〜〜っ♡♡」
それでも燻る羞恥心は、壊れた理性の残骸なのだろうか。
そんなことを靄がかった頭の隅で考えている和中の下肢に、小林が身体をずらし顔を近付ける。
反り勃った花芯の前で、口を開ける小林の行動が一瞬理解出来ず、和中はそのさまから目を離せない。
「ま、まって…♡ああ゛…お゛おお゛〜〜!!♡♡」
涙目の猫は、熱の塊が柔らかい口の粘膜に包まれる感覚に、思わず顔を跳ね上げて声を漏らした。
同じ男にフェラチオされることもそうだが、まさか小林が自分のモノを咥えるなんて、考えもしなかった。
確かに、昨日似たようなことはされたが…。
──小林の口、気持ちぃ…。
今まで関係を持ってきた女達に、咥えさせたことは数え切れないほどあるが、同じ男に…弟分に男の証を咥えられるなんて…。
しかも相手は、プライドの高そうなあの小林幸真。
これまでの性行為で、和中の弱点を知っている小林は、裏筋を中心に愛撫してくる。
涙をポロポロと流し、通常では有り得ないほどの快楽に酔う。
小林の言う通り、感度が昨夜より上がっているのが分かる。
「お゛…ほっ♡♡こばっ…♡♡だめぇ…!♡♡イっ…♡♡イぎそうっ!♡♡」
小刻みにストローを啜るように、鈴口を吸いながらチロチロと舌先で舐める。
そして、時折舌先で弱いところを撫で上げるような、小林の繊細な舌の遣いが和中を早い絶頂へと押し上げていった。
その間に、肉膣からは愛蜜が溢れ菊の花を濡らしていく。
フェロモンの香りは昨夜より更に強くなった。
「はっ…♡♡気持ちぃ、ッスか?♡♡」
フェラチオの合間に聞かれ、和中は余裕なく何度も頷く。
舌先で根元から先端へなぞり上げられると、一際強い射精感が迫ってくる感覚に咽び啼いた。
「お゛ほぉお゛お…!♡♡イぐ!♡♡イぐイぐイぐぅ!♡♡」
腰が低く浮き、白濁を吐き出そうと身体が震える。
「ぉお゛…ほおおお゛ぉお゛!!♡♡♡」
ぺニスを灼熱が貫通したような感覚に、思わず背が何度も跳ねてしまう。
今までにない射精の快感に、和中の神経が侵されていく。
小林の口の中に精液を放り込みながら、和中は寝室の天井を焦点の合わない瞳で、ぼんやりと眺めていた。
一度は口の中で達したというのに、小林の口は花芯から離れずに、むしろ吸い付いてくる。
そして先端を含んだかと思うと、更にバキュームするように、その強い肺活量で吸い上げられた。
「んほぉおぉおお゛!!♡♡♡や、め!♡♡ほおぉ゛!♡♡いまイった、ばっか…♡♡おぉお゛お!♡♡…だから!♡♡お゛っおっお゛お゛〜〜〜!!♡♡♡」
次に射精予定の精子まで持っていかれそうな、力強い吸引に、和中は腰をガクガクガク♡♡と戦慄かせる。
「まらイぐぅうう゛〜〜〜!!♡♡♡」
間を置かずに連続で絶頂させられ、二度目の精を再び小林の口の中へ強引に押し出した。
「ぅう゛…♡♡」
ぐったりしている和中に、漸く花芯から口を離した小林が口付けを求めてくる。
猫が唇を開いてそれを受け入れると、口腔内に熱くドロッとした液体が、牡の口から流れ込んでくるのが分かる。
唾液ではない量と、独特の味に今しがた自分が出した体液だろうことは、確認せずとも明らかだ。
白い糸を引きながら角度を変えて唇を貪られ、精液と唾液が混じる中、舌を絡められた。
──悪趣味なやつ…。
そうは思いつつも、フェラチオもただでは終わらず、口に含んでいた精液を、口付けで共有しようとするところが、いかにも小林の発想らしい…と納得もする。
「〜〜っ!?♡♡」
キスの間にも、小林はその長く逞しい腕を和中の萎えかけた腰の中心に伸ばし、また熱を持たせようと卑猥な動きで愛撫し始める。
思わず身体を強張らせた猫に、牡は唇を少しだけ離した至近距離で。
「約束したッスよねぇ?♡♡沢山イかせてあげるってー♡♡」
…そう、クスクス笑いながら告げてきた。
「やっ…♡♡やぁっ…♡♡やぁあ…♡♡」
もういい…と強く言いたいのに、口をついて出るのは甘やかな拒否の言葉でしかなく、これくらいで小林がとまるはずもないのも分かる。
その言葉はすぐに喘ぎ声に変わり、腰の中心は牡の巧みな愛撫で、すぐにまた頭を上げ始めた。
「やめぇ…♡♡いやぁ…♡♡やぁ…♡♡」
一昨日の夜から昨日の朝にかけてのセックスも、あまりの快感に身体が痙攣して辛かった。
…が、ぺニスを何度も扱かれ、強引に精子を引きずり出され続けることが、こんなに苦しいとは…。
