テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
_いえもんside_
そう、俺は”能魔者”である。身体強化の能力者だ。なぜ嘘をついているかだって?簡単な理由だ。能魔者と言うと差別されるからだ。最悪適当な罪を押し付けられて殺される。その時は殺そうとした奴を返り討ちにして殺せばいいが、何となくそれはためらってしまう。
話がずれるが、能魔者は先天的に能力や魔力を持っているはずなのに実は俺は後天的に能力を得た。これはあり得ないことなのだ。少なくともこの世界では。だが、俺はなぜそうなったか心当たりがある。それを確かめるために旅をしている。
森の中を歩いていると、いつの間にか空が暗くなっていた。周りを見渡すと他の木よりも一際大きな木があった。魔獣や魔族、動物などの人外が住んでいる気配もないし、地面から一番下の枝がとても高い。空を飛べない人外が来れなさそうで多少は安全だと思うので、この木の上で寝ることにした。俺は能力で手足を強化させ、驚異的な脚力で飛び上がり、木に登る。しばらく登っていると、座りやすそうな太い枝があったので、木の幹を背もたれに座った。鞄は木から落ちても面倒なので抱えるようにして寝た。
ザワザワッ…
熟睡していた俺はそんな音で目が覚める。寝ていたせいで半開きになっている俺の目が木の葉っぱのシルエットを捉えた。
にしても今日は風が強いな…。って…は!?
最初は風が吹いているのかと思っていたが違った。木が俺を飲み込もうと、自らの枝を動かして襲いかかってきていたのだ。この木はただの木ではなく魔力を持った魔木だったわけだ。自分で言うのもなんだが俺はこんなに大きな魔木を相手にできるほど強くない。能力を使い剣で斬りかかったとしても勝てないだろう。そう考えているうちに木の枝がどんどん俺の逃げ道を塞いでいる。もはや人が逃げられる隙間が残っていない状況になった。俺は応戦するのを諦め、能力で身体強化し鞄の中から先ほど魔獣からとった魔石を出しす。そしてそれをわずかに空いている隙間に向けて思いっきり投げる。もったいないが仕方ない。魔木という生物は木と言う名に反し動くことができるが、エネルギーを多く消費するため、普段はあまり動かない。その代わり自身の近くに近づいてきた魔族や魔獣を襲い、その魔石に蓄えてある魔力を摂取することで強くなる。その例に漏れず、今回俺を襲ったのも魔力が狙いだろう。俺を飲み込もうとしても、俺は能力者であり魔力はほとんどなく、今は魔石も持っていないため、俺を襲っても魔木にとって何のメリットもない。そのことを理解してやめてくれるといいのだが、なにもないよりもましだと食べてくるかもしれない。ぶっちゃけ賭けだ。
…魔木の動きは止まらない。何本もある枝で俺をつかみ、自身の消化器官へと運ぼうとする。俺は身体強化したまま全力で抵抗するが魔木はびくともしない。それどころか俺が抵抗すると知ると息の根を止めるために首を絞めてきた。
あぁ…終わった…。
呼吸ができなくなり意識が暗転した。
…次回に続きます。いえもんさんにピンチ到来ですね。本編の補足ですが、魔木は魔力を持っていて喋れない生物なので魔獣に分類されます。普段は光合成をして生きるためのエネルギーを作っています。また、動きが少し鈍いです。その代わり力はとてつもなく強いんですが。なので魔木の主な戦闘方法は対象を気づかれないようにゆっくり囲みその上で捕まえて食べるといった感じです。消化器官は木の洞の部分にあります。
魔木の説明はこんな感じですかね。いえもんさんの身体強化は、腕力や脚力をあげるような感じです。まぁ他にもありますが本人は気づいていません()
それじゃあこの辺りで!また来てね!
コメント
9件
いえもんさんは強いけど弱いくらいがちょうどいい(持論)