テラーノベル
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「えへへ〜、ありがとぉ!」
「可愛くなんかないよ〜!」
「そーかなぁ…?全然だよ〜」
一度返事に答えれば、皆が私と仲良くなってくれる。
そんなこんなで、いつの間にかクラスの中心に立っていた。
そんな私の名前は「白恋るな」。
大体の人とは話したり遊んだりしたことがあるけど、世界感が違う人もいる。
その一人が「九条るい」という人。
名前さえ聞いたことがないくらいだった。
だけど、そんな彼と関わりを持ち始めたのが、今日だった。
―――昼休み
今日は大親友が欠席で、ひとりの時間が多かった。
だから、屋上でお昼を食べていた。
そんな時、隣に座ってきた人が居た。
それが____
「俺はるい」
「るいくん?」
「そう!るいで良いけどな!」
「わ、分かった…」
そう、九条るいだ。
サラサラの髪は青色で、耳にはピアスをいくつか付けている。
なんだかチャラい感じだ。
何故か私の隣に座り、まるで友達かのような距離感で話し出す。
「あのさ…」
「突然なんだけど…」
「俺と付き合ってくんない?」
「へ?」
耳を疑った。
まだ話し始めて間もない人が、告白…!?
もも、もしかして何かの間違いかな?
そうだよね?
「どういう、こと?」
「そのまま。俺と付き合ってほしいんだよ」
「そんな…急だよぉ…」
私は戸惑って、上手く話せなかった。
こんな事は初めてだ。
すると、彼がこんな提案を持ちかけてきた。
「じゃあ、『仮彼女』になってくんないかな」
「仮彼女…?」
「そそ!仮!」
「ちな、いつでも契約解除オッケーだからさ!」
「うーん…」
仮だとしても、好きじゃない人と付き合うのは嫌だなぁ…
「でも?仮で付き合ってくれたら、毎日甘〜いデザート奢っちゃうよ〜?」
「どれだけ高くても奢る!!!」
「好きでしょ?」
「あ・ま・い・も・のっ!」
確かに甘いものは大好きだ。
とっても美味しいし、食べていて極上の幸せを感じる。
今すぐにでもかぶりつきたいくらいだ。
―――それを毎日、しかも無料で食べられるってことだよね?
―――彼と付き合うだけで?
―――しかも、契約解除オッケー?
もう付き合うしか無いじゃん〜〜!!
「付き合う!付き合います!よろしくっ!!」
「よっしゃあああ!じゃ、これから彼女としてよろしくな!」
「“仮”だからね!?」
「分かってるって!やったああ!ほんと嬉しい!」
「(でも……)」
良いとは言ったものの、なんで私と付き合いたいのかという疑問が消えない。
話したことも無かったし、目すら合った事が無かったのに…
しかも、なんで私が甘いもの好きと知っていたんだろう?
……ま、よく分からないけど 奢ってくれるなら良いか!
私はあまり深く考えず、目先の事だけを考えることにした。
でも、私にはひとつ気になることがある。
「えーっと、彼女になったら何をすれば良いのかなぁ?」
「え、そうだな……もっと深い関係になれば…」
「って、ちょちょちょストップ!!」
「んー?」
「今ヤバいこと考えてたでしょ!そーゆーことじゃないからね!?」
「な〜んだ、色々考えてたのに〜」
「それはダメだよぉ…っ」
あくまでも仮だし、本当の彼女って訳ではない。
それを理解してくれると良いんだけど…
「じゃ、早速明日デートしようぜ?」
「ええ!?早くないぃ!?」
「当たり前だろ?俺たち、付き合ったんだからさ」
「うえぇ…、デートするのぉ…」
「奢ってあげるからいいだろ?」
「はぁ〜い…」
という感じで、デートすることになってしまいました…
嫌だけど、仕方無いよね…。
一日だけ我慢すれば良いんだし。
そう考え立ち上がり、そーっと屋上からの階段を降りようとした
その時
「きゃああっ!!」
足が滑って、階段から転落しそうになった。
思わず目を閉じ、痛みを覚悟して―――
いたが、何も起こらない。
パニックに陥り、恐る恐る目を開けてみると…
階段の三段目から何も動いていなかった。
どうやら落ちた訳ではないようだ。
でもどうして…?
後ろを振り返ると、そこにはるいが居た。
先ほどとは異なり、真剣な目つきをしている。
そんな彼と私は、なんとゼロ距離。
彼が助けてくれたようだ。
でもいきなりの事でアタフタしてしまい、私はすぐに階段を上がった。
「た、助けてくれてありがとう…!」
「全くだな。階段から落ちるなんて、しっかりしろよー?」
「俺が居なければ今頃大怪我、病院送りだからな!?」
「ごめんなさい…」
「ま、助けてやったんだし…」
「明日のデート、なんかお礼にしてくれよなっ」
「分かったよぉ…」
「絶対だぞ??」
「分かってますぅーー!」
「ったく」
そう言いながら、るいは私の手を握って引っ張り、階段を降り始めた。
「え??」
「いいからついて来い」
「う、うん…」
鼓動が速くなっている気がする。
手を握られているからか、興奮状態に陥っているようだ。
「(でも意外とこの人、気を遣ってくれてるみたいだなぁ…)」
実際、私と歩くスピードを合わせてくれているのだ。
そしてさり気なく除いた横顔は、なんとも言えない真面目顔。
同一人物とは思えない表情の違いだ。
私はひとり、階段を降りながら思う。
「(るいって、思ってたより……)」
「(カッコいい…?)」
コメント
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おk〜!! 「はちみん🎐」で決定ね!
うん
「はちみん❄」で良?