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巌流島という場所は存在します。
そして、彼ら二人も実在の人物というのは間違いないようです。
では、なぜ容姿はおろか年齢や経歴もあやふやなのか。
決闘という劇的なまでに整えられた舞台で剣を交えた両名──なのに、状況が見えないのです。
そのくせ、逸話は多く残っている……。
このように謎が多いとされている出来事ですが、これをBL学的見地から考察することで、両名の感情を推察できます。
さらに史実に隠された裏側や後日譚も読み解くことができるのです。
ここで、二人が置かれた状況を整理してみましょう。
数多くの剣豪との果たし合いに勝利してきた宮本武蔵と、剣術の出世コースを駆け登っていったエリート剣士である佐々木小次郎。
世間は彼らに何を期待するでしょうか。
ええ、そうです。
──どちらが強いのか?
そんな声が次第に大きくなっていくのは自明の理。
現代においても我々は千秋楽全勝力士による優勝決定戦や、チャンピオンベルトを賭けた真剣勝負を求めてしまうものです。
しかし、その声は宮本・佐々木にとっては重荷となったとも推察することができます。
先述したように、この時代の決闘において敗れることは死を意味します。
誰が好き好んで戦いたいなどと思うものでしょうか。
これらのことから、ひとつの仮説が成り立ちます。
そう、周囲によって追い込まれた二人が手を組んだ──それが巌流島決闘の真相ではないでしょうか。
当事者の二人が手を組み、口裏を合わせることで、決闘という殺し合いを回避するという作戦です。
しかしながら、騙りであったとしても「決闘」には勝者と敗者が存在します。
勝者には新たな挑戦者が現れることでしょう。
いつになったら戦いから解放されるのか分からない茨の道です。
一方、敗者の名誉は地に堕ちます。
さらに「死ぬ」ことで重圧から解放される反面、これまで築いてきた地位を失ってしまいます。
勝者と敗者、どちらを選ぶにしろ嫌な選択です。
しかも周囲を騙すこととなる。
もしも企みが白日の下に晒されれば二人は終わりです。
つまり、これは強い協力関係と信頼がなくては成り立たない計画といえるでしょう。
ここに両名の愛が介在していたと考えるのは自然なことではないでしょうか。
巌流島付近には小さな無人島が多く存在します。
「死んだ」小次郎は、ほとぼりが醒めるまでそこで暮らしたと考えることができます。
世間が巌流島決闘のことを忘れたころ、ふたりは手に手を取り合って旅に出たのではないかと願ってやみません。
ご清聴ありがとうございました。
この仮説がBL学に関心を抱いてくれるきっかけになればと願ってやみません。