和中は肩を軽く起こし、小林の手を下肢から退かせようとするが、上手く弾かれてしまう。
「兄貴はぁ、俺とキスしてればいいッスー♡♡」
ギラギラ輝いている瞳の小林にそう言われ、精液の味のする唇で再び唇を塞がれた。
「んぅう…♡♡ふ、♡♡ううっ…♡♡」
尿道口に爪を立てられ、裏筋を四本の筒状に折り曲げた指で追い上げられると、懲りずにまた射精の波が騒ぎ出す。
今の和中は、快楽に酷く従順なのに堅牢に見えて脆い理性も孕んでいるという、乖離した二面性を持っている。
よく言えば、揺らぐことのないふたつの性質。
悪く言えば、ジキルとハイド…人格的に弱いが理性的なジキルと、人格的に強く欲望のままに生きるハイドのような状態だ。
人間誰しも理性と本能を持ち合わせているが、和中の場合ヒートのせいもあって、それらが真ん中がなく二極化している。
普段なら理性の権化が、ヒートの今は性欲の肉塊と化しているのだ。
◇
「んお゛♡♡おっ♡イぐ!♡♡」
和中の花芯を扱きながら、彼がオメガになったその理由について考えていた小林は、口付けの狭間のその声に、ハッとした。
もう何度絶頂させただろうか。
扱く手は吐き出され続けた精子で白く濡れ、花芯との間にはだいぶぬめりが生まれている。
小林は促すように、ペロリ♡♡と唾液で濡れた唇に舌なめずりして微笑み。
「いいッスよ♡♡イって下さい♡♡」
握り方を変え、親指で根元から先端にかけて裏筋を一気に撫で上げると、猫の背が大きく撓る。
「おお゛おっ…!♡♡イぐっ!♡♡も、やだ!♡♡」
「んー、これからナカイキも沢山するんでぇ、もう少しお付き合いくださーい♡♡」
殆ど間を置かずに断続的に射精させているので、和中がそう喚くのも無理はないだろう。
ドプンッ♡♡と、白濁が陰茎からまた引っ張り出され、和中の身体から力が抜けていく。
和中を射精させることに満足した小林は、彼の両の足の間に身体を押し込み、膝裏を攫う。
両足を肩に担ぎ上げ、これまで見てきた猫の嬌態で、猛々しく勃起した肉茎を、昨日の朝、散々貫いてまだ緩いであろう濡れた菊座に宛てがう。
「いくッスよ!♡♡」
「え?♡♡あっ…♡♡」
ズプゥウウ♡♡と、小林の思惑通り、まだ昨日の朝の名残で肉筒は緩く、従順に肉杭を受け入れていく。
「おお゛っ〜〜〜〜!!!♡♡♡」
和中の身体が、緊張で縛られているのが分かる。
排泄器官に肉棒を挿入される初動の感覚は、まだ慣れない今は、”気持ち悪い”だろう。
これが、”快感にゾクゾクするもの”に変わるまで、徹底的に躾けねばならない。
「やっ…♡♡ぬいてぇ!♡♡やだぁ♡♡」
「いやッス…よっ!♡♡」
そんな会話を交わし、ズヂュンッ!♡♡と和中の最奥の手前まで突き上げると、猫は大きく身体を仰け反らせた。
「んあぁあ゛…!!♡♡♡ら゛めぇ…♡♡おく♡♡ごないれ゛ぇ!♡♡」
もう呂律も怪しい和中に、それだけ快楽を与えていると思うと小林は優越を感じた。
そして、一昨日の夜と昨日の朝に続いてドクッ♡♡と牡の鼓動が一際、烈しくなる。
またラットがきた…と、波打つ鼓動に耐えながら、和中とはやはり相性がいいと思う。
三日連続のラット…これまで二日連続すら経験したことがなかったがアルファだった猫がオメガになって、ここまで自分と相性がいいなんて、なんとも不可思議でしかない。
ナカコキを繰り返し、和中のナカはまた小林のカタチに拡げられ、猛った充溢で隘路はギチギチに満たされる。
「ほぉお゛お!♡♡お、ねらい…!♡♡も、やめ…!♡♡」
「うーん、兄貴には残念ッスけどー、俺の射精回数尽きるまでちんぽ抜けないんでぇ、我慢してくださーい♡♡」
「ぎいれない!♡♡」
「言ってないッスもん♡♡」
アルファの中でも、ラットが訪れてオメガに挿入した際、ペニスの形に変化が起こる者と、起こらない者がいる。
和中の様子を見る限り、彼は恐らく後者だったのだろう。
ズンッ!♡♡と、また少し最奥に迫ると猫は涙をポロポロと落として。
「やっ…♡♡おっ!♡お゛っ!♡らめら゛か…ら!♡♡ま゛っ、れ…!♡♡き、ぎもりぃ!♡♡」
「やめて欲しいんスかぁ?♡♡気持ちぃんスかぁ?♡♡」
「ぎもりぃのぉ!♡♡らめな゛のぉ!♡♡」
「ははっ♡♡どっちなんスかぁ♡♡」
肩に担いだ両足を膝裏から押すようにして外し、猫の身体を半分に折り畳むようにして、牡は身体を倒す。
