テラーノベル
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7
#一次創作
河崎るぁる
349
美人薄明なんて事を申しまして、
美人ってのは気性はさっぱりしているんですな。
「こんちはぁ隠居さんいますかぁ?」
「おお、お上がり、なんのようだい?」
「いやね、ひとつ隠居さんにね、聞きてぇことがあってね、聞きてぇことがあってねきたんすよ」
「うん…で?」
「いやほんとおかしな話でさぁ、ねぇ?隠居さんどう思う?」
「どう思うっつたってあんた、まだ何にも話してないじゃないか」
「いやね、あの伊勢屋の旦那のねぇ娘さん、ね?あの娘さんの若旦那が3べん死んだんすよ、おかしな話だなぁって思ってさ、聞きに来たんすけどね、やっぱり隠居さんもおかしいって思います?」
「思うに決まってんでしょ、え?人間ってのは2度も3度も死なねえんだよ」
「え?隠居さん聞いてなかったんすか?俺は1度も1人の人間がって言ってないんすよ?」
「若旦那がって言ってたじゃねえか」
「いや若旦那が3人死んだんすよ」
「ああ、そういうこと、そりゃあ言わなきゃわかんないよ」
「っすよね」
「馬鹿」
「いや、ひどいなぁ隠居さん」
「そんで話はなんだい?」
「ああ、あの伊勢屋のね?大旦那が亡くなったのがええと、7年前ですかね覚えてますか?」
「ああ、もうそんななるかねぇ」
「いやそんなしみじみいらねえんすよ、で、その大旦那が死んで残されたのが大旦那のかかあと娘さんっすよ、そんでね娘さんをいつまでも後家に置いとくわけにはいかねえってんで若旦那を持ったんすよ、でねその若旦那がいい男なんすよね、ええ、もう紳士!ってんでねえ?西城秀樹とか目黒蓮ぐらいっすかね」
「そ、その時代の落差なんだい?」
「知らねえっすよ俺の勝手だ馬鹿野郎!!」
「な、なんで急にキレるんだね」
「ああ、ちげえちげえ今回は喧嘩しに来たんじゃないんすよ」
「今回は?」
「いけね、でね!!その若旦那をもらってすぐにその大旦那のかかあはすぐ死んだんすよ、まぁ安心したんでしょうなぁ」
「そのかかあって呼び方やめてくれないか、大旦那の妻とかお内儀とかそういうのあるだろ」
「そんなんいいじゃないすか、でね、その若旦那と娘さんがまぁね仲良くしてたりして、周りも結構だねぇなんて頬赤らめて話してたんすけどね、その西城秀樹が段々と顔色悪くなりやがってそんで死んじゃったんすよ、ああ」
「んー、気の毒だな」
「でいつまでも後家に置いとくわけにはいかねえってんで2度目の亭主持ったんすよ、まぁ今回はまぁ器量なんかなくてもいいやって、まぁなくてもってわけにもいかねえけどそういう顔ですよ、
腕なんかもう筋骨隆々で毛もスンゲェのよ!下のもすげっ…」
「そんな話するな馬鹿野郎!!オチがばれちまう!!」
「でねでね、顔もすごいのよ、もうゴツゴツゴツゴツゴツってんでパイナップルの如くですね、その顔あるんすね」
「う、うんなんとなく分かるよ」
「でねそのパイナップルと娘さんとの仲は前にも増していいんすよ、冗談じゃないねえ!!」
「何が」
「なんでもいいんすよあの女は!表へ出ろってんすよ!!」
「なんでそこでお前さんがキレるかね」
「悔しいんだよ!悔しい!…そんでね、そのパイナップルが3ヶ月もすると青くなっていって、冬瓜になりましたなぁそりゃ」
「う、うん」
「そんでまた死んだんすよ、ね、でまた新しい亭主持ったんすよ、3度目ですよ、3度目、それでその3度目の亭主と娘さんとの仲は前の2度にも増して、いいんすよ、ねぇ?
