テラーノベル
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かなり戸惑った感じではあったが、あえて空気を読まず席に座らせる。
何でもいい知りたかった。
この後バイトの事で怒られるのは確定した。
それも相まって心臓がバクバク言ってる。
やけに空調の音が耳に入る。
あ、月陽さんが、手遊びしてる。
わー、なに、なに?めっちゃ見てくる!可愛い!
じゃなくて、何で?
いやそりゃそうだよな訳わかんないうちに相席してんだもん。
……いや、これ睨んでんな。
「月陽さんも珈琲飲みに来たん?てか、珈琲好きなん?」
喫茶店の前にいるからそりゃそうだろう!
夜桜は焦りに焦っている。
それはもう上司の機嫌を伺う平の様に。
「あ、えっと、こ、珈琲は好き。喫茶店は初めて、かな?」
あー、答えてくれたァ!
声も綺麗だな。
鈴の鳴るような凛とした声とも取れるし可愛い系の声でもある。
「なんで、疑問形!ははは、そうかそうか。ならば私が珈琲はどんなものか教えて進ぜよう!」
私は何をそんなに得意げなの?
脳と口は別人格なの?
何話していいかわかんないから何言ってるか分からない。
自分で何を喋ってるのか分かんないけど、月陽さんがかなり呆れ、戸惑い、挙句聞き流し始めた。
そんな時、珈琲が運ばれてきた。
ヤバイ、いつ頼んだかすら分かんないんだけど。
運んできた店員さんを横目で見て、絶望する。
(あ、やべぇ橘さんじゃん)
一瞬のフリーズ。
月陽はしっかり人の話を聞くタイプのようで頷いて聞いてはいたが、店員が背中を向けると首を傾げている。
そして、その店員こと、橘さんはそれはそれは綺麗な回れ右と惚れ惚れするほど慈愛に満ちた顔…なんかでは無く、青筋が浮かんで人を射殺す目付きを向けてきた。
夜桜は悟る。
(笑ってごまかせないかなー)
夜桜的な笑顔は人から見れば完全に引きずった笑だった。
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