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身体が熱くなっていくのがわかる。顔は赤くなってはいないだろうか?不安になって頬に触れた。
(……ほんと、情けない)
思った通りに熱くなっていて、思いきり下を向き、赤く染まってしまっているだろう表情を隠した。
「……ごめん、またやっちゃった」
坪井はゴツン、と。自らの額に軽く拳をあてた。
その後、青に変わった信号を確認し、アクセルを踏み込んだ。
「駅まで、うん。わかってる、ちゃんと我慢するって」
「……え?」
「はは、こっちの話」
何だか頼りない笑い声。
どうしてなのかわからない。そんなふうに思ってしまう自分自身を理解できない。
なのに。
寂しそうな横顔。
抱きしめたくなる、守ってあげたくなる。大丈夫だよって、言ってあげたい。
(大丈夫って、何を……)
わからない。
自分の気持ちを全く理解できそうにない。
***
長く思い悩んでいたのだろうか。それから特に会話もなく。
「着いたよ」と坪井が短く真衣香に告げた。
「ありがとう」と、真衣香も短く返事をして、車から降りようと膝の上に置いていたバッグを持ち直して、立ち上がろうとする。
「立花」
それを引き止めるように腕を掴まれて、坪井が真衣香の名を呼んだ。
「ごめん、ちょっとだけ時間いける?」
「え?」
坪井に掴まれているところからじんわりと熱が広がって、真衣香は自分の顔が赤くなってしまっているのではないかと慌てて下を向いた。
(さっきから何なの、もう。すぐに顔が熱くなるの何とかしたい……)
「い、いける……大丈夫だから、離して」
情けない自分に対する苛立ちと、恥ずかしさから思ったよりも大きな声が出ていた。
「あ!ご、ごめん、痛かった?」
その声に慌てて手を離した坪井が、心配そうに顔を覗き込んでくる。真衣香は首を横に振ってキツく目を瞑った。
「この間も、ごめん……。力任せに押さえつけて、えっと」