くの字になった足を抱えあげる形になった体勢のきつさに、和中の顔が歪むが、小林の唇にまた唇を捕られると、険を帯びていた眉が、ふにゃりとハの字に緩む。
互いに夢中で舌を絡め、小林がチュッ♡♡と和中の舌を吸い上げ、その先を前歯で甘く挟んだ。
「ふ…♡♡うぅ゛…♡♡」
それだけで和中のナカがピクピクッ♡♡と痙攣し、きつく締まるのが分かる。
少しでも律動をとめると、狎れてくる淫らな襞が、コシコシ♡♡とブラシのように肉杭を磨く。
その襞ブラシで丁寧に包まれる感覚は、女では味わえない。
そのまま呑まれてしまいそうになるのをこらえ、ピストンを続けた。
チュッ♡チュッ♡と、口付けを啄むようなものに変え、腰を抜けるギリギリまで引き、最奥の薄く開くふっくらとしたメス双丘をゴヂュゥゥウウンッ!!♡♡♡と痛烈に突き上げる。
「おぉ゛うっ!?♡♡♡おっほぉお゛おお゛!!♡♡♡」
和中が烈しく反応し、ナカは波紋が広がるように強く波を打つ。
その衝撃でナカイキした猫は白目を剥き、舌を突き出してヒクッ♡♡ヒクッ♡♡と、身体をヒクつかせた。
精を絞るようなナカの動きに、小林の一度目の絶頂が近くなる。
耐えて腰を動かし、射精する際は薄く開いている双丘を中心から割り、最奥の更に奥、赤子を孕む部屋へと精子を直接注ぎたい。
これまでの行為で、大体の場所は覚えたがまた確かめるように律動しなければならない。
それにしても…。
和中のこのフェロモンの香りには、情欲をそそられる。
今までヒートのオメガの女を抱いた時は、そこまで感じなかったのに。
例え相性がよく、ラットが発動したとしても…だ。
だから、小林は戸惑っていた。
これまでの行為のさなかにも、この香りには狂わされると感じていたのに、改めて嗅ぐとやはりおかしくなるほどに、胸を掻き毟られる。
心臓を鷲掴みにされているような、心を乱される匂い。
それに…。
猫のことを愛おしいと思う感情も、小林の中で変わらずにある。
──もしかして、兄貴が運命の…?
もし和中が運命の番だとしたら、嬉しいどころの騒ぎではない。
しかし…と、小林は思い直す。
──運命の番はそう簡単には見つからない…。
その定説から、小林は中々抜け出せずにいる。
そうは思いながらも、和中が運命の番かもしれないという考えは小林の中で高まりをみせ始めている。
それに、本人が言うに和中は元々アルファだ。
アルファの男同士では、運命の番の概念がなく試験管ベビーでしか子を授かれないはずだったのに…。
そう思えば思うほど、和中がいきなりオメガになったという事実は、小林に取ってどうしても運命を感じずにはおれなくなるものだった。
目の前のオメガを、愛おしいと思う。
この愛のままに、もし運命の番でなくとも和中と番うのも、今の小林の心境ではなくはない。
むしろ、アリだ…とも思う。
しかし番えば、一生涯の仲になる。
もし、和中と番えたとして仲違いした場合、議論する場面が訪れた場合、弟分である小林は己の意見を言えず、気持ちを曲げてでも、兄貴分である彼の言葉に従うしかないのだろう。
だから、もし和中と番う時がくるとしても、子を成してからでも遅くない…という考えに行き着く。
小林はふたつの思考の間で揺れている。
もし和中が運命の番なら、多少心持ちも軽く番えるだろうとは思う。
それを確かめる確たる手段がないから、小林は逡巡している。
小林は、自分のフィジカルの強さや筋肉のついた大きな体躯、そして和中の頭脳や剣の才、容姿を色濃く受け継いだ子が欲しいと思っている。
それだけの理由で、思いがけずその和中がオメガのフェロモンを纏っていることを知って、部屋へ連れ帰り半ば強引な種付けを行っている。
もし、和中が孕んだ時に関わる問題が、彼を部屋に連れ帰った時から、常に頭の隅にモヤモヤとして引っかかってはいるのだが。
そこまで考えて、ぺニスを走る熱に声を殺し一度目の強い射精感が小林を襲い、考えることを一旦投げ出した。
「あ゛!?♡♡おおぉお゛!!♡♡♡ら、め♡♡そご、いぢばんおきゅぅ♡♡」
「何がダメなんスかー♡♡孕むまでセックスしようって約束しましたよねぇ?♡♡」
「し、してな…♡♡あ゛…!?♡♡」
双丘の薄らと開いた中心をなぞっていた肉杭の鋭く尖る尖端が、不意に正確に中心を捉え、そこに突き立てている。
──やべぇ…これ、何回やってもフカフカで気持ちぃ♡♡
