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#異世界転生
K-Takasaka
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K-Takasaka
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K-Takasaka
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#タイムループ
地下駅から地上へ戻ったあとも、K-Tはほとんど口を開かなかった。
訓練施設の中央に設けられた休憩区画で、メバルたちはそれぞれ負傷の確認をしている。幸い、重傷者はいなかった。
しかし、全員の頭からXの姿が離れない。
金髪。
長いコート。
右目の傷痕。
そして、K-Tと同じ立ち方、同じ間合い、同じ武器の扱い。
「本当に、Kさんの二十年後なのかな」
メバルが呟いた。
カキは椅子に座り、腕にできた擦り傷へ包帯を巻いている。
「顔はちょっと似てたけど、性格はKさんよりよくしゃべるよね」
「俺は必要なことを話している」
K-Tが答える。
「Xも必要なことしか話してなかったよ」
「余計なことも話していた」
レイが壁際から言った。
「二十年後という話は、戦闘を止めるための心理攻撃かもしれない」
アオノは、Xから回収した記録媒体を解析している。
「ただし、記録された戦闘データは本物だ」
画面には、過去のK-Tとレイの一騎打ちが映っていた。
Xは二人の攻撃だけでなく、動き出す前の癖まで読み取っていた。
「映像を何度も見ただけでは、あそこまで正確に対応できない」
アオノが続ける。
「戦闘データを、身体の反応として再現している可能性がある」
「身体の反応?」
マサカゲが尋ねる。
「記憶を頭で思い出すのではなく、筋肉や神経の動きとして保存している」
レイはモニターに映るXを見た。
「だから、私の踏み込みまで読めたのか」
「それだけではない」
アオノは画面を切り替えた。
『対象:K-T』
『未来予測モデル』
『欠損情報:右上肢』
『再構成不能』
右上肢。
その文字を見た瞬間、部屋の空気が重くなった。
「Xの右腕がないって、本当なの?」
メバルがK-Tを見る。
「戦闘中に確認した」
「どうして私たちには見えなかったんだろう」
「コートで隠していた」
K-Tは短く答えた。
「右袖は破れていた。それでも、中身は空だった」
カキが首をかしげる。
「じゃあ、Xは片腕であんなに戦ってたの?」
「左腕だけで刀、短刃、転送装置を扱っていた」
レイが言った。
「片腕を失っているとは思えないほど、動きに無駄がなかった」
「それは、K-Tの記憶を使っているから?」
メバルが尋ねる。
K-Tは答えなかった。
その沈黙が、答えのように感じられた。
突然、訓練場の警報が鳴った。
赤いランプが点灯し、施設の奥から機械音が響く。
「外部侵入」
アオノが端末を見る。
「複数の反応が接近している」
「X?」
カキが拳銃へ手を伸ばす。
「違う」
アオノは首を振った。
「警備ロボット。地下駅からこちらへ移動している」
K-Tが立ち上がった。
「全員、配置につけ」
扉が開き、警備ロボットが侵入してきた。
地下駅で停止させたはずの機体とは違い、装甲は厚く、腕には電撃棒が取り付けられている。
数は十体。
「訓練の続き?」
メバルが剣を構える。
「実戦だ」
レイが大剣を展開した。
ロボットが一斉に走り出す。
K-Tは先頭の一体へ踏み込んだ。
トンファーで電撃棒を受け、肘関節へ打撃を入れる。ロボットの腕が下がった瞬間、警棒で首元の装甲を打ち抜いた。
レイが横から大剣を振る。
刃が二体のロボットをまとめて切断した。
メバルは残った一体と向き合う。
ロボットが電撃棒を振り下ろす。
メバルは正面から受け止めず、刃を斜めにして攻撃を受け流した。電撃棒の軌道が横へそれ、ロボットの体勢が崩れる。
「今!」
メバルは踏み込み、胸部へ斬り込んだ。
ロボットが倒れる。
「また、できた!」
「喜ぶな。次が来る」
レイが言った。
背後から別のロボットが迫っていた。
メバルはすぐに振り返り、剣を構えた。
しかし、ロボットの電撃棒が剣へ触れた。
強い電流が刃を伝わり、メバルの腕がしびれる。
「動けない!」
マサカゲが走り込んだ。
ロボットの腰をつかみ、身体を浮かせる。
そのまま投げ、倒れたロボットを仲間との間へ置いた。
別のロボットの攻撃が、倒れた機体へ当たる。
「隊列を崩すな!」
マサカゲが叫ぶ。
ミステーの矢が、ロボットの目の部分へ突き刺さった。
「右から二体」
ミステーが言う。
カキは拳銃を構えた。
右側のロボットの背後には、アオノがいる。
撃てば外れた弾がアオノへ向かう。
カキはすぐに横へ移動した。
「アオノ、伏せて!」
アオノがしゃがむ。
カキはロボットの脚部へ一発だけ撃ち込んだ。
弾丸が関節へ命中し、ロボットが倒れる。
「今の射撃は適切」
アオノが言う。
「よし!」
カキが笑った。
「でも、一発だけにした」
「それが重要」
アオノは端末を操作しながら、施設の照明を切り替えた。
ロボットの視界にノイズが走る。
