side💚
レッスン室の鏡に映る自分の姿を見つめながら、息を整えた。
何度も踊り込んできたはずの振り付けなのに、どこか納得がいかない。
💙「……もう一回、やる?」
隣で翔太が汗を拭きながら、俺に問いかける。
💚「いや、大丈夫……ありがとう」
そう答えたものの、本当は心の中で迷っていた。
このままでいいのか――そんな不安がずっとつきまとっている。
焦りと迷い
デビューが近づいている実感はある。
ファンの数も少しずつ増え、名前を呼ばれる機会も増えた。
でも、俺たちはまだ”デビュー”という確約をもらっていない。
🩷「阿部ちゃん、ちょっと休もうよ!」
佐久間が無邪気に笑いながら肩を叩いてくる。
💚「休んでる場合じゃないだろ」
思わず口調が強くなってしまった。
佐久間の表情が少し曇る。
🩷「あ……ごめん」
💚「いや、俺の方こそ……」
言いかけたところで、ふっかが間に入ってきた。
💜「まあまあ!焦る気持ちはわかるけどさ、疲れすぎても意味ないし」
ふっか言うことは正論だった。
だけど、焦りは簡単に消せるものじゃない。
プレッシャーの正体
俺は、ふと視線を落とした。
(もし俺たちがデビューできなかったら――)
そんな考えが頭をよぎる。
今までの努力がすべて無駄になるわけじゃない。
それはわかってる。
でも、目の前の目標がどれだけ遠いのか、未だに掴めないままでいる自分がいた。
💛「阿部、考えすぎだって」
そう言ってくれたのは照だった。
💚「でも……」
💛「不安になるのはわかる。俺だってそうだし」
そう言いながら、照は少し笑った。
💛「けど、悩んでるだけじゃ答えは出ない。だったら、今できることをやるしかない」
その言葉に、少しだけ心が軽くなった気がした。
💚「……そうだね」
俺は深く息を吸い込んで、もう一度鏡の前に立つ。
💚「もう一回、やろう」
デビューはまだ決まっていない。
だけど、俺たちは前に進むしかないんだ。