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清香は最近、隠しカメラのチェックが日課になっていた。
「また、くっつき始めた」
美香は、旦那の隣に座り腕に絡み付いて、胸を押し当てている。
「お義兄さんモテたと思うのに、何でお姉ちゃんなんかと結婚したの?」
男を褒めながら、ライバルの女を貶めるプロのワザね。恐ろしい子。
「いやあ、自分でも不思議なんだよな。付き合って半年で結婚するなんてな」
「ふ~ん」
自分から聞いたくせに、光一が清香の話しをするのは聞きたくないらしい。
「お義兄さん、来週、美香の誕生日なの。欲しい財布があるんだけど、週末一緒に出かけようよ」
「そうするか」
光一は仕方ないと頭をかきながらも、満更でもない様子。
「2人がデートする様子を調査会社に依頼して撮影してもらおう」
◇◆◇
週末、調査会社に依頼をして2人を撮影するように依頼した。
横浜に出かけた2人は中華街でランチをした後、堂々と手をつないで、デートを楽しんでいる。
美香の誕生日プレゼントを選ぶ為に、デパートに移動した。
ピンクの厚底サンダルが、ヴィ○ンの店の前で立ち止まると、光一の腕に自分の腕を絡ませて、店内に引っ張っていく。
「これ、この長財布が欲しいの」
お目当ての長財布を手にとって、光一に見せる。
「財布がこんなにするのか」
光一は、値段を見て驚く。
「ダメなの?」
上目遣いに瞳を潤ませる美香の演技が冴えわたる。
「ダメなはずないだろ」
こうして、美香の誕生日プレゼントとして、ヴィ○ンの長財布10万円以上をプレゼントした。
清香は、調査会社から送られてきた動画や写真を見て、腸が煮えくり返っている。
清香は月に5万円を渡されて、家のことをやりくりしているのに、誕生日だって結婚してからはプレゼントなんてもらってもいない。
「この屈辱、絶対に忘れないわ」
◇◆◇
「友美さん、急に呼び出してごめんね」
清香は、以前、勤めていた動画サイトを配信する会社の元同僚に連絡をした。
「気にしなくていいよ。どこか入って話そう」
久しぶりに再会した2人は、待ち合わせ場所の近くの喫茶店に入ることにした。
「旦那が、妹と不倫してるみたいでさ、決定的な証拠がないし、私1人じゃどうすればいいか、分からなくて」
清香は、今まで撮り貯めた動画を見せて、友美に復讐の手伝いをしてくれと頼みこむ。
「復讐って、どこまでやりたいの?最後は旦那とよりを戻したいの?妹と仲直りしたいの?それとも2人を破滅させたいの?」
友美の言葉に、復讐には、清香の揺るがない決意が必要だと言われた。
どうだろう。私はどこまで許せて、どこまで復讐する気なのか?
ピコン
スマホに、隠しカメラで撮影された動画が送られてきた。
友人に会うと美香に連絡しておいたら、さっそく光一に会いに家に来ている。
動画◆◆◆動画
【2人は、まるで恋人同士のように部屋で寄り添って、濃厚なキスを交わしている。
「お義兄さんも可哀相だわ。あたしだったら、もっとお義兄さんを大切にしてあげるのにな」
若い体が、光一にしなだれかかるように全身を預けている。
「ああ、俺も清香じゃなくて、美香に先に会いたかったよ。あの女は結婚した途端、ブクブク太って、一気に老け込みやがって」
光一の台詞は、まるでゴミでも吐き捨てるようだ。
「それに比べて、美香の肌はまるで赤ちゃんみたいだな」
美香の肌に手を滑らせていく。
「美香が、赤ちゃんかどうか、お風呂で確認してみたら?」
美香は手を光一の顔に近付けると、人差し指だけで光一のアゴに触れる。
「風呂で?」
ゴクリと光一の喉が鳴る。
「お湯を張ってくるからな。待ってろ」
光一は、風呂場へ向かう。
「○○○○○○○」】
動画◆◆◆動画
「┅┅」
最後の美香の台詞を聞いて、清香は絶句する。
この女は人間じゃない。
「これ、本当に妹なの?恐すぎるよ。見てこれ、鳥肌立っちゃった」
友美も、信じられないものを見たと、腕をさすっている。
「どこの昼ドラだよ。悪いけど、マジで最低な旦那と恐ろしい妹だな。これ、悩む必要ってある?」
友美は、こいつらには天罰が必要だと騒いでいる。
「徹底的に痛め付けたい。私は何をすればいい?」
美香の最後の台詞で清香の腹は決まった。
清香の目暗く光った。
「おばさんに、妹の見合い相手、それもお金持ちを探してもらって。私も周りに女と遊びたい金持ちがいないか探してみるから」
友美は、手帳のメモ欄を出すと計画を練っていく。
「部屋中にカメラ仕掛けて、お風呂もベランダも全部。社会のゴミは根絶しましょ。編集は私に任せて。プロだから」
友美は、2人を社会の敵と判断したようだ。
「うん、任せる」
「そうだ。調査会社に依頼してるよね?物凄い高いって言うけど、本当?」
「物凄い高いよ。人1人使うのって、簡単に何十万って消えてくもん」
深いため息をつく。
「無料ってわけにはいかないけど、私の弟と弟の友達を安く使うのはどうかな?」
「助かる~」
願ってもないと直ぐに了承した。
「あと、清香の為に言うから、傷付くこと言ってもいいかな?」
「何でも言って」
清香はどんな酷い言葉も、光一と美香にやられていることに比べたら何でもないと思う。
「会社辞める前は、痩せてて美人だったよね?フィットネスでもエステでも通って、出来るだけ元に戻して」
心を鬼にして、清香の為にキツイ言葉を投げかける。
「それが傷付くことか。ヒック、ヒック」
やはり傷付いたのか大粒の涙を流して、泣き出してしまう。
「ごめん、酷いこと言って。でも」
清香を泣かせてしまったと、友美の胸も痛んでいた。
「違うの~嬉しくて。私の為にそんなこと言ってくれるの友美だけだから。そんな優しい言葉聞いたの久しぶりだよ」
友美が心から忠告してくれているのが分かった。
「私、本気で痩せるから、見てて。貯金全部使って」
「ストップ。結婚してるんだから、旦那のお金でエステくらい行っちゃえば」
「うん、でも月に5万しかくれなくて、そこから保険とかも払ってるから、カツカツなの」
「甲斐性までないのか」
友美の怒りは爆発寸前だった。
「とにかく昔の自分に戻れるように努力するよ」
清香と友美は、自然とテーブルの上で手を重ねて、社会のゴミを片付ける為に作戦を立てていく。