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szk side
入ってきた男の人がなんとか若井さんを説得して座らせる。
f「若井は落ち着くまでそこで待機!それで元貴!今どこにいるの?」
待機命令を出された若井さんは少し不貞腐れながらもダイニングの椅子に腰掛けている。
僕はと言うと首痛くない?大丈夫?と心配されながらもソファに座らせられた。
o『それがどこか分からないんだよね。寝てたら急にここに居て…。』
k『ここは東京都の俺の家だけど…』
f「えっと、元貴、今誰といるの?」
o『桐山さんって人!なんかね!風磨くんにそっくりなんだよ!性格は全く違うけど!』
k『大森さん…?でしたっけ、あなたは鈴木ちゃんにそっくりでびっくりしましたよ…。性格は全く違うけど…。』
f「なるほど……、全然わかんない!どういうことなの!?」
黙って聞いていればギブアップの声。
男の人は僕の方をジーっとみながら泣きそうな顔をしていた。
僕はいつものように笑顔を作り、推測を語る。
s「えっと、まず僕と大森さんは別世界の人間だと思います。何らかのせいで入れ替わって今に至る…と考えるのが妥当ですね。」
f「なるほどね…、まぁ納得出来ないけどしなきゃいけない状況だしね…、」
s「原因が分からない以上下手に動いたら厄介な事になります。なるべく移動は避けましょう。」
o『了解!』
s「とりあえず、一旦状況を把握するために自己紹介しますね。……僕は鈴木と申します。」
f「あ、うん!よろしく!僕は藤澤涼架って言います!Mrs. GREEN APPLEのキーボードやってます!……次!若井!!」
さっきから僕を睨んでいた若井さんが藤澤さんに促されて塞いでいた口を開いた。
w「……若井滉斗。Mrs. GREEN APPLEのギター。」
o『…えっと、次は僕かな。Mrs. GREEN APPLEのボーカル、大森元貴です。』
k「桐山です。普段は警備員の仕事してます。よろしく…。」
電話の向こうの2人はおずおずと自己紹介を終えた。
さて、問題はここから。どうやって戻るか。
o『鈴木ちゃんは昨日の記憶はないの?』
いつの間にか鈴木ちゃん呼びになっている大森さんにびっくりしながらも昨日のことを思い出す。
s「そうですねぇ……。昨日は桐山さんと飲んでいてそのまま寝てしまったので直前の記憶はあやふやですね…。」
o『そっかぁ、まぁ、正直僕も曲作りに没頭してあまり寝てなかったから疲れて記憶ないんだよね…。』
大森さんがそう言った瞬間、若井さんと藤澤さんの目の色が変わった。
f「元貴ー??ちゃんと休んでって言ったよね?」
w「元貴、帰ったらちゃんと寝てもらうからね。」
o『う”ッ……、はぁい……。』
怒られて大森さんの萎れた声が聴こえる。
藤澤さんはにこにこしながらもどこか怖い表情をしていた。
これは本気で怒らせたら若井さんよりも怖いかなと本能で察知した。
k『あの、さっき自己紹介でも気になったんだけど、みせす、ぐりーんあっぷる?ってアーティストであってる?キーボードとか、ギターとかボーカルとか言ってたから…。』
桐山さんがおずおずと質問をした。
2人は目を合わせ、お互いにはてなを思い浮かべている。
実際、僕は生活するにおいて必要最低限のSNSしか使えないから最近のアーティストは知らない。
だが、SNSに敏感な桐山さんが知らないとなると話は変わる。
o『僕たち、Mrs. GREEN APPLEっていうバンドで活動してます。まぁ知らない方も居ますよねー。』
大森さんが向こうからフォローをかけてくれるがきっとそれは違う。
恐らくMrs. GREEN APPLEというバンドは人気アーティストなのだろう。
2人の反応を見ていれば何となくわかった。
s「…いえ、きっと、あなた方はこちらの世界では人気バンドなんですね。僕たちが知らないのは僕たちの世界にMrs. GREEN APPLEというバンドは存在しないからだと思います。」