尖端が上手くふたつの阜の狭間に埋まった小林は、抜けないように微妙に腰を引き、ズッ!♡♡と突き入れ阜を深く割ると、奥の部屋に向けてそのまま射精した。
「あぁあ゛…!♡♡でてりゅ…♡♡おぎゅで…!♡♡しゅごっ!♡♡おぎゅあづい!♡♡」
射精されたことに甘イきしながら、猫が喚く。
「一回目なんでいっぱい出たッスー♡♡これで妊娠するといいッスねぇ♡♡」
そのままの体勢から種付けプレスが始まり、足を抱え上げたままの猫の上から、ズンッ!♡♡ズンッ!♡♡と激しく深く杭を打ち付ける。
「お…♡おぉお゛おおっ!♡♡こばやひの♡♡ひんぽっ!♡♡しゅごいのっ!♡♡もっろづいれぇ!♡♡おんっ♡♡お゛ほぉおっ…!♡♡」
「もう最後の意地すら失ったッスねぇ♡♡兄貴にはメス猫がお似合いッスよー♡♡」
小林の茶化すような言葉すら、もう和中には聞こえていないらしく、焦点を失った虚ろな瞳で快楽に悶えている。
その虚ろな瞳がふと見開かれ、瞳が反転し白目になったかと思うと、身体が激しく痙攣した。
ナカイキの波が来たのだと悟った小林は、プレスを早く更に深くする。
「ああ゛あぁあ゛…!!♡♡♡おお゛ぉっほぉおお゛〜〜〜〜〜!!!♡♡♡ぎぼぢぃぃいい゛〜〜〜!!♡♡♡」
「俺も気持ちぃッスー♡♡」
小林が奥深くまで律動すれば、それだけ和中のナカイキも長く続く。
直後、猫のナカが蕩けるような熱を帯び、ヒクヒクッ♡♡と淫襞がさざめく。
「兄貴んナカ熱っちぃー…♡♡」
突き刺した杭の深さの分、身体にまで熱が伝播して燃え上がってしまいそうだ。
と、不意に小林の両頬に和中の手が伸びてきて、キスをせがまれる。
「あ、♡♡ああ゛…あ…♡♡」
和中は言葉にならないらしく、行動で示すしかないようだ。
望み通りに噛み付くように唇を塞いでやると、瞳が満足気に閉じられる。
チュッ♡♡チュウッ♡♡と、和中に唾液を持っていかれ、小林は持っていかれた唾液を啜り返す。
すると、両者を行き来する唾液はすぐにどちらのものともつかなくなり、二人の間で銀色の糸を引く。
「兄貴って、俺の唾液好きッスよねぇ?♡♡」
唇を離し、耳元で低くそう囁くと和中の窄まりが、キュゥゥウウン♡♡と強く締まる。
和中の答えを聞くことなく、腰を引けるだけ引いて、ドチュッ!♡♡と最奥の双丘に叩きつけるように抽挿を始める。
「はうっ!?♡♡」
そうすると、猫の身体が大きく跳ね、弾かれたように顔が上を向き、白い喉が露わになった。
一昨日の夜は我慢したが、その喉に小林は噛みつき、ガジガジ♡♡と容赦なく歯を立てる。
和中の喉元は一気に溢れた真っ赤な血に塗れ、白い肌との対比が美しい…と、口を離し顔を上げた小林は思う。
猫の時折見開かれるが虚ろな目付きも卑猥で、ただ何も映っておらず宛もなく揺蕩っているだけなのに、それが酷く情緒を誘うのだ。
二度目の射精感に見舞われた小林は、深く杭を打ち付けるようにフワフワの阜の狭間に、ぺニスを突き立て、また奥の部屋に向けて精を吐く。
僅かに開いている位置も正確に分かるようになり、探すのにもそう時間を要しなくなってきた。
「んぉおお゛ぉお…!♡♡ごろも…♡♡れぎぢゃうぅ゛…!♡♡」
「出来ちゃうためにヤってるんスー♡♡」
昨夜の疲れが残っている小林の残り残機は、早くもあとふたつくらいだ。
これを和中の最奥の部屋に吐き出し終えたら、彼を甘やかしてやろうと思う。
結合部から溢れた愛蜜が、シーツに広く染みを作り、それだけ猫が興奮していることが読み取れる。
今度は正常位から、ガツガツガツ♡♡とまるで貪るように腰を動かし、和中の前立腺を削り最奥の双丘を屹立の尖端で殴りつけていく。
「んほおぉお゛おお゛ぉ〜〜〜〜!!♡♡♡も゛っろぉっ!♡♡こばやひ!♡♡も゛っろおぐまれづいれぇ!♡♡ぜーじちょう゛らい!♡♡」
「気持ちよさそうッスねぇ♡」
「こばやひの♡ひんぽ♡♡ひんぽおぐにほじいのぉ♡♡」
ツン♡♡と鼻腔を擽る、小林の心を掻き乱すフェロモンの匂いのギアが、もう一段階上がる。
今までもあれだけ香っていたのに、一体どれだけこの香りは強くなり続けるのか。
もし匂いに全振りしていたら、このまま和中の身体が気体になって、いつしか蒸発してしまわないか、心配になるほどだ。
今まで小林が抱いたヒートのオメガの女達では、見られなかった現象だった。
──兄貴の場合、オメガとして開花したばかりだから…とか?それとも、男のオメガってこんなものなのか?