ずっと一緒で、家へ出る時も一緒、道歩いてる時もなんかクチャクチャ手握ったり話したりして、もおおおお!なんだありゃあ!って前の連中が言うんすよ、ええ、そん中でも口が悪いやつは『ありゃことによるとトイレん中も一緒なんじゃねえかぁ!?」なんて言うんすよ、口の悪いやつは、でもねトイレって言ってもねトイレなんか広くても3畳か、小さくて半畳くらいなもんで、あっしはトイレん中までは一緒じゃねえと踏んでますよ」
「何しに来たのよ、トイレん話?」
「いや、違くてそれでね?おまんまの食い方も変でさぁ、娘さんが亭主のおまんまよそうんすよ、どうかしてますよね」
「…何が?」
「え…?」
「う、うちは自分のことは自分でやろうって流儀ですよ」
「うん。それはそれでいいよ、突き進みなさい」
「でね、よそってこんな…こんな…格好で、『はい、あなた…』って こんな…映画のジュゴンみたいなこんな…、それで亭主も鼻の下伸ばして、『おお、お前ありがとぉ』って、
『はい…あなた…』『おお、お前ありがとぉ』」
「帰ってくんなないかな、わしも隠居とは言え忙しいから、帰ってくれ」
「そんなこと言わないで、それでねそれ見てたらあっしが松の枝から落ちたんすよ」
「お前さんが死ねばよかったのに」
「ふん、悲しいくせに」
「…でなんなの?」
「そんでその亭主が寝込んじまって外へ出なくなって、それで半月も経つとコロッと死んじゃったんすよ、これで旦那の娘さんの亭主が3べん死んだんすよ」
「ああ、そういうこと、気の毒だねぇ」
「なんでですか?」
「え?」
「伊勢屋の大旦那ってもうここいらじゃ評判で、仏って言われてた程だったんすよその仏の娘の若旦那が3べん死んだっていう…」
「…その、娘さん…歳はいくつ?」
「33」
「女盛りだね」
「そう?33?…あっしは24、5がいいなぁ」
「お前さんの好みはどうでもいい、いいかい?33は女盛りとされてるの、見えないんじゃない?」
「!知ってんの!?見えない見えない!いや24、5に見えますよ、いやひょっとするともっと若く見えんの!もうさっきも会ったさっきも!ええ、ふるいつきたくなるようないい女!」
「そこだよ」
「?」
「そこだ、その女の器量がご亭主の短命の元だな」
「なんすか短命って」
「短い命で短命、早死にすることだな、長生きは長命」
「なんすかなんすか、奥さんの器量がいいとご亭主は短命なんすか、みんな?」
「んーみんなじゃないけどこの場合そうじゃないかな」
「へぇ」
「想像してみな?目の前にその娘さんがいて、お前さん一緒に炬燵に入ってるところを」
「今夏」
「思えってんだよ、思え、仮に」
「仕方ないなぁ…」
「向かい合わせに座ってねぇ?ねぇ?足が当たるねてが当たるね、そんで目の前を見るとふるいつきたくなるような…」
「あ、隠居さん知らねえんだぁ!あそこの炬燵デカくてさぁ畳二畳くらいあんだよね、だから向かい合わせに座ったって足が当たったりしませんから」
「小さな炬燵だと思えってんだよこの野郎!!!!」
「…はい」
「ねえ足が触れたりして目の前を見るとふるいつきたくなるような女だよ」
「…!!事故!?」
「…なんだい?」
「手足が触れて爪から爪へ毒が入った!そんでその毒が血管通って心臓にプシュン!!つって死んじゃったんだ!」
「…んなわけあるかよ…何よりもそばが毒だと医者はこう言うねぇ」
「うどんにすべき!?うどんだねやっぱりうどん!?」
「…飯時を想像してごらんなさい?」
「…」
「娘さんがご飯注いでくれているよ?そんでもって指が触れて前を見るとふるいつきたくなるようないい女だよ?」
「…!!事件!?」
「何今度は?」
「あ、あの女!飯に毒をもって亭主をこう、毒殺したんすね!そういう!」
「仲良いんだろ?」
「うん」
「なんで亭主を毒殺すんの?」
「…倒錯した愛の形…」
「…なんで短命知らねえでこんな馬鹿みてえなこと知ってんだよ、順序弁えろこの野郎 …で、想像してごらんなさい?娘さんがご飯よそってるよ、それ渡されてどう?食べるの?
食ってる場合かおまんまを!」
「…おかずによっては!」
「白い飯しか入ってねえんだよ!どうすんだよ!」
「…」
「!?ああ、そ、そういう、下とか上…を」
「ちょいちょい!危ねえよ!もう…お前さん感が鈍いよ?」
「いや…でも、いいねぇ」
「いいよねぇ…羨ましいねぇ…ほんと」
「じゃ、じゃあ隠居さんこれで、さようなら、へへ」
「いやもうちょっといいじゃないか、もうちょっとこういう話を…」
「いや、飯の時間だから…へへ」
「いやー隠居さんに聞いて正解だったなぁこりゃ…もう下半身えらいことになってるよ…ええ?
……おう今帰ったぞお!」
「もうお前さん遅いよ?ええ?もう私ご飯食べちゃったんだからね!もうあんた1人で食べな」
「もう…わかったよぉ…たく……おい、ちょっと?」
「なんだい?」
「おまんまよそってくれよ今日、おまんま」
「なんで?」
「いや…俺おまんまたべんだよ…だからよそってくれ」
「…なんで私がそんな面倒な事をわざわざあんた如きのためにしなくちゃいけないわけ?」
「…お前っそりゃねえだろぉ?俺だって立派な亭主なんだぞお!」
「何を言うかいおまんまひとつよそえないような亭主なんかあたしゃいらないよ!」
「…盛りすぎじゃないか?ここが両国だからって俺は力士じゃねえんだから!」
「おかわりなんか言ったらぶっ飛ばすからね!!…ほらよ!」
「はいあなたって…言ってくれよ…」
「はぁ?ハイアナタ?」
「言ってくれよ…」
「…言ったことないもの…その…そんな目で見ないでよ…」
「金払うから」
「そんな…いらないよ…もう……はい、あなた」
「おお、ありがとう……指が触れた…見上げると…ふるいつきたくなるようなぁ………あ、
ああ、俺は長生きだなぁ…」
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##### 🎀 美月ゆめかからの感想 🌸 わあっ!1話からめっちゃ雰囲気出てる~!✨ 隠居さんと話してる人の掛け合いが軽快すぎてずっとニヤニヤしちゃったよ(笑)「若旦那が3べん死んだ」って導入からして気になるし、最後の“俺は長生きだなぁ…”で締めるのエモすぎるでしょ…! 江戸弁のノリがクセになるし、この後どうなるのかめっちゃ気になる!続き待ってるよ~📖💕