「敵の視覚センサーを妨害した」
K-Tが最後の一体へ向かった。
刀を抜く。
紫色の刃が、ロボットの攻撃を受け流した。
K-Tは大きく踏み込まず、最小限の動きで装甲の隙間を斬る。
ロボットが停止した。
警報が止まる。
周囲には、倒れたロボットが積み重なっていた。
「連携は、前より良くなった」
レイが言う。
「でも、まだ遅い」
「ええ……」
メバルは肩で息をしていた。
「全員が同じ動きをする必要はない」
K-Tが言う。
「相手の予測を外すためには、それぞれの判断が必要だ」
アオノが倒れたロボットを調べていた。
「この警備ロボットは、地下駅から直接操作されていた」
「Xが?」
マサカゲが尋ねる。
「操作記録は消去されている。ただ、最後に送られた命令だけ残っている」
アオノが画面を表示した。
『対象者の戦闘能力を再評価』
『右腕の反応を確認』
『K-Tの未来行動を誘導』
K-Tの表情が険しくなる。
「右腕の反応?」
メバルが聞く。
「俺たちの中に、右腕の状態を確認したい奴がいる」
レイがXの言葉を思い出す。
「Xは、未来を変えたいのではなく、こちらの行動を記録している」
「それなら、どうして私たちを襲わせるの?」
カキが尋ねる。
「戦闘中の動きが、一番正確な記録になる」
アオノが答えた。
そのとき、訓練場の正面モニターが点灯した。
画面にXが映る。
どこか別の場所にいるらしく、背後には巨大な機械設備が見えていた。
「観察は終わったか」
Xが言った。
K-Tが刀を構える。
「姿を見せろ」
「今は無理だ」
「逃げているだけだ」
「そう思うなら、そう思えばいい」
Xは穏やかに笑った。
「俺は、お前のことを知っている。刀を抜いた後、最初の一撃は必ず相手の利き腕を狙う」
K-Tは無言だった。
「トンファーに持ち替える前には、必ず左足を引く。拳銃を撃つ前には、右肩がわずかに下がる」
Xの言葉に、メバルたちがK-Tを見る。
「本当に全部読まれてる……」
Xは続けた。
「だが、今日は一つだけ違った」
「何がだ」
「お前は、仲間を前へ出した」
K-Tの目が細くなる。
「以前のお前なら、一人で全員を守ろうとした」
「未来のお前が、俺を知ったつもりになるな」
「俺は、お前が何を失った後に、そう変わったかも知っている」
Xの声から、初めて笑みが消えた。
「右腕を失ったのは、戦闘中ではない」
K-Tが一歩前へ出る。
「なら、いつだ」
「お前が仲間を選んだ日だ」
画面が乱れる。
Xの右袖が、映像の中で揺れた。
K-Tだけが、その袖の不自然な軽さを見抜いていた。
「答えろ!」
K-Tが叫ぶ。
Xは一瞬だけ視線を落とした。
「過去を知ったところで、未来は変わらない」
「それを決めるのは俺だ」
「なら、次に会うまでに証明してみろ」
画面が暗転した。
アオノがすぐに通信経路を追跡する。
「接続先は複数に分散されている。特定できない」
K-Tは画面の前に立ち尽くしていた。
レイが隣へ来る。
「何か思い出したか」
「何も」
「嘘だ」
「……」
レイはK-Tの右肩を見た。
「Xは、お前が何かを失ったと言った」
「奴の言葉を信じるのか」
「信じてはいない。だが、お前が反応したのは事実だ」
K-Tは刀を鞘へ戻した。
そのとき、アオノの端末から警告音が鳴った。
「新しいデータを受信」
画面には、一本の映像ファイルが表示されている。
『記録番号:20年後』
『対象:K-T』
『閲覧条件:K-T本人のみ』
メバルが画面へ近づこうとする。
しかし、画面に赤い警告が表示された。
『生体認証が必要』
K-Tが端末へ手を置く。
認証が始まった。
映像が再生される。
荒れ果てた町。
崩壊した商店街。
血の跡が残る道路。
画面の中央で、片腕を失ったK-Tが、ひとり立っていた。
映像の中のK-Tが、ゆっくり振り返る。
そして、現在のK-Tを見つめるように言った。
「お前は、まだ仲間を守れると思っているのか」
映像が停止する。
誰も言葉を発しなかった。
K-Tは画面を見つめ、低い声で呟いた。
「俺は、あんな未来にはならない」
レイが大剣を握り直す。
「なら、私たちが変える」
メバルも剣を構えた。
「一人で決めないでよ、Kさん」
K-Tは、仲間たちを見た。
右腕を失った未来の自分が、画面の中で消える。
その直後、地下施設の奥で、五つの封印装置のうち一つが赤く点灯した。
機械音声が響く。
『第一封印、解除準備』
アオノが振り返る。
「施設の深部で、何かが起動している」
K-Tは刀の柄を握った。
「全員、動くぞ」
レイが隣へ並ぶ。
「今度は、誰も一人で戦わない」
二人は同時に、地下施設の奥へ向かって歩き出した。
コメント
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第10話、すごく重くて、でもすごく好きでした……。 Xの右袖が空っぽだったって描写、本当今回の核だなって思いました。 「仲間を選んだ日」に腕を失った——ってXが言った時、背中が冷たくなりました。 そして最後の未来映像……。 あの片腕で立ってるK-Tさんの姿、胸がぎゅっとなりました。 それでも今の仲間たちが「一人で決めないで」って続くのが、本当に温かくて。 次、どうなるんだろう……続きがすごく気になります。