様々な憶測が頭を過ぎるが、それらを打ち捨て律動に集中する。
今は、この腕の中で快楽を告げる声で啼く猫を、満足させてやりたい。
ドチュンッ!!♡♡と、前立腺に棹を擦り当てながら、一際強く尖端を双丘に打ち付けると、和中の身体がまた大きく反応した。
「んほぉっほぉお゛お〜〜〜〜!!!♡♡♡しゅごいのっ!♡♡イぎしょう!♡♡イぐ!♡♡イぐイぐイぐイ゛…〜〜〜〜〜っ!!!♡♡♡」
和中はもう何度目かも分からない絶頂の頂きに立ち、喘ぎ声の後半は声にすらなっていない。
例のごとく白目を剥き、弛緩した舌が口端からはみ出て、舌先からはタラタラと唾液が落ちている。
その顔には笑みさえ上っていて、完全なアヘ顔だ。
暫くして、やっと美しい紅い瞳が戻り始めた和中は、蕩けた笑みを浮かべながら。
「あっ♡♡はぁああ゛…!♡♡おぐ、ごんごんしゃれる゛の♡♡だまんない゛のぉ!♡♡おっぉお゛おおお゛…!♡♡」
残機ふたつの小林は、出来るだけ延命しようと自分自身を焦らす作戦に出た。
どれだけ強い射精感でも三度は逃がすことと、律動は深く大きいものを心がけること。
体内で、ガチガチの硬度を保つ小林の太く長い肉杭に、和中は完全に虜だ。
ズルゥウウ♡♡と抜けるところまで引き抜いて、またゴヂュゥウン!!♡♡♡と力強く最奥を貫く。
「が、ぁ!♡♡お゛ん゛ほおお゛ぉん!!♡♡♡ぎもぢ!♡♡こばやひ…!♡♡もっろ゛ぉ!♡♡」
あまりの衝撃に、和中の腰が十数センチほど、シーツの上を滑るようにずり上がる。
今の一撃で、ナカイキを迎えた猫のナカがキュウウウ♡♡と締まり、牡に一度目の強い射精感の波が来る。
なるべく無心でそれを横に逃がし、きつい律動を繰り返す。
「はぁっ…♡♡兄貴ぃ…気持ちぃスかぁ?♡♡」
コクコク首を壊れた人形のように縦に振る和中に、小林は満面の笑みを浮かべ。
「俺もッス…♡♡ちょっと…難儀なことになってますけ、どっ!♡♡」
言葉と共に、またゴヂュゥゥウウン!!♡♡♡と、尖端を最奥にぶつける。
「ひゃああ゛ぁああ゛!!♡♡♡お゛ーっ!♡♡まら…イぐイぐイぐイぐぅ゛うう゛うう゛〜〜〜〜!!!♡♡♡ぉおぉおお゛おお゛お゛〜〜〜〜〜!!!♡♡♡」
ナカが激しく蠢き、またナカイキした和中は身体をガクガクガクガクッ!♡♡と不随意に震わせ、せっかく戻ってきた紅蓮の瞳がまた反転した。
絶頂の回数だけなら、まだ昨日の朝に及ばない…と、小林は今の性交で猫の絶頂した回数を頭の中で数え出した。
が…どこからがどこまでが絶頂なのか、そうじゃないのか、上手く線引き出来ない。
その間も、抽挿は続いており和中は掠れ始めた声で啼き続けている。
ググッ♡♡と二度目の強い射精感がやってきて、何とか堪えようとするが思った以上に強い衝動で、我慢が利きそうにない。
──ああ、もう無理っ、出す!♡♡
急いで和中の阜の狭間を探り当て、そこに乱暴に尖端を突っ込む。
尖端がフワフワモチモチとしたものに包まれる感触に、つい涎と精液が零れそうになった。
それを堪え、強く阜を割り狭間の最奥で身体を震わせ、思いっ切り射精する。
──気持ちぃ…あー、頭真っ白…。
暫く、モチモチしたものに尖端を包まれていたが、引き抜こうとした時に、突発的に襲ってくる別の衝動があった。
「〜〜〜っつ!!♡♡♡」
咄嗟にこれは潮吹きだと判断し、しっかりモチモチから引き抜いて、声を殺しながら和中の体内に潮汁をぶちまける。
「んあ゛〜〜〜っ!♡♡」
熱い潮汁に、和中も釣られた形で甘イきしたらしく、淫襞が痙攣している。
「もっろ゛いぎだい…!♡♡ごばやひ…おねらい゛…♡♡」
甘イき波の去った和中が、目をキュルキュルさせながら上目遣いでお強請りしてきた。
──残機一なのに…こんなに可愛くお願いされたら、抱かないと男じゃなーい!♡♡
ヒートに狂わされたオメガは怖いと思いつつも、日頃は理性的な兄貴分の可愛いところも見られるのは、素晴らしいと思う。
和中の足を広げさせて、正常位からドチュュウウン!!♡♡♡と双丘を激しく突くと、和中の瞳が大きく見開かれ、ナカイキの海へと落下する。
「おぉお゛おお゛〜〜〜〜〜!!♡♡♡しゅごぉ!♡♡こばやひのひんぽ!♡♡お゛れのおぐにあだってりゅ!♡♡ひんぽれごぢゅごぢゅ!♡♡もっろ゛ぉ♡♡」
白目を剥いて痙攣しながら、卑猥なことをもっとと口走る和中。
もう本人の意識の及ばないところで、ヒートがそうさせているのだろう。
和中はシーツに両手で縋ろうとしているが、繊維を爪で掻くばかりで空を切っている。
それに気づいた小林が、和中の手を取り牡の背中に腕を回すように誘導する。