w「………、」
f「ぇ、あー、そうなんだ、…」
2人は悲しそうな、ショックを受けたような顔をした。
きっと別世界でも一緒に居ることを信じて止まなかったのだろう。
残念ながら僕はバンドを組んで人気アーティストになるどころか人前に出ることも震えてできない。
どこか悲しそうな3人に少し申し訳なくなった。
k『バンドかぁ、いいなぁ、俺もギターとかやってみようかな。』
o『いいですね、僕教えましょうか?』
k『え、いいの?…って、あ、ごめん急にタメ語…』
o『いいですよいいですよ!なんなら大森ちゃん呼びでもいいですよw』
k『えっと、じゃあ大森くんって呼ばせてもらうねw』
o『君付けかー!!』
電話の向こうではキャッキャと2人が会話に花を咲かせていた。
こちらはと言うと未だに僕に対して嫌悪を持っている若井さん、にっこりと笑顔を絶やすことない藤澤さん、そして僕という変な空気になっている。
f「いつの間にか仲良くなってるね〜。元貴人見知りなのに珍しい。」
w「菊池さんに似てるって言ってたからかもね。話しやすいのかも。」
桐山さんも人見知りだから(というより人間不信に近いけど)あまり親しめないだろうと思っていたのにこれは予想外だ。
僕の時はかなり警戒していて懐に入るのに苦労したのに。
f「えっと、じゃあ鈴木さん…、だっけ、お腹すいてたりしない?あ、昨日飲んでたって言ってたし二日酔いとか大丈夫?」
s「えぇ、お構いなく。それと、恐らく僕の方が皆さんよりも年下なのでタメ口でも大丈夫ですよ。」
f「え!そうなの?じゃあ僕も鈴木ちゃんって呼んでいい?」
s「お好きにどうぞ。」
f「鈴木ちゃんも敬語外しても大丈夫だよ!気軽に涼ちゃんって呼んでくれて構わないし!」
s「はぁ、ありがとうございます、藤澤さん。」
f「鈴木ちゃん、警戒心強いなー!」
藤澤さんは人との距離感の詰め方が上手い人だと思った。
僕は普段、人と関わることがないからこんな風にひとに詰め寄られると困る。
慣れない環境でいつもの作り笑いも猫被りも疲れてきた。
s「藤澤さん、僕のことは放っておいて構いませんよ。是非大森さんと会話してあげてください。明るく振舞っているようですが、急に知らないところに飛ばされて不安でしょうし。」
僕がそう言うと藤澤さんは目を大きく開いて驚いた。
そして、先程よりも少し表情を固くして口を開く。
f「知らないところに飛ばされて不安って言うなら鈴木ちゃんも同じでしょ。僕たちよりも年下なら尚更。ほら遠慮しないでお話しよ!鈴木ちゃんの事色々教えてよ!」
s「…はぁ……。」
僕はこの人の勢いに勝てないなと思った。
wki side
電話の向こうではいつの間にか元貴と桐山さんが仲良く話をしている。
涼ちゃんはずっと鈴木に話しかけているが鈴木はのらりくらりと話題を避けている。
コイツ、やっぱり気に入らない。
元貴に顔が似ているとは言え、俺と性格が合わない。
特にあの貼り付けたような笑顔。
胡散臭くて、裏で何を考えているのか分からない。
しかも雰囲気が独特で、かなり近寄り難い印象を持つ。
はぁ、なんでこんなことになるかなぁ。
早く元貴に会いたい。
そんなことを思っていた矢先に事は起きた。
ドサッというなにか重いものが床に落ちるような音がリビングに鳴り響いた。
f「鈴木ちゃんッ、!?」
なにか落としたのかと気にしないで思っていた時、涼ちゃんの焦った声が聞こえてきた。
何事だと2人のいるソファ辺りに目を向けた。
s「ぐッ、はぁッ…ッ……あ”ッ…、!!い”ッっ……、あ”ぁ”ッ……、!!!!」
そこには鈴木が床に倒れ込み、苦しそうに腰に手を当てながら眉を顰めていた。
コメント
10件
待って!?桐山さんの方にあるんじゃない!?結構やばくない!?
szkの表面的な性格を表現するのうますぎる!!つづき早く読みたい!!
フォロー失礼します