🐹「はぁ…」
まだ肌寒い、小雨が降っている早朝に、僕はテヒョナの家の前に来ていた。
…ピンポーン…
…インターホンを鳴らすも、応答はない。
一応もう一度押してみたけれど、やはりインターホンの音が虚しく聞こえるだけだった。
僕はテヒョナの家のドアに頭をゴツ、ともたれて
🐹「…テヒョナ…君は、今どこにいるんだ…?」
…そんな独り言も、小さな雨音にかき消されていく。
🐹「…会いたいよ…」
テヒョナのことを考えると、自然と目の縁が熱くなって、涙が溢れてくる。
…僕らは恋人同士だった。
くだらないことで笑い合ったり、
…喧嘩もしたり、
時には一緒に泣いたり。
初めてのキス、今でも覚えてる。すっごく甘くて、気持ちよくて、…その日の夜は興奮して眠れなかった。
ハグした時は、テヒョナの匂いに包まれて、もうだめだった。鼻血が出ちゃって、テヒョナに血が止まるまで看病してもらったっけな…
いっぱい、いっぱい、いろんなことを君とした。
君と手を繋いだこと。
君と愛をささやきあった夜のこと。
体を重ね合って、君をたくさん愛したこと。
…すべてが走馬灯のように僕の脳内で振り返られる。
🐹「…テヒョナっ……」
…テヒョナの純粋で、可愛くて、愛おしい笑顔を思い出しながら、僕は涙する。
君が恋しくて、君がどうしょうもなく好きだから…
____
…ひと通り泣き終わって、僕は涙でぐしょぐしょになった目をこする。
…ああ、ホソガにからかわれるだろうな…
🐹「…って、ホソガはもう、変わっちゃったんだっけな…」
虚しく独り言ちながら、鞄からリングノートとペンを取り出す。
「会いたい」
…そうノートの端に書く。僕はどうしても字が均等な大きさで書けないみたいで、ガタガタな字になってしまった。
🐹「見てくれるといいな…」
自分の字を鼻で笑いながら、その紙をリングノートから破り、折りたたんでテヒョナのポストに投函する。
…小雨はいつの間にか、大粒の雨粒へと形を変えて、容赦なく地面を打ち付けていた。
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