すると、ギュウッ♡♡と和中が身を寄せ密着してきて、身体を前傾姿勢で起こしている小林にぶら下がるように、背中がベッドから離れた。
「あああ゛ぁあ゛…!♡♡こばやひ…!♡♡」
小林自身がそうさせたとは言え、こんなに近くで名を呼ばれると、堪らない気持ちになる。
恐らく、猫はそんな牡の気持ちにも気づいていない。
と、不意に小林は一度目の射精感見舞われたが、それを出来るだけまた無心で敢えて逃がす。
深く重い律動を続けると、その度に和中の身体が緊張し、ナカイキの波に揉まれていく。
「おっほぉお゛おぉお゛〜〜〜〜〜!!♡♡♡ひんぽ!♡♡ひんぽじりゅらしらい゛〜〜〜〜!!♡♡」
どうやら昨日の朝のセックスの時の、二重の快感が欲しいらしい。
強い刺激に慣れてきたな…と、小林は苦笑いしながらゴヂュユウウウン!!♡♡と、また一際強く双丘に向けて腰の押し引きを繰り返す。
「かっはぁぁああ゛!?♡♡♡おっごぉおお゛お!!♡♡♡」
それだけでナカイキした和中の腰が、ビクンッ!♡♡と震える。
白目を剥き、身体を痙攣させて呼吸をつげなくなって、血に濡れた喉が仰け反りハクハク♡♡と、口を開閉して酸素を取り込もうと必死だ。
きつい抽挿は続けながら、和中の花芯に手をやり扱いてやる。
裏筋を親指で撫で上げ、根元の皮を上下に擦る。
「ほぉぉお゛お〜〜〜〜〜!!♡♡♡まらグるグるグるぅう〜〜〜〜〜!!♡♡♡イぐぅぅう゛!!♡♡♡」
「あれだけちんぽでイったのに…♡♡全くイきたがりッスねぇ♡♡」
正直、ヒートってすごい。としか言いようがない。
和中の背中が大きく跳ねたかと思うと、射精と前のナカイキも去らないまま、快楽をダブルでキメた。
花芯からは、ドビュルルルル!♡♡と多量の体液が吐き出され、和中の胸や顔にまで飛び散って妖しく光る。
「おおん゛おんお゛おお゛おほぉん〜〜〜〜〜〜っつ!!!♡♡♡♡お゛あぁ゛ああぁあ゛ああお゛ぉ〜〜〜〜〜〜!!!♡♡♡♡」
もう言葉すら発することも出来ずに、ただただ喘ぎ、愉悦のみを享受する猫の快楽への執着の強さに、小林は苦笑いしか出来ない。
猫のナカが激しくうねり、牡にほとんど立て続けの二度目の絶頂感が襲ってきた。
それも出来るだけ無視して、腰を動かし続ける。
「あぁ゛…♡♡ぅうう゛…♡♡」
すると、白目を剥いていた和中の瞳が戻ってきたのはいいが、そのまま瞼が閉じられて動かなくなってしまった。
どうやら、また失神したらしい。
小林の背中からも腕が外れ、ベッドへと落ち沈んでいく。
和中の失神のタイミングが急すぎた。
猫に快楽を与えるのを諦めた小林は、暫くナカで律動したあと、フカフカの阜の狭間に尖端を挿し込みしっかりと子種を注いだ。
◇
シャボン玉がひとつ。
あれ、シャボン玉はみっつ…?
──あれ、なんで俺、風呂に入ってるんだ?
気づけば、和中がいたのはバスタブの中のよく泡立てた湯の中。
周りは夢の中のように、バスタブから舞い上がったシャボン玉が飛び交い、広めの洗い場にはよく見慣れた、トライバルタトゥーを彫った広い背中が見える。
どうやら、頭を洗っているらしい。
──美しいな…。
同じ男の和中でさえ、惚れ惚れしてしまうような、彫刻のような筋肉の背中。
──しかし、何故だろう。
視界がフワフワ浮いて、この世界には現実味がない。
『あ、兄貴ぃ?起きました?湯加減はどうスかー?』
背を向けていた男が頭を流して振り返り、声をかけてくるがその声もどこか遠い。
シャボン玉だけが、生まれては消えを繰り返している。
『よっこいしょー』
こちらに歩み寄ってきた男に、抱きかかえられるようにして、和中はバスタブから移動し、洗い場で背もたれのない背の低い椅子に座らされた。
男は、ふとシャボン玉の舞う宙を見上げ呟く。
『凄いシャボン玉の数ッスよねぇ、これ、通販で買ったバスボムなんスよー、ちょうどお試し価格でぇ』
ぼんやりしている和中の意識を、男は無理に起こすことなく独り言のような言葉を続ける。
『兄貴が気に入ったなら、リピしようかなー?』
背中を流され、泡立てたスポンジと手が身体の前面に回ってきた。
『洗って欲しいとこあったら教えてくださーい、まぁ、全部洗うんスけどー…』
スポンジが胸の粒を滑ると、チリッ♡とした快感に思わず声が漏れてしまう。
『うんぁっ…♡』
今の自分自身の声すら遠く、和中はきっとこれは夢なのだと思った。
中途半端に解像度の高い、起きれば全てが終わるただの夢…。
『あーあー、感じちゃいましたぁ?〇〇〇なんで感度上がりまくってますもんねー』
──なんだ?よく聞こえない…何だから感度が…?
手が下肢へと向かっていく。
その手はいやらしさを微塵も感じさせない、仕事をこなす事務的な動き。
胸への刺激で中途半端に反応してしまった場所へ、スポンジを持った手が通りかかり、そこでとまる。
『このままだと半端で辛そうッスねー、一発抜きましょうかねぇ』
『えっ…いい…』
首を横に振るが、男は聞いてくれない。
ボディソープを容器から少し取り手の中で泡立てると、男は和中の腰に腕を回し、後ろから半勃ちのソレを握りしめた。
『んっ…♡あぁっ♡』
ヌルッ♡ヌルッ♡とボディソープのせいでぬめる手に、和中はつい翻弄されてしまう。
『いつでも出して大丈夫なんでー』
耳元で低くそう囁かれ、前を扱かれるのと相俟って快感が背筋を躍り上がる。
『お゛ぉおっ…♡♡おっ…♡♡いやだぁ…♡♡いや…♡♡やぁっ…♡♡』
言葉が、どんどんと甘いものに崩れていく。
パタパタと手足を動かして抵抗を試みるものの、男は背後にいるので全く無意味だ。
そのことにも気づけないほど、視界は変わらず聴覚ですら浮遊感が強い。
ただ、敏感に感じ取れるのは“快楽“…それだけ。
『イ、イくっ…♡♡も、だめぇ♡♡』
『じゃーあー、ザーメン汁ビュービュー吹いてくださーい』
『おおお゛…!♡♡おほぉおお゛お〜〜〜!!♡♡♡』
先程、男が言っていた感度が上がっているという言葉…まさにその通りに、和中は大仰なほど声を上げて、男の手の中に射精していた。
「大変よく出来ました♡♡兄貴♡♡」
そこにはニッコニコの男…小林がいて、急に現実味を増す世界。
「え?…は?」
どうやら風呂に入っていたのは夢ではなかったらしく、小林の手で抜かれたのも現実のようだった。
途端に、その“現実“が、和中に重くのしかかる。
ベッドの上からの記憶がないことから、己が失神してしまったのだけは分かる。
ということは、小林は失神した和中を風呂に入れていたということ。
また、卑猥なイタズラをしかけられるところだった…と、和中は目覚められたことに安堵の息を吐く。
目覚めても、充分卑猥なことはされたにはされたが…。
小林が鮮明な声でうっとりと呟く。
「兄貴の肌ってエロいッスよねぇ♡しっとりしたもち肌でぇ〜♡」
「う、る、さ、い」
こいつの頭かち割って、脳みそケツからぶち込んでヒーヒー言わせたい…と、和中の中で汚い言葉が自然と生まれてくる。
「尻なんて柔らかくて、手に吸い付いて来るみたいなんスよ〜?♡」
「し、ら、ん」
「しらんって…紫蘭は俺のもの…」
「知らん!と言っているだろうが!このうつけ者!」
和中は椅子から立ち上がろうと、足に力を入れた。
怒りと羞恥のあまり、力強く踏み出そうとすると、足元にスポンジが落ちていることに気づかず踏んで滑り、思わず体勢を崩しそうになる。
「わっ…!」
咄嗟に頭を庇おうとすると、小林が素早く動きしっかりと抱きとめてくれた。
「大丈夫ッスかぁ?いくら賢者タイムだからって、油断しすぎッスよー」
「煩い!黙れ!この痴漢!変態!」
日頃、高い水準の語彙力で喋る和中とは思えない稚拙な罵詈雑言に、小林の瞳が妖しく光る。
「いいッスよ、どうせ俺は痴漢で変態ッス…だって兄貴のこんなところにも、興味あるんスから…」
すぐに小林の腕から逃れ、結局背の低い椅子に座り直す羽目になった和中の頭の上に、疑問符が浮かぶ。
──こんなところ?まさか、また下ネタじゃないだろうな…。
小林は、椅子に座っている怪訝な顔の和中の前で両膝をつき、屈んでなんと脛に舌を滑らせた。
驚きのあまり固まって見下ろしている和中に構わず、小林は。
「兄貴ってぇ、足も長くて真っ直ぐでキレイッスよねぇ…俺、足の綺麗な人だーいすき」
そう言って脛を舌でなぞった後、踵を持ち上げ、足の親指を口に含んだ。
「いくら風呂とは言え、汚いだろう…」
我に返った和中が唸るように言うと、小林は舌を親指と人差し指の間に移動させながら。
「別に?汚いなんて思わないッスよ?」
──こいつは、“コノテ“の変態だったのか…。
和中は小林を生暖かい目で見つめながら、思い悩んでしまった。
どうすればこの変態を上手く御せるのかを、本気で模索してみたい。
ただ、なかなか難儀なことにはなりそうだ。
ふと、人差し指を強く吸われ、和中の背中をゾクゾクッ♡♡と快感に似たものが走る。
「んんっ…♡♡」
思わず瞳をきつく閉じてその快楽をやり過ごすと、気づいたらしい小林の口角が吊り上がった。
「兄貴、人差し指が弱いんスねぇ♡」
「ちが…」
「違わないッスよ♡」
それから小林は、五指それぞれ全てを口に含み、指の間にも舌を這わせ満足したようだ。
「ご馳走様でしたぁ、とーっても美味しかったッス♡」
「この、馬鹿っ!」
踵をあげたままの和中の爪先が、小林の顎にクリティカルヒットしたのは、言うまでもない。
◇
それから、風呂を上がった小林は、和中がヒートなのをいいことに、また強引な方法で彼を蕩けさせて抱いた。
朝から二度も行為を迫られ、抱かれ疲れ眠りに落ちた和中。
同じく疲れ切り、一昨日の夜から和中にかかりきりのためにインスタント食品ばかりで、まともな飯を食っておらず、腹が減っている小林。
今回こそはちゃんとした飯を宅配で頼もうと、ガウンを羽織った姿でリビングに行きタブレット端末を片手に、ソファに座る。
飯を注文する前に、忘れてはいけないものがある。
タブレットの画面をスワイプし、宅配アプリの前に通販のアプリを開く。
「オメガ ヒート 食品」と、検索バーに打ち込み、検索結果で出てきたものに、うーん、と困ったような声をあげる。
オメガはヒート中、大体が腹が減りづらく食事は固形物を受け付けないと、以前テレビかなにかで見た。
事実、一昨日の夜から、ここに和中を連れてきて約二日が経つが、腹が減って仕様がない小林に対して、彼は一言も飯のことに触れてこない。
オメガはヒートの最中、セックスのことしか考えられなくなることは、知っている。
放っておけば飲まず食わずで繁殖行動を取るのかと思うと、飯が日々の潤滑油である小林からすれば、そら恐ろしくなる思いだった。
なので、和中のためにゼリー状の栄養価の高い食品を通販で購入しようと思い立ったのだが、肝心の彼の味の好みが分からない。
差し当たって、人気の商品と銘打たれているものは、片っ端からカートに入れたのだが、果たして彼は美味しいと食べてくれるだろうか。
食べてもらって、気に入ったものをリピートすればいいと考え、人気の商品とオススメの商品をカートに入れ、当日配送で購入ボタンをタップした。
寝室に戻り、ベッドの端に座って眠る和中の顔を眺める。
とても、心が落ち着く。
ラットでなくても、和中のことを愛おしいと思えるようにもなった。
すると小林の中で、また和中が運命の番なのか?という疑問が頭を擡げ始めた。
これまでのセックスで、焦るな!と制止する自分が頭を占める割合はだいぶ小さくなった。
その代わりに、このまま項を食んでしまえと誘惑してくる自分の欲望が、徐々に肥大化してきているのが分かる。
──だが…。
いざ番えるとなると、尻込みしてしまいそうだ。
それ以前から、ずっとモヤモヤと頭の奥で引っかかっていることがある。
それは、朝のセックスの時にも考えた…。
リビングに足を向けようとすると、不意に小林の背筋を冷たいものが走る。
モヤモヤの正体。
もしかしたら、子供ができた時に、和中は小林と番うことを望むかもしれない。
──その時に、その望みに俺は、応えてやれるのか?
番えることに対してこんなにも慎重に…いや疑心暗鬼とも言えるほど、怯えているのに…。
こんなにも愛おしいと思える人の望みですらも、自分は蹴り飛ばしてしまうのだろうか。
そこまで考えが至れば、一挙に全部のことが押し寄せてくる。
小林は、やっと自分のしてきたことの責任の重さが、分かった気がした。
子を成すのは、番えると決めた相手とすべきだと。
相性を試すと称して、自分達の血を継いだ子が欲しいと、安易に和中に種付けを行ってきたが、それは全て間違いであったと。
無闇矢鱈に、子を成そうとするなど愚の骨頂だ。
いや、和中は、恐らく孕んでも…例えばなにかに追い詰められようと、簡単に小林に番ってくれなどとは、言わないだろう。
元来、弱味は見せないタイプだ、己が悲しみにくれていても、その涙を隠し他人に施す男だ。
子供が好きな彼は、きっといい父親になり一人で子を育てていくのだろう。
──俺…は?
番えることに、こんなにも怯えている小林は、いつしか和中と子の人生のページに登場しなくなり、やがて記憶から消えていく。
種は与えてやった、ただ、それだけの“人“でしかない。
子を成してから、運命の番なら…譲歩して、そうでなくとも相性がいいなら番えばいい…。
しかし、その考えは甘すぎた。
──俺に…兄貴を抱く資格は…な、い?
続く…
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うわああ第13話読み終えたよ…!!😭💕 和中くんのヒートで理性ぶっ飛びモード、エロすぎて頭パンクしそうだった…♡ 特に「ぎもりぃのぉ!らめな゛のぉ!」って矛盾したおねだりする和中くんに小林の「どっちなんスかぁ♡」って余裕の笑みが刺さる…! あと最後の方で小林が「俺に抱く資格はない」って自己嫌悪してるのがグッときたね…この二人、♡♡♡だけじゃないちゃんとした関係性の重みが見え隠れしてエモいよ…次話も待ってる!!🔥